茨城大学SDGs

茨城大学の
サステイナビリティ学

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茨大は気候変動問題にずっと向き合ってきた

 国連でSDGsが策定されたのは2015年ですが、茨城大学ではその10年ほど前から「サステイナビリティ学」の研究・教育に取り組んできました。

 茨城大学では2006年に「地球変動適応科学研究機関(ICAS)」という組織を立ち上げました。初代機構長を務めたのは、早い段階から気候変動に注目してきた三村信男(後の学長)。三村は世界中の研究者とともに気候変動問題のフレームづくりに携わり、ノーベル平和賞を受賞した国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の統合報告書の執筆にも貢献してきた人物です。

 地球温暖化が進むと、各地の気候の変動によってそれまで起こったことのないような大きな水害や干ばつが起こったり、氷河が溶けて海面が上昇し、海岸に面して暮らす人々の暮らしや生態系に深刻な影響を与えたりします。

 ICASでは、そうした被害が既にあらわれていた南アジアや東南アジアの地域などで長年現地調査を行うとともに、現地や日本国内の研究機関、政府機関などと協力しながら、課題解決を図ってきました。

暮らし生態系の変化にどう対応する?
茨大のサステイナビリティ学

 気候変動の対策には、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑えて気温の上昇を食い止める「緩和策」と、それでも生じてしまう気象や生活・自然環境の変化に対応するための「適応策」という2つのアプローチがあります。ICASは特に「適応策」の研究を強みとしてきました。

 「適応策」においては、これから起こる地球環境の変化と生活や生態系への影響を正確に予測することが大事になります。 海岸沿いの村は近く大きな水害に見舞われるかも知れない、気温上昇で増えた蚊によって感染症が一気に広がるかも知れない、干ばつで生活用水や発電に使う水が足りなくなるかも知れない、それまで作っていた農産物が作れなくなるかも知れない―― こうした変化に対しては、村ごと高台へと撤退するなど、自然・文化・社会に大きな負担を伴うような対策が必要となることがあります。これはとても大変なことです。

 そうした「適応策」を研究し、各地の人たちと一緒に考え、具体的に実践していく。そうして私たちの地球、社会の持続可能性(サステイナビリティ)を高めていくためには、さまざまな分野の知識と多様な人々の協力が不可欠です。この課題を追究するのが「サステイナビリティ学」です。

 ICASでは金字塔となる『サステイナビリティ学をつくる』(新曜社)という本を2008年に発刊。あわせて、学部共通科目の「サステイナビリティ学入門講座」を開設。さらに、大学院では全研究科を対象としたより体系的な「サステイナビリティ学プログラム」を設け、国内外でのフィールドワークを取り込んだ独自の教育プログラムを展開して、人材育成に努めてきました。

 長年の研究実績と連なる「サステイナビリティ学」の系譜は、茨城大学のアイデンティティのひとつのなのです。

新しい教育プログラムもスタート!

 2020年4月、ICASは、臨湖施設として全国で初めて教育関係共同利用拠点に指定された広域水圏環境科学教育研究センター(CWES)と統合され、新たに「地球・地域環境共創機構(GLEC)」という組織が開設されました。

GLECでは、茨城県地域気候変動適応センターの運営も行い、地域における気候変動の影響を細かく調査し、各地域の適応計画の策定・運営をサポートしています。また、ベトナムにある日越大学(日本・ベトナム両政府の合意のもとJICAがベトナム・ハノイにつくった大学)では、大学院修士課程気候変動・開発プログラムの幹事大学を務め、現地での人材育成にも貢献しています。

もちろん、かつてのCWESが担っていた教育関係共同利用拠点としての活動は、GLECの「水圏環境フィールドステーション」と名を変えた現在も継続しており、全国のさまざまな大学から学生たちを受け入れています。

 さらに、2024年度からは、学部共通の副教育プログラム(仮)として、「サステイナビリティ学教育プログラム」がスタートする予定です。

SDGsや気候変動問題に興味をもっているみなさん、「サステイナビリティ学」を大事にしてきた茨城大学で、ぜひ一緒に学び、活動しましょう!