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装着型サイボーグ「HAL」で最先端技術を学ぶ体験プログラム、
水戸キャンパスで開催される

 装着型サイボーグ「HAL(ハル)」を体験しながら最先端技術を学ぶという、中学23年生を対象としたプログラムが、823日~25日、茨城大学水戸キャンパスで開かれました。
 企画・運営をしたのは、教育学部技術教育教室の川路智治助教らのチーム。学生たちも「HAL PROJECT Ⅱ」の文字が入ったお揃いの黒いポロシャツをまとい、参加者の装着やデータの計測をサポートしました。

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hal_2.jpgHAL」は筑波大学の山海嘉之教授が開発し、筑波大学発ベンチャーのCYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社が製造・管理している装着型サイボーグです。人間が身体を動かそうとする際の脳からの生体電位信号(バイタルサイン)をセンサーが読み取り、装着者の意思に沿った動作を機械が補助するもので、現在、医療や介護などの目的で利用されています。

 川路助教らは、最新の中学校技術・家庭科(技術分野)の学習指導要領において、双方向性のあるコンテンツのプログラミングや情報セキュリティに関する内容の教育が取り入れられていることや、新しい技術に対する子どもたちの発想を促したいという考えから、教材としての「HAL」の可能性に着目。2021年度から、茨城県内外の中学校などの学校現場で授業実践を展開しています。
>>2022年夏に県内の中学校で行った実践の様子をまとめた記事

 実験的な授業実践を繰り返す中で、実際の中学校の授業で扱う上での構成はだいぶ確立されてきたようですが、中学生たちにHALを安全に装着してもらい、技術への理解を深めてもらうためには、それをサポートする学生たちのトレーニングも継続的に行っていく必要があります。
「学生が自分自身でHALを装着できるようになるまでは、装着のサポートはさせないことにしています」と語るのは、川路助教とともに研究・実践を進めてきた技術職員の小祝達朗さん。そのためにも毎年のように実践の場をつくっていくことが大切です。

 今回大学内で実施した体験プログラムは、科研費(科学研究費助成事業)に関連した「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」の助成を受けて行われました。1グループ4人×1日2回×3日の計24人の募集枠は、あっという間に埋まったそうで、茨城県外から参加した中学生もいました。最新の技術に触れたいというニーズの高さがうかがえます。

 プログラムは1回あたり110分。まず、サイバニクス技術や装着型サイボーグの原理、医療現場などでHALがどのように使われているかについて、動画や講義を通じて理解します。その後実際に装着をしてみて、さまざまな運動をしながら、自分の動きや意思に対してどのようにHALが作動するか、また身体にどんな変化があるかを体験しました。

 装着体験の前と後で体前屈や垂直跳びの記録を比較すると、多くの参加者の数値が伸びていました。これはあくまで「即時効果」で、ずっと効果が続くものではありませんが、それでもHALの技術やその可能性に対する中学生たちの実感はぐっと強まります。体験した中学生や、見学していた保護者の方からも「すごい!」という声が聞かれました。

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 小祝さんによれば、こうした実感をしっかり得られるようにするためには、装着体験における指導をきめ細やかに行う必要があり、大人数への対応はまだまだ難しいとのこと。チームでは今後もさまざまな場で実践を続けながら、中学校の現場での広がりを展望していきます。