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フランスの暮らし、ちょっと覗いてみませんか?
―人社の学生たちが手がける「フランスの暮らし展―皿で巡る蚤の市」1/30まで

 ダイヤかたどるように壁にディスプレイされたフランスのアンティーク皿の数々。中央に配置された鏡を覗くと、昔ながらの暮らしが根付くフランスの家庭のお部屋へ吸い込まれそうです。
 130日(火)まで茨城大学水戸キャンパス図書館1階展示室で開催されている「フランスの暮らし展--皿で巡る蚤の市」(主催:茨城大学五浦美術文化研究所)は、白磁に鮮やかな植物の文様などが描かれたフランスのアンティーク皿の魅力を存分に味わえる展覧会です。この展覧会は、人文社会科学部で開講している「ポピュラーカルチャー視覚表現演習」という授業の活動として、13人の受講者たちが、10か月近い期間をかけて調査から構成、展示作業までを手がけた成果です。

集合写真

 「ポピュラーカルチャー視覚表現演習」は、さまざまなテーマの展示空間を1年間かけて作り上げる実践型の授業です。これまでもフランスのバンド・デシネ( フランス語圏の漫画)など多様なテーマの展覧会が企画されてきました。
 今回テーマとなったのは、お皿。授業を担当する猪俣紀子准教授がフランスの蚤の市を回って集めたお皿のコレクションを前に「展覧会を作ってみたい」という思いで履修した学生たちも、「お皿ですか...?」と、最初はそれこそ目を皿にして驚いたようです。
 したがって、まずは自分たちでフランスの食器や蚤の市について調べるところから始まります。まずは、猪俣准教授のコレクションのお皿を手に取りながら、文献や画像検索(!)を駆使して、ひとつひとつ年代の特定や、「ムスティエ焼き」「カンペール焼き」「キュノワール」といった分類を進めていったそうです。それまでお皿に興味がなかった学生たちも、「あれからプライベートでもお皿の裏(年代などが書いてあることがある)とかを良く見るようになりました」と言います。

 展覧会の空間のデザインだけでなく、広報についても考えなければいけません。会場の入口付近には、受講メンバー全員分のチラシのデザイン案も掲示されていて、これもついつい魅入ってしまいます。展示の内容が詳しく決まる前に、広報用のチラシをデザインしなければならないというのは、実際の美術館の展覧会では普通の話。それぞれが展示のイメージを頭に描きながら、皿の写真はどの角度から撮影するか、どんな文章で興味を持たせるか、といったことを考え、形にしていきます。最終的には、黄色い背景に丸いお皿を整列させた吉田眞綺さん(3年)の案が採用されました。

所員企画展2023.jpg吉田さん作成のチラシ

受講生のチラシデザイン案。どの案も魅力的です。 受講生のチラシデザイン案。どの案も魅力的です。

 展覧会の大まかなレイアウトが決まってきたのが、去年の年末。そして年が明けたらすぐに展示の準備にとりかかります。学生たちは授業の合間を縫って展示室に集まり、そこで実際に展示をしながら、さらにレイアウトを改善していきます。

 「『映(ば)える』ような展示に」ということを念頭に構成したのが、この展覧会のメインともいえる、正面のディスプレイです。黄色い壁の中央に鏡がかかり、その鏡を囲むようにしてダイヤの形に34枚のお皿が配列されています。来場者がその鏡の前に立って写真を撮ることを想定し、天井のスポット照明のひとつは、その来場者を照らす方向に向けられています。これは、照明を担当した佐谷戸駿介さん(3年)のアイデアだったそうです。
 さらに佐谷戸さんの工夫は、このディスプレイに対応したキャプション(説明)の見せ方にもありました。お皿のダイヤから目線を右側に移すと、そこにはひとつひとつのお皿の説明が書かれたプレートが、同じダイヤの形に並んでいます。「お皿の下にキャプションをつけると、映えなくなっちゃうと思い、直前までどうしたらいいかといろいろ悩んだ結果、この形に落ち着きました」(佐谷戸さん)。

お皿を壁に飾る 
 もともとフランスの家庭では、お皿を壁に飾ることは一般的。その雰囲気を再現したい、という展覧会の狙いは、このディスプレイでしっかりと伝わってきます。また、会場にはそれだけに留まらず、実際に棚や椅子などの家具と並べて見せたり、かわいい雑貨をテーブルに並べたりして、蚤の市やフランスの家庭を巡り歩いているような構成になっています。

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 特に学生にたくさん見に来てほしいという思いから、これまたフランスの蚤の市で見つけたというスタンプをハガキに押して持ち帰るコーナーや、クイズコーナー、指定したハッシュタグをつけてSNSに投稿したらステッカーがもらえるといった仕組みなど、工夫を凝らしています。

体験コーナー

 取材した日、受付を担当していた田中大貴さん(3年)は、「お皿に興味がなくても100%楽しめる、ロマン溢れる展覧会になったと思います。ぜひお越しください」と呼びかけていました。

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五浦美術文化研究所所員企画展2023
 「フランスの暮らし展 ―皿で巡る蚤の市―」


日 時:2024118日(木)~130日(火)11001600
120日(土)、21日(日)、27日(土)、28日(日)は閉室
会 場:茨城大学水戸キャンパス図書館1階 展示室
入 場:どなたでも・入場無料

詳細はこちらをご覧ください。