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人文社会科学部×川又書店×水戸エクセル協力の経営学セミナーを水戸駅で
―「茨城を彩るビジネスの偉人たち」第1回を開催

水戸エクセル内の会場には多くの来場者が集まった

 仕事や学校の帰りに、水戸駅で地域のビジネスと経営学を学んでみませんか?
 8月27日、全7回の公開セミナー「茨城を彩るビジネスの偉人たち」がスタートしました。会場は、水戸駅直結の駅ビル「水戸エクセル」内の特設スペース。茨城大学人文社会科学部市民共創教育研究センター、株式会社ブックエース、水戸ステーション開発株式会社の共催により初めて実施された企画です。

地域の経営実践と大学の知をつなぐ

 茨城大学大学院人文社会科学研究科では、地域で活躍する高度マネジメント人材の育成に力を入れており、企業や地方公共団体で働く社会人も毎年多く学んでいます。

 経営学やマーケティング論を担当する教員グループは、昨年、共著『マネジメントのダイナミズム』(白桃書房)を刊行するなど、研究成果の発信にも取り組んでいます。また、社会人大学院生が自身の職場を題材に研究を進める事例も増えてきました。

 本セミナーは、こうした機運の高まりを背景に企画されたものです。地域企業の経営者や実務家と茨城大学の教員が対談形式で登壇し、地域ビジネスの最前線や経営に関する考え方について語り合います。参加費は無料で、どなたでも参加できます。

水戸駅ビル「エクセル」の入口 ポスターも掲げられている
水戸駅ビル「エクセル」の入口 ポスターも掲げられている

初回から満席に

 セミナー初日となった8月27日。どれほどの来場があるのか不安もありましたが、人文社会科学部や地域未来共創学環の学生たちもスタッフとして腕章を着け、会場周辺で来場者を案内しました。

 水戸エクセル館内や川又書店エクセル店のポスターを見て立ち寄った方も多く、開始時間の18時が近づくにつれ用意した座席は満席に。主催者一同、安堵の表情を浮かべました。

ヤクルトで乾杯!

 第1回のゲストは、水戸ヤクルト販売株式会社代表取締役の内藤学氏です。内藤氏は、広告代理店勤務などを経て水戸ヤクルト販売に入社し、現在は同社社長を務めるほか、茨城県商工会議所連絡会会長なども担っています。また、趣味の落語を生かして水戸市宮下銀座の「水戸みやぎん寄席」の席亭も務めています。

 内藤氏のレクチャーは、ヤクルト創業の原点である医学博士・代田稔氏による「乳酸菌 シロタ株」の研究開発の歴史からスタート。その後、参加者全員に配られたヤクルトでの乾杯を合図に、本題へと入りました。

「底に成分がたまっているので、まず軽く振ります。蓋は半分だけ開けるのがコツです。それでは、乾杯!」

 会場は和やかな雰囲気に包まれました。

ヤクルトで乾杯

商品を届けるだけではないヤクルトレディの役割

 レクチャーの中心となったのは、日本国内で約3万人、海外で約5万人が活動するヤクルトレディと顧客との関係です。

 内藤氏が読み上げる、ヤクルトレディとお客様との豊富なエピソードをいずれも胸をうつものばかり。足腰を痛めた高齢者の洗濯物干しを手伝ったこと、入院中のお客様に代わって飼い猫の世話をしたこと、怪我をした方の代わりに回覧板を届けた……単なる商品販売を超えた、ヤクルトレディと顧客の深いかかわりがどのエピソードからうかがえます。お客様の方からも、「元気を分けてもらえる」「人の温かさを届けてくれている」といった感謝の言葉が寄せられているそうです。

ヤクルトレディの「対話と傾聴」の大切を強調する内藤氏
ヤクルトレディの「対話と傾聴」の大切を強調する内藤氏

 水戸ヤクルトでは、こうした取り組みの核となる考え方として「対話と傾聴」を掲げています。1軒あたりの平均滞在時間は約8分30秒。その数字からも、お客様との会話を大切にしていることがうかがえます。

 また、地域とのつながりは訪問販売にとどまりません。「センターまつり」「工場見学」「感謝の会」などを通じて顧客との交流を深めるほか、「みんなの食堂」の運営や福祉施設への寄贈活動など、地域貢献にも積極的に取り組んでいます。

経営学から読み解く価値共創

 今回、トークのコーディネートを務めたのは、顧客満足度と価値共創の研究を行う今村一真教授です。

 今村教授は、内藤氏との出会いを通じて水戸ヤクルト販売の実践に着目。5人のヤクルトレディへのヒアリング調査を同社と共同で実施。その結果、「商品を届ける」という基本的な機能から始まり、対話や傾聴を通じて顧客との関係が深まり、それが地域における利他的な行動へと広がっていく過程を、「アクティビティ・ネットワーク」として描き出しました。

水戸ヤクルト販売との共同研究の成果に触れる今村教授
水戸ヤクルト販売との共同研究の成果に触れる今村教授

「気が付いたら独居高齢者の見守りをしているとか、なかにはプライベートで家族旅行についていってしまうようなヤクルトレディがいらっしゃる。こうした利他的な活動は、経営学では取扱いが難しいといわれ、『無駄が多いのではないか』という議論も研究者の中ではありますが、私はそうではない方向で考えています。深々とお辞儀をすることが顧客満足度を上げるということではなくて、販売員と顧客との間の個人的な整合と良好な関係の維持というあり方に着眼しているのです」と今村教授は語ります。

「CEA・S」が生み出す地域への広がり

 水戸ヤクルトでは、Customer(顧客)、Employee(従業員)、Area(地域)の頭文字と Satisfaction(満足)を組み合わせた「CEA・S(シーズ)」を経営理念として掲げています。

 顧客満足(CS)、従業員満足(ES)、地域満足(AS)の向上を同時に実現することを目指しており、さまざまな交流イベントや地域活動もその実践の一つです。

 今村教授は、お客様が地域の子どもたちへプレゼントを贈る取り組みに触れて、「水戸ヤクルト販売のすごいところは、従業員の気持ちをお客様につなぐだけでなくて、お客様の気持ちまでもアクティブに他へとつなげていっているところ。顧客満足度をASという地域の満足度につなげられているところです」と語りました。

ゲストや教員に気軽に質問できるのも本セミナーの魅力
ゲストや教員に気軽に質問できるのも本セミナーの魅力

次回は常陽銀行をゲストに開催

 このように、地域企業の実践を、茨城大学の経営学・マーケティング論の教員が学術的な視点から読み解く本セミナー。次回は9月24日、常陽銀行の中島佑樹氏をゲストに迎え、「組織の成長に必要な視点」をテーマに開催します。コーディネーターは、茨城大学で非常勤講師も務める株式会社イマージョンの藤井正隆氏です。

 来年3月まで続く全7回のスケジュールは、大学のイベント情報ページをご覧ください。

イベント情報

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