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茨大卒の作家・高野史緒さんの新刊『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』発売
―故郷の土浦が舞台の青春SF 茨大生の登場人物も

 茨城大学人文学部卒業生の作家・高野史緒さんが書いた新刊『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』(ハヤカワ文庫JA)が、早川書房より発売になりました。高野さんにとって初めて故郷の土浦を舞台にしたという青春SF小説です。

 高野史緒さんは1966年茨城県土浦市生まれ。1990年に茨城大学人文学部人文学科(西洋中世史)を卒業し、地元出版社に勤務。その後1994年にお茶の水女子大学人文科学研究科修士課程を修了しました。1995年、『ムジカ・マキーナ』(新潮社)で作家デビューし、歴史改変SFで高い評価を得ます。2012年には、ドストエフスキーの名作の続編という体裁をとった『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩を受賞。2017年~2019年には日本SF大賞の選考委員も務めました。

 今回の新刊のタイトルにある「グラーフ・ツェッペリン」とは、硬式飛行船を実用化したドイツのフェルディナント・フォン・ツェッペリン伯爵の名前を冠した、ドイツの飛行船のこと。ツェッペリン号は1929年に世界一周を敢行。その途中、現在の土浦市・阿見町に広がって設置されていた霞ケ浦航空隊の基地に立ち寄り、当時は東京からも多くの見物客が訪れるなど大きな話題となりました。

 小説は、土浦第二高等学校の高校生の夏紀の視点と、飛び級で大学に進学して量子コンピュータの開発に関わっている登志夫の視点の物語が、交互に展開していく構成。舞台は2021年ながら、2人は幼いころに「グラーフ・ツェッペリン」を見たという不思議な記憶を持っています。小説の上では、2人が別の「世界」に住んでいることが徐々に明らかになっていきますが、その2人の間でメタバースを通じた接触が始まります。果たして「グラーフ・ツェッペリン」の正体は――

 小説には土浦の象徴的なモチーフがとても印象的な形で登場し、現地の風景や歴史を知る読者にとっては、それらの具体的なイメージに彩られたSFの物語を味わうことができます。また、「茨大生」という設定の登場人物が出てくるところは、茨城大学関係者にとって必見のポイントです。

 なお、茨城大学水戸キャンパスの茨城大学生活協同組合2階書籍部では、本作はもちろんのこと、高野さんのこれまでの作品も集めた特設コーナーを設けています。さらに1011日(水)には、水戸キャンパスにおいて、茨城大学生協学生委員会(GI)と茨大広報学生プロジェクトの協働企画により、高野文緒さんの講演会を開催する予定。詳細は追ってお知らせしますが、ぜひそれまでに小説を手に取り、当日の講演を楽しんでいただければと思います。

新刊『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』 水戸キャンパス 生協2階書籍部でのフェアの様子(写真上下とも)
茨大OG!高野史緒さん作品フェア