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【サバティカル便り】教育・渡邊將司准教授「オーストラリアでの研究生活」Vol.3

 コラム「サバティカル便り」では、サバティカル制度を利用して海外等の学外の研究機関で研究に取り組んでいる教員による、現地レポートをお届けします。
 初回は、オーストラリア・ニューカッスル大学で研究をおこなっている、教育学部の渡邊將司准教授のレポートです。現地でどのような研究、日常生活を送っているのでしょうか。3回に分けて連載します。今回が最終回です。

終わりに

 インターネットやテレビ等で様々な情報を簡単に得られる時代ですが、やっぱり現地に行って初めて知ることは非常に多いです。文化や土地から生じる雰囲気やにおい、そして人柄などを見て、「やっぱり日本はいいな」と思うか、その逆か、人それぞれかと思います。ちなみに私は日本という国の素晴らしさを改めて実感した方です。また現地の人々と交流することで、自分自身が日本のことを実はよく知らないということにも気付きます。日本の文化や気質について非常に興味深い質問をされることもあり、うまく答えられないことも多々ありました。

 海外に居住して仕事をする上で、現地の言葉をある程度のレベルまで習得しておくことは必須条件です。私の場合、国際学会での発表経験もあり、会場で他国の研究者と交流してある程度の会話が成立していたので、まあ大丈夫だろうと思っていたのですが、現実は全く違いました。実際には日常会話や仕事の話題の範囲は非常に広く、ネイティブスピーカーが使う言い回しや単語がわからない、そもそも速くて聞き取れないという問題に直面しています。現地の言葉を聞き取れる・話せることは情報の収集量に影響します。これから海外での活動を目指したいという方は、可能な限り語学力を高めてから渡航することを強くお勧めします。ちなみオーストラリアの大学に学士入学するためにはIELTSで6.0レベル以上を求めているところが多いと思われます。それはおおよそ英検準1級レベルだそうで、その語彙力をネイティブスピーカーに例えると、小学校中学年くらいのようです。言語の習得には時間を要しますので、早くからしっかり準備することをお勧めします。

 このように様々な困難や苦労に出くわしますが、サバティカルを通して国際的なネットワークができることは非常に有意義だと思います。11月1日には研究機関が主催するResearch seminarに登壇する機会をいただき、カナダとフィンランドの研究者とも交流することができました。英語を上手に話せてもっとコミュニケーションを取ることができていれば、もっと交流ができてたくさんの情報を得られたかもしれないと思うと悔しい気持ちにもなりますが、まずはネットワークを広げる足掛かりができたことは、私にとって収穫だったと感じています。共同研究の話も具体的に進んでいるので、ここで築いたネットワークをより強く・広くしていけるようにしたいと思います。

PXL_20230329_004808854.jpg(写真提供:渡邊將司准教授)

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