茨城大学は、9月30日、本学と東海村、日本原子力研究開発機構(JAEA)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、東京大学の5者による「東海村産業振興ビジョン実現におけるイノベーション創出及び人材確保・育成に関する連携・協力協定」を締結しました。東海村における先端科学技術の集積という強みを活かして、アカデミア発スタートアップ創出や人材の確保・育成に連携して取り組んでいきます。
茨城県東海村は、日本の原子力研究拠点として発展してきた歴史をもち、現在もJAEAとKEKが運営する大規模陽子加速器施設J-PARCなどの有力な研究施設を有しています。その周囲では茨城大学や東京大学も研究・教育拠点を設け、機関間でも連携をしながら研究や人材育成を進めています。
そうした中、東海村では昨年(2025年)3月に「東海村産業振興ビジョン」を策定。「最先端の科学技術が集積するポテンシャルを活かした魅力あるまち」を目指すとした上で、「先端科学技術の集積地である強みを活かしたイノベーションの創出」を重点施策の1つとして掲げています。
東海村では、研究機関や発電関連施設を中心とした産業が地域経済の中核となっている一方、そうした産業活動から生まれた経済価値の一部が村外へ流出している点を課題と認識。そこで、地域内で新たな企業や事業を生み出し、価値が循環する仕組みをつくる手立ての一つとして、研究成果を活用したスタートアップ創出の仕組みづくりに注目し、今回の連携協定締結へとつながりました。
9月30日、東海村役場において各機関の代表者の出席のもと行われた締結式で、東海村の山田修村長は、「東海村では今までも様々な知見や人材を生み出してきたが、それをさらに伸ばしてイノベーションにつなげていくにはまだ梃入れが必要。村や地域の産業に結び付けていくためにも、この締結を機会にそこへ踏み出していきたい」 と述べました。そして 「アカデミア発のスタートアップをどんどん輩出し、改めて地域の知の拠点として国内外に発信できる場に育てていきたい」と意気込みを語りました。
また、茨城大学の佐川泰弘学長は、東海サテライトキャンパスを拠点に大学院理工学研究科量子線科学専攻や原子科学研究教育センター(RECAS)の研究教育の取組みの系譜を紹介。
さらに、理工学研究科に「地域共創による次世代原子力デジタルツイン人材育成」事業が国の大学・高専機能強化支援事業に採択されたことや、日立キャンパスにひたち革新エネルギー&DX 共創センター「SAKURA BLOOM PARK」の整備を進めていることなどの最近の取組みにも触れたうえで、「一連の本学の教育研究そして産学官連携の取り組みをこれまで以上に東海村の産業振興とも結びつけていきたいと考えている」と述べました。
今後は本協定をベースに実務者間の対話を進め、東海村におけるスタートアップ促進拠点の構築や、協働での研究・教育環境のオープン化などを進めていく予定です。