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誰だって挑戦できる世界!一歩踏み出した学生起業家たちを直撃!

 昨年11月、本学が主催する「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2022」の最終審査が行われました。ファイナリストとしてプレゼンテーションに臨んだ8チームの中には、本学学生が所属する2チームが選出され、それぞれ受賞を果たしました。受賞した2チームのメンバーに、茨大広報学生プロジェクトのメンバーがインタビューしました。

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 20221127日(日)、茨城大学水戸キャンパスで、「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2022」の最終審査が行われました。

 「茨城県学生ビジネスプランコンテスト」とは、学生のアントレプレナーシップを育むこと、そして、企画力及び課題発見・解決能力の育成を目的としたコンテストです。
 同年10月に行われた一次審査には、中学生から大学生までの幅広い年代の学生がエントリー。書類審査により、132チームの中から上位8チームが最終審査のプレゼンテーションに挑むことができます。審査では「プランの独自性・魅力」、「社会へのインパクト」、「プランの将来性」、「実現可能性」、「プレゼンテーション力(意欲・熱意等)」の5つの項目により採点されました。

 最終審査には本学学生の2チームがファイナリストとして登壇し、それぞれ企業賞などを受賞しました。

VRackbelts(ブラックベルツ)

オーディエンス賞、株式会社アプリシエイト賞、関彰商事株式会社賞 受賞

タイトル:VR塾~美しい日本の未来は、良い教育から~
メンバー:倉茂友杜さん(人文社会科学部現代社会学科 2年)、白井伸太郎さん(工学部情報工学科 1年)

プランの概要:
近年注目を集めているVR技術は、教育業界においても活用方法が検討されている。「アバターを使えば、顔を出さずに参加できる」というバーチャルの魅力を活かすことで、学校に行きにくい子供たちに「勉強って楽しい」と思ってもらえるきっかけを創出する。さらに「リアルだからこその魅力」をより鮮明にするために、学問都市である「水戸」という土地柄と密着し、両者の魅力を有効に活かしたコンテンツを開発中である。
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ibrary制作委員会

水戸ヤクルト販売株式会社賞 受賞

タイトル:ibrary(アイブラリー)多言語対応オンライン茨城ガイド
メンバー:田中大貴さん(人文社会科学部現代社会学科 2年) 鈴木祥剛さん(法政大学 経営学部市場経営学科 2年)

プランの概要:
茨城県の高いインバウンド需要を最大限に活かすには、観光地の多言語化を充実させることが必須となる。そこで、観光地の情報やパンフレット、ガイド類を多言語で閲覧できるオンラインサービス、ibrary(アイブラリー)を制作する。茨城を訪れた外国人旅行者を主な利用者とし、観光地や自治体とも連携して多言語での情報発信を実施する。事前ダウンロードの必要がないウェブ上で、「歩きながら使える観光ガイド」としてサービスを展開する。
MicrosoftTeams-image (22).jpg※その他最終審査結果はこちらをご覧ください。


 今回は、この2チームの茨大生に、コンテスト応募のきっかけや今後のビジョンなどをインタビューしました。

―皆さん、受賞おめでとうございます。まず、このビジネスコンテスト(以下、ビジコン)に応募したきっかけを教えてください
田中「もともとこういったサービスを提供したいと考えていました。大学のアントレプレナーシップ教育プログラムの授業を受講していて、早い時期にやっておこう!と思って気軽な感じで参加しました。最初は一人で取り組んでいたので、行き詰まったりユニークさに欠けたりした部分がありました。そのため、仲間を募ったところ、集まったのが鈴木だったという感じですね。ビジネスパートナーの鈴木(田中さんと同じチームの鈴木祥剛さん(法政大学経営学部市場経営学科2年))が入ったのはギリギリだったのですが、やはり、一人で考えるよりも案や内容の深みが出てきて、実現に向けて進められたと思います。」

白井「友人がコンテストなどに出場していたこともあり、やってみたいと思っていました。倉茂先輩と、(アントレプレナーシップ教育プログラム担当の武田直樹講師が開講していた)ビジネスプランコンテスト対策ゼミ(以下、ビジコン対策ゼミ)で会って、こんなこと先輩はやっているんだ、なら僕もやってみようと。もともと起業することに興味を持っていました。倉茂先輩と柔道部で一緒だったこともありましたので。実際に、プランをより魅力的なものにするために、プレゼンの資料作りの一貫として動画作成を行いました。「VR」という言葉に馴染みのない方にもわかるように、動画を加えより思いを伝えやすくしました。」

倉茂「私も将来的に起業してみたいなとは思ってはいました。去年アントレプレナーシップの授業を受けていましたので、起業自体は馴染みのあるものでした。アイデアを具体化していく過程で、実際に、物として実現化していったほうがわかりやすいと思ったため、参加しました。アイデアを構想したのは7月でしたが、それからも案をあたためていました。その後、夏のビジコン対策ゼミの発表の時には、アントレプレナーシップの授業を受けていて、学部でもプログラミングを学んでいるということで白井くんを誘った感じですね。僕たちは、部活、授業や課題、アルバイト、本当に多忙の中で、お互いに隙間時間を探しながら、進めていました。」

