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二酸化炭素を直接利用する微生物によるバイオものづくりを促進
ー茨大を含む8機関がGI基金事業に参画

 NITE(ナイト)・独立行政法人 製品評価技術基盤機構を中心とし、茨城大学など計8機関は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」プロジェクトに参画し、「CO2固定微生物利活用プラットフォームの構築」事業を開始しました。
 本事業では、CO2を原料とした有用物質の生産に寄与する多種多様な微生物とその関連情報(生育条件、ゲノム情報、有用遺伝子情報等)を整備するとともに、それらを利活用できるプラットフォームを構築し公開します。このプラットフォームを活用することで、産業界はCO2を直接原料とした微生物によるバイオものづくりの開発スピードを加速できます。

>>詳しくはプレスリリースをご覧ください。

 我が国は、2050年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする"2050年カーボンニュートラル"を宣言し、これを実現するための産業政策を日本の成長戦略として位置づけています。こうした中で、水素酸化細菌などCO2を直接利用する微生物によって工業製品の素材等を生産する"バイオものづくり"が注目されています(図1)

カーボンリサイクルにおける微生物への期待 図1 カーボンリサイクルにおける微生物への期待



 しかしながら、現在、CO2を直接利用する特定の微生物についての基礎研究や実用化研究が世界的に行われているものの、社会実装につながる開発にはいまだ課題が多い状況です。その理由の一つに、産業利用できる微生物が少ないことと、利活用に有用と思われる遺伝子情報等が十分整備されていないことが挙げられます。

 これらの課題解決に貢献するため、NITE、東京大学、京都大学、茨城大学、JAMSTEC、遺伝研、DBCLS及びbitBiome株式会社は、共同でNEDOのグリーンイノベーション基金事業「バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」プロジェクトに参画します。

 具体的には、CO2を利用して生育できる多種多様な微生物を収集して約1,000株を提供できる体制を構築することを目指します。また、各参画機関の強みを活かし、CO2を原料として利用するために必要な遺伝子情報や機能情報を整備するとともに、これらの情報の利活用を支援する情報検索ツールも併せて開発します。さらに、本事業で得た微生物情報及びその関連情報と、開発した検索ツールを一元的に収載した「CO2固定微生物利活用プラットフォーム」を構築し、公開します(図2)

固定微生物利活用プラットフォーム 図2 CO2固定微生物利活用プラットフォーム

 このプラットフォームにより、産業界が活用できるCO2を直接利用する微生物の選択肢が増えるとともに、有用物質の生産を効率化するために必要な微生物関連情報(ゲノム情報、培養条件、代謝系情報等)をワンストップで検索することができるようになります。これにより、バイオものづくりの開発期間を大幅に短縮することができるようになります。

参加機関

  • NITE(ナイト)・独立行政法人 製品評価技術基盤機構
  • 国立大学法人 東京大学
  • 国立大学法人 京都大学
  • 国立大学法人 茨城大学
  • JAMSTEC・国立研究開発法人 海洋研究開発機構
  • 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所(以下、遺伝研)
  • DBCLS・大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 ライフサイエンス統合データベースセンター
  • bitBiome株式会社

出典・説明

NEDOがグリーンイノベーション基金事業の一環として着手したプロジェクトで、「有用微生物の開発を加速する微生物等改変プラットフォーム技術の高度化」、「CO2を原料に物質生産できる微生物等の開発・改良」、「CO2を原料に物質生産できる微生物等による製造技術等の開発・実証」の実現を目指して研究開発・実証を行う。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101619.html