地域未来共創学環の目玉プログラムである、有給の「コーオプ実習Ⅰ」がいよいよスタートしました。同学環の「第一期生」である3年生41人が計29の企業・団体・自治体で約3か月に及ぶ実習に臨みます。そのひとつ、日立市総合政策課での実習2日目の現場にお邪魔しました。
地域未来共創学環とコーオプ教育
地域未来共創学環は2024年4月に開設された学部相当の教育組織です。人文社会科学部・工学部・農学部との連係による学部等連係課程で、全員が「ビジネス」「データサイエンス」「ソーシャル・アントレプレナーシップ」を学ぶという分野・文理横断型のカリキュラムと「コーオプ教育」を特徴としています。
コーオプ教育とは、企業や自治体等での長期的な実習をカリキュラムに盛り込んだ教育のこと。地域未来共創学環では、1年次の「プレコーオプ演習」(学内)、2年次の「プレコーオプ実習」(学外、約2週間、無給)を経て、3年次の「コーオプ実習I」で夏~秋の約3か月間(180時間)、有給で業務に従事します。さらに希望者は4年次の「コーオプ実習Ⅱ」(120時間、有給)を選択することができます。
自治体も含めた実習先での有給のコーオプ実習を必修化したのは全国の国立大学で初めてです。今年度、「第一期生」が3年次を迎え、いよいよ有給のコーオプ実習がスタートしました。
日立市役所でのコーオプ実習
日立市では、市が日立製作所と連携して進める「共創プロジェクト」を担当する共創プロジェクト推進本部と、市の総合計画の策定などを担当する総合政策課の2つの部署で、それぞれ1人、計2人の学生が実習に取り組んでいます。
このうち総合政策課で実習を行っているのが、草間悠哉さんです。「プレコーオプ実習」と「コーオプ実習Ⅰ」はそれぞれ別の企業や自治体で行うことができますが、草間さんは2年次の「プレコーオプ実習」でも同課で実習に取り組みました。1年ぶりの登庁です。
「日立市で育ったので市に恩返しをしたい」と意気込みを語っていた草間さん。 8月6日、実習2日目の模様を取材しました。
2年次の無給・約2週間の「プレコーオプ実習」は社会人としての姿勢やマナー・コンプライアンスを身に付けることが中心ですが、3か月という長期にわたり、なおかつ給与も支払われる3年次の「コーオプ実習Ⅰ」では、雇用契約を締結します。日立市の場合、学生は「会計年度任用職員」という扱いになります。
昨年度の「プレコーオプ実習」では、市の総合計画後期基本計画の策定に向けて他の自治体に関する調査とプレゼンテーションを行ったという草間さん。今年はいよいよ基本計画の策定作業に本格的に着手する年で、草間さんもその業務に携わることになるようです。あわせて、市と大学の連携に関わる業務も割り振られました。
メンター役を務める日立市総合政策課の照山伸光係長は、「去年も来てくれたので慣れているところもありますが、今回は有給だという自覚もしっかり持ってきてくれているなという印象で心強いです」と、草間さんの姿勢をさっそく評価してくれました。
無給・約2週間のプレコーオプ実習との違い
昨年度の「プレコーオプ実習」と今年度の「コーオプ実習Ⅰ」の違いについて草間さんはこう語ります。
「昨年度と違い今回は給与をいただくので、より責任の重さを感じています。昨年度は『このデータを打ち込んでおいてね』みたいな単純な作業だったのが、今年度は最初から自分で考え、行動し、それが施策に反映されるかもしれないというもので、業務のレベルが上がっていて、正直今の段階では『内容が難しいな』と感じるものもあります」
これには無給か有給かだけでなく、約3か月という実習の長さも関連しているようです。
照山係長は、「2週間のプレコーオプ実習ですと、どうしてもテーマを絞ってプレゼン資料を作ってもらって終わりになってしまいますが、(コーオプ実習Ⅰは)3か月間あることでもっと大きなことに取り組めます。まちづくりの指針となる基本計画を例にとれば、ただアンケートをとって終わりではなく、その結果をまとめ、各課に投げ、考えてもらって戻してもらい、それを計画に活かしていく……この一連のプロセスを経験してもらえるのです」と説明します。
手探りで共創する初めてのコーオプ実習
「コーオプ実習Ⅰ」は6単位の科目です。約2週間・無給の「プレコーオプ実習」とどのような違いをつければよいのか―受け入れ先の企業や自治体などにとってはもちろん、カリキュラムを編成している大学にとっても初めての挑戦であり、試行錯誤なところも多々あります。
特に「ビジネス」「データサイエンス」「ソーシャル・アントレプレナーシップ」という分野・文理横断型のカリキュラムで学ぶ地域未来共創学環の学生ならではの特性をどう活かしていけるか。それも実習プログラムを組み立てる上で大きなポイントとなります。
照山係長は「正直まだまだ手探りの状態です」と率直に語ります。「私自身はデータ分析を得意としているわけではないので、データサイエンスを学んだ草間さんには、どんなデータで何ができるのかということをこれからよく聞きながら、施策の改善案を見出せたら嬉しいです」
実習はまだ始まったばかり。これから約3か月、どのように実習に臨んでいきたいか草間さんに語ってもらいました。
「まずはやってみる、そして分からないことは徹底的に聞く、ということを特に大事にしたいです。3か月は長いですが、『長くて大変。しんどい』とネガティブにとらえるのではもったいない。自分なりのデータの見方、考え方を見出すことなどを楽しみにしながら取り組みたいです。総合政策課のみなさんが初日から体調管理など気を遣ってくださっていてありがたいです。3か月後、『一緒に働けてよかった』とみなさんに思っていただき、私自身も成長できたと実感できるような実習にできればと思います」
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