 茨城大学は、アントレプレナーシップ教育プログラムを実施しています。
 「アントレプレナーシップ(起業家精神)」とは、私たちの生きている社会をより良くするために、失敗を恐れずに果敢に挑戦する精神のことを指します。起業家になるだけでなく、どのような道に進むとしても求められる力です。
 授業題目「アントレプレナーシップ入門Ⅰ」、「アントレプレナーシップ入門Ⅱ」はすべての学部の学生がリベラルアーツ科目として履修することができ、様々なアントレプレナーやイントレプレナーとの出会いをとおして今の時代におけるアントレプレナーシップを学ぶことができます。

DSC_6652 VRackbeltsの倉茂友杜さん

―学生の本業である勉強だけに留まらず起業をしようとするのは確かに大変ですよね。
田中
「本当に困難と向き合う日々でしたね。チームメンバーの鈴木とは通っている大学が違うため、集まって話し合いをすることもなかなか難しいですし、お金の面でもそこまでかけられない。逆に、そのような制限された中で、いかに頭を使って考えていくかどうかが面白いと思います。そして、その環境だからこそユニークなアイデアが生まれるのではと思います。」

白井「難しいことはあると思うのですが、誰でも、強い想いがプランの中にあると思うんですよ。色々と進めていく上で、最初の思いを忘れてしまう。だからこそ、大変なこと、できないことなどの困難に直面したときに、プランを作ることになったきっかけなどの思いを持ち続けることが大切かなと思います。また、制限があることによって、人の頭はまわっていくと思います。学生という制限の中で、取り組むことはよいのかなと思います。」

倉茂「僕も、何とかして仕上げるという想いさえあれば、熱中し、没頭して色んなことができると思います。これに関しては、2つほど伝えたいことがありまして、1つ目は、効率化って大切だなということです。時間があればダラダラとやってしまう。ただ、やることがたくさんあると、いかに要領よくさばいていくか、こなしていくか、にフォーカスできるので良いと思います。2つ目は周囲の環境、社会に出て、起業した、もしくは起業する人の集団に身を置くことも一つの手段だと思います。僕自身も不安ですが、背中を後押ししてくれる方や、協力するよ、という大人をどれだけ味方につけられるかが、個人的に大切だと感じます。」

DSC_6632.JPG VRackbeltsの白井伸太郎さん

―では、そうした周囲の環境を整えていくという面で、茨城大学のアントレプレナーシップ教育プログラムの授業やゼミは大きく関与してきましたか。
田中
「そもそも、学生のうちに事業を考えること自体がなかなかない経験ですし、もともと茨城大学入学前は、アントレプレナーシップという言葉も聞いたことがなかったので、そういう意味では、一つのきっかけとして良かったと思います。また実際に、起業された方にお話を聞いてみて、実際に作るとしたらどうなるだろう、とイメージを膨らませていくことができましたね。世界を広げてくれるものでした。茨城大学のアントレプレナーシップに出会えなかったら、今回のビジョンはなかったですし、ビジコンには出ていないと思います。」

白井「僕の友達が、アイデアピッチコンテスト(東海地区の学生を対象に開催された、事業や社会貢献、学生イベントなどのアイデアを発表するコンテスト)に出ていて、僕も将来的に出てみたいなと思っていました。そういったときに、何か始める入り口として、武田先生のビジコン対策ゼミに出合いました。なので、始めるきっかけとして、役に立ったと思います。」

倉茂「私は高校の時から、将来会社の社長をやりたいと思っていて、事業をたてたいという想いは前からありました。アントレプレナーシップの授業を通して、起業家の皆さんのすごい話を聞けるのは経験としてはプラスでしたが、実際に、自分がどう落とし込んで、自分なりの形でどうアウトプットしていくか、はまた別の問題だと思っています。アントレプレナーシップの授業の中で、最も経験として得られたのは、武田先生と出会ったことですね。今でも、社会連携センターによく行きます。授業外で繋がりを作ることができたことは、本当に良かったと思います。」

白井「茨城大学の取り組みとして、ビジコン自体も立派な取り組みだと思うんですね。今回、あの場で発表することによって、自分たちの案を大学外の方にも見せられましたし、そのことで企業の方と連携をとることができました。授業に限らず、コンテストを開催していただいたことは、茨城大学の良い取り組みだと思います。」

 茨城大学社会連携センターとは、地域の市民・自治体・産業界とともに、さまざまな取り組みを行っている組織です。
 教員と地域との共同研究を「地域研究・地域連携プロジェクト」として支援しているほか、学生たちもさまざまな地域で多彩な活動に取り組んでおり、全学の学生たちが集まって活動発表や交流を行う「学生地域活動発表会」を開催しています。
 茨大生は、社会連携センターを利用することができますので、ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。


