笠原神社で御田植祭開催!
茨大生・留学生が参加し地域&国際交流

 2025712日、茨城大学近くの笠原神社で、御田植祭が開催されました。茨城大学の学生と留学生の計20人が参加し、圷渡里地区の皆さんとともに御神輿を担いだり、食事をしたりして、交流を深めました。当日は涼しい風の吹く気持ちいい1日で、たくさんの笑顔が溢れる時間となりました。
(取材・構成 茨大広報学生プロジェクト 立川 陽菜(人文社会科学部4年))

 

笠原神社御田植祭の参加者
参加した皆さんの集合写真

笠原神社 御田植祭について

 茨城大学の北側にある笠原神社は、室町時代に創建された歴史のある神社です。圷渡里地区は、昔から洪水の被害が多く、お互いに顔を合わせる機会として、祭りが機能していたそうです。御神輿を担ぎながら、数十箇所で食べ物や飲み物が提供され、地域コミュニティ創出の場となっていました。
 当日は、神社で神事を行ったのちに、御神輿をみんなで担いで宮から出す「宮出し」から始まりました。御田植祭を毎回盛り上げてくださる「武会」の皆さんと共に、学生たちも参加します。最初は戸惑いながらも、武会の皆さんのアシストのおかげでだんだんと掛け声も増えてきました。笛に合わせて声を上げ、リズムよく出ていく御神輿は圧巻でした。

宮出しの様子
宮出しの様子

 その後、車に乗ったお神輿が圷渡里地区を広く渡御します。圷公民館からは、再び人の力による渡御です。田園風景の緑の中で揺れる赤いお神輿、響き渡る掛け声は、非常に趣がある光景でした。日が出てきて暑くなってきたので、担ぎ手は交代しながら進んでいきます。「祭」の文字が目立つ大きなうちわも大活躍です。

公民館から漬物店まで神輿をかつぐ参加者
公民館から漬物店までの道のり

 途中の根本漬物店では、お神輿をおろし、夏祭りが開催されました。茨城大学の学生が企画したゲームも盛り上がり、多くの子供たちが楽しんでくれました。根本漬物店から笠原神社までの登り坂は、御渡のクライマックスです。約210mにわたる登り坂は担ぎ手にとって大変ですが、声を掛け合って交代しながら進んでいきました。圷渡里地区と大学生との団結が見えた、素敵な時間でした。

神輿をかつぐ参加者
渡御もラストスパート

 地区を巡ったお神輿が神社に入っていく「宮入」は今までよりも大きな掛け声で、進んでいきました。お神輿の高さもより高く、ボルテージも上がっていきました。
 御田植祭は一本締めで締めくくり、その後は境内で食事をともにとり、交流を深めました。

境内での食事の様子
境内での食事の様子
境内にて食事が振る舞われました

茨城大学の学生が企画した夏祭り

 茨城大学グローバルエンゲージメントセンターの教員が担当する国際共修科目「共生とコミュニケーション:Japanese Pop Culture B」にて、夏祭りのゲームを企画しました。玉投げや型抜き、ピンポン玉投げなど、子供たちも楽しめるゲームを用意し、それぞれのブースに分かれて日本人学生と留学生が担当しました。さらに、国際交流のきっかけになるように、みんなで遊べるスイカ割りなども開催されました。夏らしい企画で、行列ができるほど大人気でした。また、参加者にはカードが配られ、それぞれのブースにいる留学生といろいろな国の言葉で挨拶をするとサインがもらえる企画もありました。参加した地域の方々からは、「なかなか外国の方と交流する機会がないので、いろいろな挨拶や言葉を教えていただき、いい刺激になりました」「子どもが多言語に興味を持ったようで、家でも話していました」といった声も聞かれ、交流のきっかけとして好評でした。さらに、景品には世界各国のお菓子が用意され、初めて見るお菓子たちに目をキラキラとさせる子供たちの姿が印象的でした。各ブースで様々な挨拶や笑い声が聞こえ、茨大らしい企画が成功したのではないかと思います。

ピンポン玉投げで遊ぶ参加者ら
ピンポン玉投げ
型抜きのブース
型抜き
スイカ割りに挑戦する参加者
スイカ割り

参加者の声

「笠原神社は、茨城大学キャンパスのすぐ裏手にあるにもかかわらず、学生の多くにとっては知らない場所です。裏側にはお店もなく、今回参加した学生のほとんどが「初めて来た」と話していました。茨城大学はこの地域に根ざしているはずなのに、地域の方々との接点は意外なほど少ない。だからこそ、こうした草の根の交流の場が持つ意味は大きいと思います。特に、地域の子どもたちが留学生と触れ合う機会を持つことは、未来の社会を形づくる小さな一歩です。今、2025年の参院選を通じて、「日本人ファースト」的な価値観が社会の表層に現れてきています。社会の不安や閉塞感の中で、自分たちの暮らしや文化を守りたいという思いが強まり、外から来た人々に対して距離を置き、両者の間に境界線が引かれつつあるように感じます。 けれど、地域の祭りに留学生が参加し、子どもたちと笑い合う姿を見ていると、そんな境界線は本来必要ないのだと気づかされます。文化や言語の違いを越えて、共に場をつくることができる――それこそが、これからの地域社会のあるべき姿ではないでしょうか。」
(茨城大学 瀬尾匡輝先生)

「大学のすぐ近くにある笠原神社で地域の方々や子供たちと交流できたこと、留学生と協力して祭りを作り上げ、一緒に異文化体験ができたこと、自分が普段生活している地域に対してより強い関心を持つきっかけになった1日でした。
また、祭りに参加したさまざまな人とお話をして、神社の歴史や祭りに対する思いなどを直接聞くことができて、とても貴重な経験になりました。」
(茨城大学 3年)

 

今後への期待

 現在、日本の各地で少子高齢化が社会問題となっています。昔からある地域の歴史やコミュニティの継承が難しくなっている一方で、それらの重要さが再認識されています。今回のようなお祭りは、楽しい夏の風物詩としてだけでなく、地域コミュニティの継続を目的との1つとしています。皆さんの地域にもお祭りがあると思いますが、ぜひ積極的に参加することで、地域の人々との繋がりを感じていただきたいです。
 笠原神社は大学に近い神社で、北門を出て目の前に立地しています。自分たちの地域と関わるきっかけとして、学生のみなさんもぜひ参拝して、日本文化を感じていただきたいと思います。普段何気なく歩く道も、知っている場所が増えれば、その景色がより一層鮮やかに見えてくるはずです。

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