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茨城の魅力を発掘!茨城の魅力を伝える高校生コンテスト2022!
〜「いばたん」と茨大生が伝えたい思いとは?〜

 茨城大学人文社会科学部が主催する「茨城の魅力を探求し発信する高校生コンテスト2022」の公開審査・表彰式が、219日、水戸市内のTOHOシネマズ水戸内原で開催されました。学生運営委員を務める菊池まゆさん、立川陽菜さん(ともに人文社会科学部1年、茨大広報学生プロジェクトメンバー)が当日の模様をレポートします。

 「茨城の魅力を探究し発信する高校生コンテスト2022」、通称「いばたん」は、2019年より茨城大学人文社会科学部主催、茨城県・茨城県議会・茨城教育委員会後援のもと行っている、高校生と大学生の教育と地域貢献を目的としたプロジェクトです。茨城県内の高校生が茨城県の魅力を伝える動画やプランを考え、コンテストを行います。運営も人文社会科学部の学生を中心とする運営委員が務めます。

 いばたんは、茨城県、つまり地元を語れる若者を育成することを目指しており、現在は動画作品部門とアイディア企画作品部門の2つの部門が設けられています。4年目となるいばたん2022のテーマは「探研」。希望する高校には学生運営委員がオンライン、あるいは高校に赴きテーマ設定や内容について相談を受け付けました。学校・学年・クラス単位での参加の場合は、高校に赴き説明会を実施することもあります。このように、高校生と大学生が二人三脚でつくり上げていくことがいばたんの特徴です。

ibatan1.jpg 舞台裏の様子。オープニング映像やエンディングの映像作成も全て学生が行っています

 私(立川)は同大会2020に高校生側で参加しており、友人と作成した動画がノミネートしたという、思い出のある大会です。その後茨城大学に入学し、今年は学生運営委員という立場で参加しました。私が参加した2020大会では、コロナ禍ということもありオンラインでの開催でした。その際に私たちのチームの担当だった先輩が、私たちの質問に1つずつ丁寧に答えてくださったり、オンラインではあるものの顔を合わせて相談にのってくださったり、とても丁寧に対応してくださったのがとても嬉しく、自分もそのようになってみたいと感じて、運営側として参加することにしました。実際に運営側に立つと、非常に多くの大人の方が関わっているということが分かりました。協賛企業・団体の方々とお話しする機会は私たち1年生にはあまり無いので、緊張することもありました。そのような中で、大人の方に対する言葉遣いや名刺の扱いなど、学ぶことがとても多くありました。

 今大会では、2つの部門を合わせて計417作品、総参加者は1377名と、多くの高校生にご応募いただきました。参加者が大規模になり、これまでコンテストを運営してきた先輩方が年々積み重ねてきたものを引き継ぐことができるよう、私たちもプレッシャーも感じていました。

 今年度からは高校の授業に「探究活動」が加わったこともあり、茨城の観光地をたくさん紹介するような作品ではなく、1つのモノや場所に焦点を当てた作品が多く応募されたように感じます。いばたんは、まず応募された全作品から学生運営委員が0次審査を行います。ここでは内容が「探究」に基づいて1つのものに焦点を当てた作品かどうか、著作権などの確認が取れているかどうかなどの審査を行います。しかし、今年度のコンテストでは多くの作品がそれらをクリアしていました。また、インタビューの映像が入っているものも多く、全体的なレベルが上がっていると感じました。高校生らしいユニークな編集や、面白さのある作品も数多く見られました。一方で、映像や音声にこだわりをもち、高校生とは思えないほど高いクオリティの作品もありました。選考は難航しましたが、46作品が次の1次審査へ駒を進めました。1次審査では、いばたん運営委員を務める学生に加えて、茨城大学の教員や学外委員の皆さんも加わり議論。最終審査(公開発表)となる2次審査に進む21作品を選出しました。

 今年度、2次審査にあがった作品は、地域にある名物についての作品が多くありました。実際に現地に行ってインタビューをしていたり、高校生が実際に体験している映像があったりして、どの作品も甲乙つけがたいほど素晴らしい作品でした。作品の中のインタビュー映像も、1人だけにインタビューするのではなく複数の人に協力してもらうことによって、テーマについていろいろな視野から見ることができていたと感じます。これは探究活動にとっても重要な視点だと思うので、高校生のみなさんがいばたんを通して探究できたのではないかと感じました。

 最優秀賞に選ばれたのは、水城高等学校・チームねっとうやけど30%の「水戸の由緒を巡って~水の都~」です。こちらの作品では、水戸の名前の由来でもある水と水戸の関係についてまとめられています。内容が素晴らしいのはもちろん、編集のクオリティも高く、特に探究性の部分が高く評価されました。私(立川)はこの作品を見るまでは、水戸の名前の由来について考えたことがなかったので、とても興味深い内容で、ためになる作品だと感じました。