―受賞日から今日(インタビュー日)まで2週間程度あったと思いますが、何か変わったことなどがありましたら教えてください。
田中
「ビジコン当日、審査員の方からフィードバックで、とにかく先に形にして、そこから練ったほうがいい、実際にibraryというガイド類を多言語で閲覧できるオンラインサービスを、外国人観光客に使ってもらったほうがいい、などのアドバイスをいただきました。今度、県庁の方とお話できる機会を得られたので、そこでもプランの実現化について話し合い、継続性の部分を需要と供給面を実現しようという目標には、より近づけるのではないかと思います。」

倉茂「プレゼンの中で、2023年1月に会社の設立、3月に実施と伝えた以上、やるしかないので、この二週間色々と進めていました。企業名やコンテンツの詳細、提供方法、収支計画など、まだアイデアが固まっていない内容を詰めて、プランの実現化にむけて日割りのスケジュールを立てています。」

DSC_6636 ibrary制作委員会の田中大貴さん

―これから起業しようとしている学生の方々に何かメッセージがあればお願いします。
田中
「早いうちにプランを練っておいて、取り組んでみて!『鉄は熱いうちに打て』ですね。早く取り組んでいれば、実現性、実施計画を更にブラッシュアップできたかなと思います。自分なりに良いものはできたのですが、時間をたくさんかけたほうがさらに良いと思います。一人からでもできることはたくさんあると思うので、アイデアがあるうちにまずはやってみたほうがいいなと思います。最初は、僕自身も一人だったので。やることはたくさん出てくると思うので、直ぐ飛び込んで行って欲しいなと思います。」

白井「最初の一歩が大切だなと思います。僕の場合ですと、ビジコン対策ゼミがその一つで、倉茂先輩と出会い、VR塾の企画を一緒に作り上げるほどの仲になりました。ビジコン対策ゼミだけでなく、授業外の活動に足を踏み入れてみて、大学の授業に縛られずに、外の世界に出てみたらいいと思います。」

倉茂「お二方とはまた違う視点になるのですが、どういう環境に身を置くかが100%大切になってくると思います。周りの人が全員社長だったり、学生でも会社経営をしている人の中に入れば、自分もやらないといけないなと思ったりするんですね。これは、起業だけでなくて部活などでも同じで、例えば、部活で3時間練習をしたら「頑張った~!」となると思います。でも、強豪校の場合は、長時間の練習が当たり前だったりしますよね。人間って、環境に対応できるし、環境に大きく影響を受けると思うので、本当に会社を作りたかったり、一歩踏み出したいなと思ったりしているならば、自分にかかわる人を自分の目標の人にしてしまえばいいんですね。そうすると、自分もやらなきゃまずいなと思い、必然的に始められるんですよ。そうなれば、無理にでも前に進めると思います。今回、私が1月に会社を作り上げると掲げたのも、強制的に逃げられないようにしていったというのがあります。アントレプレナーシップの授業は、まさにそういう環境で、他学部の方と交流できるよい場所だと思います。」

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―最後に、今後のプラン、夢がありましたら教えてください。
田中
「自分だけで今後やり続けることは難しいので誰かと連携していき、引き継がれていくようなものになってほしいと思います。自分達のプランは、利潤追求ではなくてボランティアのような形式なので、どう続けていくかがより大切になっていくと感じます。現状、二人しかいないので、色んな人を巻き込み、大きなグループにして育てていきたいです。また、僕自身の夢として、茨城が大好きなので、ゆくゆくは茨城の何かに貢献していきたいと思っています。」

白井「今回はVR塾のプランにサポートする形で入ったので、次は、人に見せるものを作ったり、人の心を動かしたりできるようなことをしていきたいと思います。自分自身でも、本当にやりたいものを見つけていきたいです。」

倉茂「まずは、今回のVR塾のプラン構想において支えてくださった方々に感謝したいと思います。今後の夢としては、VR塾が、子供たちの学習環境を作っていくものですので、今社会的にいろんな変化がある中で、次世代につなげていけるものを作っていきたいですね。そうした会社をつくり上げていきたいと思います。また、VR塾は、水戸に限らず、日本全国、そして世界ともつながれるものじゃないですか。なので、いろんなところで人と人とのつながりのきっかけを提供できればと思います。」

取材後記

 今回のインタビューを通して、彼らのように実際に行動していく人になりたいと感じました。特に、自身の周囲の環境を整えていくこと、自分が逃げられないような環境をつくり上げていくことの大切さを学びました。私も起業に興味があるため、彼らの姿勢に学び、成長していきたいと思います。

(取材・構成:茨大広報学生プロジェクト 野村 香瑚(農1年))