カリキュラムの構築と改善

茨城大学では、豊かな人間性と幅広い教養をもち、多様な文化と価値観を尊重する国際感覚を身に付けた人間を育成することを目標としています。

学部教育では、大学のもつ総合力を生かして一貫した教養教育と専門教育を行います。専門知識と技能を修得し、自らの理想に基づいた将来設計ができる力と課題を探求し問題を解決する力を兼ね備えた人材を育成します。

大学院教育では、幅広く豊かな学識と高度な専門知識と技能を身に付け、学術研究と科学技術の進歩に対応できる豊かな創造力をもった高度専門職業人と研究者を育成します。

これらの教育目標を実現するためのカリキュラムの構築と改善の取り組みを紹介します。

教養教育の取り組み

総合英語

英語の4技能(読む、書く、話す、聞く)の習得を目指すもので、習熟度別授業を行うとともにコンピュータラボラトリー等での自習を行います。当該習熟レベルの授業を修了した後、次学期にはさらに上位のレベルの授業(または学術用英語)を継続して受講するように設定されており、英語能力の段階的ステップアップを図ります。

理系基礎教育

理系学生に数学や物理学等の基礎分野の原理や考え方を身につけさせ、自在に使いこなす基礎的能力を習得させようとするものです。新入生を基礎テストにより3つのグループに分け、異なる習得状況にある多様な学生に対して、授業のやり方を工夫することで、前期終了時には全体を同じレベルにまで引き上げることを目指すものです。

教養教育のIT化

IT機器を利用した教材や授業方法等の開発普及を行っています。教材のアップロード・ダウンロードや、掲示板での教員・学生間のコミュニケーション、インターネットを介しての課題の提出など様々なことができる総合学習管理システムや、英語学習のためのeラーニング・システムを運用しています。

学部教育の取り組み

JABEEへの対応

質の高い技術者教育を行っていくことを目標に、日本技術者教育認定機構(JABEE)が進めている日本技術者教育認定制度による認定を受けるために、教育システムの拡充を進めています。認定された学科(プログラム)を卒業した場合、社会的要求水準を満たしているエンジニアと認知されます。工学部と理学部の3プログラムが認定を受けています。

総合原子科学プログラム

日本原子力研究開発機構との協定に基づいた、理学部学生のための原子科学分野の教育プログラムです。物理、化学、生物の多分野にわたって原子科学全般の基礎的内容に関する総合的教育を行い、原子科学分野全体の幅広いしかも専門的な知識を有する人材を養成し、将来の我が国の原子科学分野の発展のための人的基盤形成を目指しています。

大学院教育の取り組み

大学院修士課程共通科目

4研究科(人文科学、教育学、理工学、農学)の協力によって、互いに教育プログラムを提供した共通科目を設けています。これは、文理を超えた幅広い学識と俯瞰的視野、高度職業人としての素養を涵養するための科目として開講されているもので、文理融合科目で構成されています。

持続可能な人類社会を構築するために、地域及び国際的に活躍できるサステイナビリティ学の専門家の育成を目指すプログラムです。茨城大学大学院4研究科それぞれの博士前期課程の教育プログラムによって構成されており、サステイナビリティ学研究連携機構(IR3S)の参加大学との協力や環境省「アジア環境人材育成イニシアティブ(ELIAS)」の支援を受けて運営されています。

学生の、学生による、学生のための国際会議をモットーに、本学大学院生等が中心となり開催運営しています。学生の自主性を育てるだけでなく、国際的に通用する人材育成という点でも効果の高いものとして好評を得ています。

教職大学院の教育内容を既存の大学院で実行しようとするもので、「教育」と「地域社会」を具体的に結びつけ、地域の教育力を掘り起こし、地域の力を活かすより実践型の大学院教育課程です。高度な専門職業人=教員の養成を目的として、教科の指導力や実践力のみならず、学校という組織の中で円滑な人間関係を創り出し、有効な教育活動を実行するために必要な能力を身につけていくことが企図しています。

環境と調和した人類の持続的発展のために、農学を基盤とした食料・生命・環境に関する幅広い基礎知識と専攻分野における高度な専門知識・技術及び研究開発能力を備え、地域・国際社会で自立的に問題解決ができる人材を養成します。本プログラム独自の科目の他、インドネシアの3大学と共同で熱帯農業を題材にした教育も行います。

「農場から食卓までの食の安全管理」を体系的におこなう教育プログラムを農学部の教育課程の中に実現し、食の安全にかかわるすべての分野についての知識基盤をもち指導的役割を果たせる「食のファシリテータ」の養成を行うものです。

地球環境問題やエネルギー問題を解決するための中心技術として再注目されている原子力工学に関する知識を体系的に学習するための教育プログラムです。原子力工学関連の講義をバランス良く受講できることに加え、原子力施設が近隣に立地していることを活用した学内外での実験・実習が充実しています。

情報学の新しいITスペシャリストの養成を図るとともに、先進的な情報学に関する人材育成と先進的、融合的な研究を推進することを目的として、茨城大学、宇都宮大学、群馬大学及び埼玉大学が連携して実施するものです。理工学研究科に人間創生情報学コースと社会創生情報学コースを設けています。

授業改善の取り組み

授業を改善するために様々な取り組みを組織的に行っています。学生によるアンケートを授業ごとに行っています。さらに、教員による授業評価やFD(ファカルティ・デベロップメント)研修会、講演会などを、全学、学部、学科の単位でそれぞれ定期的に行い、教員間で情報交換や討議を通して授業内容や方法の改善と向上を図ります。