※2次審査に進出した作品は、いばたん2022YouTubeチャンネルに公開されております。ぜひご覧ください。

ibatan2.jpg 優秀賞発表の様子

 無事に表彰式が終わり、エンディングへ。今までの歴史を振り返る場面では、自分が参加した時の写真もあり、改めてたくさんの方々が関わってくださっていることを感じました。そして、数々の協賛企業様、団体様、地域の方々、今年の大会に参加してくれた高校生、主催の大学に感謝します。


 ここからは、いばたん運営委員長である馬渡剛先生と、学生運営委員の吉田千尋さんと黒沢真緒さん(ともに人文社会科学部4年)にインタビューを行った様子をお伝えします。

Q.「まず、いばたんというビッグイベントを終えて、率直な感想を教えてください。」
黒沢さん
「終わった後に学外の方や、高校の先生からすごく良かったという声もいただいたり、意外と大きい反響をいただけたりして、そこに対してまず安心感を感じましたし、頑張って良かったなという気持ちです。」

馬渡教授「高校生だって取材はお金がかかるわけで、本気でやってくれる。だから大人が本気の証として賞金を出します。良いものがあれば、それを製品化までします。やはり本気になって若者を応援しよう、そしてこれからの茨城県は皆さん若者が支えなければならないので、我々は何をするかと言えばやはり活力や夢を与えるというのが非常に重要です。コロナの影響でこの2~3年間、高校生や大学生のうちにしかできないことがずっと制限されてきました。そこでやはり大人はどんどん縮小していく社会に対して、何かしなきゃいけないと。いばたんを県議会・教育委員会・企業が応援してくれている背景には、危機感の表れがあるのです。」

吉田さん「その大きなプロジェクト故に乗り越えなければいけない課題も多くありますが、それ以上にやはり感謝してくださる方々が圧倒的に多いです。例えば、高校生もこのいばたんコンテストをきっかけに地元の魅力に気づいて、ひいては地域のために頑張りたいという意識が、その高校生のうちから芽生えさせるということが、私たちにとってはやはりやりがいであり、大きな目的を果たせたと感じます。」

黒沢さん「形が変わったとしても、いばたんで生まれた輪や関わった人との繋がりというのは、やはり絶やさずにずっとつながって欲しいし、そのつながりを社会に還元、貢献していけるような活動を大学生が主体として行っていってほしいと切に願っています。私も春から社会人として、その活動をさせていただきたいというのが、今の一番強い想いと願いです。」

ibatan3.jpgQ.「高校生に向けて何か伝えたいことはありますか。」
馬渡教授
「多くの人たちは感謝してくれて、人によっては泣いてくれます。明日の未来を創る皆さんのために我々は生きている限りは永遠に夢を与えるつもりです。どんな苦難が待ち受けていても我々の使命というのは、人生100年社会といわれる中、私の場合、残りの人生あと50年、皆さんに夢を与え続けるということを約束したいな。」

吉田さん「探究の授業がこれからは毎年当たり前になってくる中で、逆にその探究の授業は総合学習として手を抜くか、力を入れるか人によって、高校・教員によって考えが二分化される中で、それを自分事として捉えてやってくれるかというのをぜひ高校生に期待したいなと思っています。もちろん、受験勉強や座学での勉強で忙しいかもしれませんが、その総合の探究の授業を捉え直してもらい、精力的にやってくれるような現場が増えたらいいのではないかなと思います。」

ibatan4.jpg 左から順に、黒沢真緒さん、馬渡剛教授、吉田千尋さん

 インタビューを受けてくださった吉田さんと黒沢さんは、いばたんと親和性がある就職先に就職されます。大学生時代に主催・運営側として活躍した経験を糧に、これからは社会人としていばたんを支えていきたいと語ってくださいました。

編集後記

 実際に高校生が作成した動画を見て、「本当にこれを高校生が作ったのか」と驚きました。現地に赴き取材をし、構想を練って動画を作成する。著作権に関しても大変だったことが多かったのではないでしょうか。これらを高校生がやってのけてしまうことに本当に驚かされましたし、ここまでの力を持って茨城県の魅力を探究してくれる高校生を、大人は全力で応援しなければならないと感じました。私たちも茨城県が大好きですが、高校生が作成した動画を見て初めて知ることばかりで、楽しくドキドキしながら鑑賞していました。先輩方の意思を引き継いでいけるよう、これからもいばたんの運営に精一杯携わっていきたいと思います。

(取材・構成:菊池 まゆ、立川 陽菜(ともに茨大広報学生プロジェクト・人文社会科学部1年)