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大学生協の100円カレーをコマツの副本部長と農学部の学生が一緒に味わっている理由
―農業用ブルドーザーを使った実証研究の収穫米を寄贈

 こちらの写真、阿見キャンパスの生協食堂でおいしそうにカレーライスを食べているのは、建設機械メーカーのコマツのグリーン事業(林業・農業)推進本部の坂井副本部長と農学部の学生・教職員たちです。今週(121日まで)は、茨城大学の3キャンパスの生協食堂で「100円カレー」を提供中。実はその経緯にコマツが関わっており、写真の「カレー会」実現へと至っているんです。

 茨城大学生活協同組合では、11月27日(月)~12月1日(金)の1週間、水戸・阿見・日立の各キャンパスの食堂にて、「学生応援メニュー」として、カレーライスを100円で提供しています。学生にも教職員にも嬉しい限りです。
 きっかけは、建設機械メーカーのコマツと茨城大学農学部の共同研究を通じて収穫された新米が、茨城大学生協も加盟する茨城県生活協同組合連合会に寄贈されたこと。その他、子ども食堂を運営している団体などにも寄贈されています。このお米の寄贈はここ数年、毎年行っているので、本学のホームページや新聞記事などを通じてご存じの方もいるかもしれません。

 茨城大学農学部とコマツは、2020年から、コマツが開発した農業ブルドーザーを用いた「乾田直播水稲栽培」の実証研究を共同で行っています。お米の栽培というと、水を張った田んぼに苗を植えるというのが一般的なイメージですが、この実証研究では、水を張っていない「乾田」に、イネの種子を直接播いて栽培するというもの。これがうまくできれば、苗づくりや田植えのコストが削減され、休耕地活用の促進や地域農業の持続可能性につながることが期待されるのですが、そのためには高い精度で圃場面を平らにしなければなりません。

 そこで役立つのが、高精度ICTを搭載したコマツの農業ブルドーザー。GNSS測量データを用いてブレードの高さを自動制御することで、4ヘクタール以上の大規模な圃場の均平化も可能になります。加えてこの農業ブルドーザーは、後部に農業用アタッチメントをつけられるので、耕起作業や種まき作業もできるという優れもの。研究に取り組んでいる農学部の黒田 久雄 教授は、この技術を利用して、田の縁に沿って水路を設ける「額縁明渠(がくぶちめいきょ)」という灌漑システムを大区画水田に適用することも検討しています。

pict_02_3.jpg 農業用アタッチメント(V溝播種機)を装着したコマツの農業用ブルドーザー

 この大規模農場での実証研究ではたくさんのお米が収穫されます。コマツと茨城大学農学部では、2020年の研究開始当初から、これらの新米を地域の子ども食堂や学生等に寄附する活動をしています。
 今年は、「にじのきらめき」という、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が育成した水稲新品種を栽培しました。この品種は高温登熟性に優れた特徴をもっており、記録的な今年の夏の暑さでも良い品質のお米が収穫できたため、今年は14トンもの新米が各団体へ寄贈されることとなりました。

 11月29日には、その贈呈式を阿見キャンパスで開催。
 贈呈式には、農学部の宮口 右二 学部長、黒田教授のほか、コマツからはグリーン事業(林業・農業)推進本部の坂井睦哉副本部長が出席し、寄贈先である子ども食堂運営団体「ami seed」の清水直美代表、県生活協同組合連合会の井坂寛専務理事に目録を手渡しました。

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 説明が長くなりましたが、そのお米が大学生協へと渡り、茨城県共同募金会の事業助成も活用して学生への「100円カレー」の提供に至ったというわけです。

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 そして、そのカレーライスをみんなで味わおうと、贈呈式の前にコマツの坂井副本部長と農学部の学生たち(黒田教授も)が食堂へ立ち寄り、冒頭の写真の「カレー会」が催されたのでした。
 カレーライスを食べた坂井副本部長は、「お米の粒が大きく、食感も良い」と舌鼓を打ちます。また、コマツとの共同研究にも携わった学生の横井さんも一緒に100円カレーを味わい「食べ応えがあっておいしい。これが100円で食べられるのはありがたい」とご満悦の様子。

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 ということで、学生のみなさん(教職員のみなさんも!)、茨大生協の食堂での「100円カレー」は金曜日までです。農学部とコマツの実証研究から生まれたお米を、ぜひ存分に味わってください!!