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優れた学外活動を表彰する「iOP-AWARD」
―教育学部・藤原さんが最優秀賞

 キャンパス内外での主体的な学修活動を促す茨大独自の仕組み「iOP(internship Off-campus Program)」。そのiOPの活動で素晴らしい成果をあげた学生を表彰する「iOP-AWARD」が、3年ぶりに開催されました。茨大広報学生プロジェクトの橋本彩さん(取材当時2年)が"先輩"たちのプレゼンテーションを取材しました。

MicrosoftTeams-image (4).jpg 3月16日(木)、茨城大学水戸キャンパス図書館3階ライブラリーホールにて、「iOP-AWARD」が開催された。「iOPinternship Off-campus Program)」とは、3年次の第3クォーターに原則として必修科目を開講せず、大学全体で学外における学びを推進する制度だ。学生たちは、インターンシップ、サービスラーニング、海外研修や発展学修といった活動に取り組む。今年度のiOP-AWARDにエントリーした学生は14組で、そのうち8組が最終審査への進出者として檀上で発表を行った。

 優秀賞を受賞したのは、農学部食生命科学科の正田岳志さんと、同学科の柳瀬望さんの2組。

 正田さんは「日越大学への興味を発端としたベトナム・ハイフォン大学とのオンライン国際交流」について発表した。正田さんは気候変動と環境問題の関係に興味を持ち、ベトナムの大学への留学を希望していた。しかし、新型コロナウイルスの影響で留学が難しくなったため、オンラインプログラムを通じてベトナムの学生と交流を行った。オンライン国際交流では、ベトナム・ハイフォン大学の学生とペアを組み、お互いの言語や文化を学び合う「タンデム学習」を行った。ベトナムの学生に水圏環境問題の現状を質問する機会もあったという。そのほかにも、茨城県とハイフォン市にある、海産品を取り扱う市場に取材をするなど、能動的に学習を行った。大学卒業後は、茨城大学が幹事校を務める日越大学修士課程の気候変動・開発プログラム(MCCD)に進学したいと考えているという。実現すれば茨城大学として日越大学に送り出す初めての日本人学生ということになる。

MicrosoftTeams-image (5).jpg 正田さん

 柳瀬さんは「AIMS派遣 インドネシア留学で学んだこと」について発表した。「AIMS(=Asian International Mobility for Students)」とは、ASEAN地域と日本の学生を相互に派遣するプログラムだ。柳瀬さんは、このプログラムでインドネシア・ガジャマダ大学に留学し、持続可能な農業・食料生産について学んだ。プランテーション農園での23日の校外学習の後、プランテーション農園で生じる農業廃棄物や過度な農薬の使用、家畜排せつ物の環境への流出などによる農業汚染について、学生同士でディスカッションとプレゼンテーションを行った。さらに、積極的にコミュニケーションを取ろうとするインドネシアの人々の存在が、インドネシア語を学ぶモチベーションになったという。

MicrosoftTeams-image (3).jpg 柳瀬さん

 最優秀賞を受賞したのは、教育学部養護教諭養成課程の藤原奈央さん。
 藤原さんは、「外国にルーツを持つ子どもたちに向けた学びの支援活動」に取り組んできた。

 「外国にルーツを持つ子ども」とは、「国籍に関わらず、両親または、父母のどちらかが外国出身者である子ども」のことをいい、日本国籍を持つ場合もある。日本語指導が必要な子どもは、グローバル化に伴い、この10年で1.5倍に増えているという。一方で、外国にルーツを持つ子どものうち、2割は日本語指導を受けることができていない。

 藤原さんは活動のきっかけについて、「私自身、不登校で学校になじめない辛い体験をした。子どもたち一人一人に視点を向けて、個性やニーズに合わせた教育活動や自立支援にチャレンジしたいと思った」と話す。また、英会話に自信がなく、日本語を使って国際交流をしたいと考えたこともきっかけの一つだそう。

MicrosoftTeams-image (6).jpg 藤原さん

 藤原さんは、外国にルーツを持つ子どもたちに向けて、「放課後学習支援活動」と「学習会イベントの企画・運営」を行っている。「放課後学習支援活動」では、小中学生の宿題を手伝ったり、おたよりの内容を「やさしい日本語」に置き換えたりする支援を行っている。 2月からはオンラインでの活動も始めた。「学習会イベント」では、冬休みの宿題に取り組むだけでなく、年賀状やかるたといった日本文化を体験するイベントも企画した。

 「子どもたちは楽しそうに笑顔で活動しているが、学校だと集団になじめなかったり、縮こまって喋れなくなったりしているという現状を知ってほしい。一人一人に寄り添って話を聞いてあげたりだとか、勉強を見てあげたりだとか、そういう視点を持つ教員が増えていったらいいなと思っている」と、藤原さんは参加者に語りかけた。

 また、藤原さんは受賞した今の気持ちを次のように語った。
 「継続している活動のため、激励の意味を込めた賞だったのではないか。教員として意味のあるものにしていくために、活動をさらに展開していく必要性を改めて感じている」。

MicrosoftTeams-image (2).jpg 西川陽子 全学教育機構長から賞状と副賞が授与された

2022年度iOP-AWARD 各賞受賞者は以下のとおり。(ポスター選考の結果、AWARDに進出した皆さん)

最優秀賞

藤原 奈央(教育)

外国にルーツを持つ子どもたちに向けた学びの支援活動

優秀賞(2組)

正田 岳志(農)

日越大学への興味を発端としたベトナム・ハイフォン大学とのオンライン国際交流

柳瀬 望(農)

AIMS派遣 インドネシア留学で学んだこと

奨励賞(5組)

吉成 理紗(人社)

「大学生によるまちづくりプレゼン発表会」における施策の提案

三村 拓未(人社)

介護助手の普及による介護人材不足の解消~高校生が担い手となる福祉のまちづくり~

山口 海音(人社)

アントレプレナーシップが身につくまで!挑戦し続ける私

矢花 滉太郎(教育)

音楽科研究発表会

沖田 祐理乃(農)

4泊5日農業インターン ~約5か月のタイ留学から~

編集後記

コロナ禍で留学が出来ないという制約の中でもオンラインで積極的に海外の学生と交流したり、英語があまり得意でないことを逆手にとって外国ルーツの子どもたちに自ら関わりに行ったりしている先輩方には、自分で道を切り開いていく力があると感じた。今回iOP-AWARDを取材したことで、半年後に控えたiOPクォーターへのモチベーションが高まった。

(取材・構成:茨大広報学生プロジェクト 橋本 彩(人社3年))