トップに戻る

令和8年度入学式を挙行―2238人に入学許可
水戸芸術館でパイプオルガンの演奏も

 2026年4月3日(金)、茨城大学令和8年度入学式が、水戸市民会館グロービスホール(大ホール)にて開催されました。学部・学環、大学院、専攻科の入学式を合わせて、2,238人の入学を佐川泰弘学長が許可しました。
 入学式の終了後は、「フレッシュマンサクセス(FS)セレモニー」というイベントも開催。茨城大学の教育のキーワードである「スチューデントサクセス」について、佐川学長がプレゼンテーション。さらに、各学部・学環の在学生たちが登壇して新入生にメッセージを送ったほか、学部長・学環長、そして今年度新たに設けられたアカデミック・アドバイザーも登場しました。

入学式全景
入学生代表宣誓
FSセレモニー
FSセレモニー

学長式辞

 茨城大学の学部・学環・大学院及び特別専攻科に入学された2,238名の皆さん、入学おめでとうございます。ようこそイバダイへ。茨城大学の教職員と在学生一同、皆さんを心から歓迎致します。そして、新入生をこれまで支えてこられた、ご家族の皆様方にも心よりお祝い申し上げます。私自身、この4月に、茨城大学学長を拝命いたしました。学長として、皆さん一人ひとりの学びと成長を支え、本学の新たな歩みを皆さんとともに築いていきたいと考えています。

 さて、大学や大学院への入学を果たした今、皆さんはどんな学びが始まるのだろうと期待でいっぱいだと思います。一方、日本社会と世界の将来や、自分自身のこれからについての不安も小さくないと思います。いま、大国が戦争を起こし、かつ出口が見えない状況が続いています。戦争という行為が、「例外的な場合を除きやってはいけない」ことであると国連憲章を含む国際法でルール化されているけれども、人間はそれを行ってしまい、多くの命が失われる、自然や生活環境が破壊される、さらに連鎖的に世界経済に暗影を投じています。また、日本は2025年現在、世界第4位の経済大国で、健康寿命も世界第2位と非常に高い国です。それにも関わらず、閉塞感や不安を感じる人が多く、幸福度は2026年には第61位にまで後退しています。なかでも「自分の意志で人生を選べている感覚」が低いとされています。

 そこで、唐突でありますが、皆さんには「夢」や「なりたい自分」はありますか。あるいは「自分の意志で人生を選べている感覚」はあるでしょうか。すぐには答えられない人もいると思います。しかし、それでも大丈夫です。私のような40年前の若者も含め、いつの時代も若者は漠然とした不安を持ちながら、悩み、もがき続けてきました。これが若者の当たり前の姿なのです。一方で、「今どきの若者は・・・」といった論評や、従来の価値観が通じない「新しいタイプの若者」といったことが絶えず言われます。皆さんは「Z世代」だとか「α世代」だと言われていますが、私もかつて「新人類」と呼ばれた世代に当たります。しかし、これらはいずれも画一的で、大いに違和感を覚えるところです。

 ここで、現在の若者の本心を想像しつつ、優しくアドバイスをくれる2冊の本を紹介します。
一つ目は、三宅香帆さんの『考察する若者たち』*です。三宅さんは、若者たちは「正解」や「答え」を求めすぎるという見方をしています。幼少時代には親が、大人になっても、AIやプラットフォームが親みたいに振る舞って、正解を「おすすめ」してくれる。その時代にあって、報われないかもしれない努力をなぜ自分がしなければならないのかという感覚が若者にはある。努力しても大半は報われないため、報われると信じることに「怖さ」を感じていると言います。

 でも皆さんも何かをやってみたいと思っていることでしょう。考えてみると、AIやプラットフォームは、やりたいことを「おすすめ」してはくれません。やりたいことは自分の内側から湧いてくるものだからです。機械がおすすめしてくれないこと、好きなものにこそ、私たちの個別性や固有性が宿るのです。今、即、「正解」「答え」を求めるのではなく、やりたいことをじっくり考えることが、まずは大切なのです。

 二つ目の本は、金間大介さんの『「無敵化」する若者たち』**です。金間さんによると、今の若者は安定志向で、リスクをとらず、周りに合わせた言動を重視し、仕事に対する熱意がないように見える。しかし、本当は、周りに合わせて自分の行動を選択する日々に納得がいっていない。せっかく成長できそうな機会が目の前に現れても、その機会をやり過ごしてしまう自分がどこか好きになれない。毎日それなりにやるべきことがあって、それをやってはいるのだけど、微妙な物足りなさを感じている。幸せかと聞かれれば、それなりに幸せだとは思うのだけれど、どこか充実していないと感じていると見ています。

 その上で、3つのアドバイスも添えられます。
 第一は、もし次に目の前にチャンスが来たら、迷わず飛び込むことです。それは、もし成長したいと思うなら、どこかで勇気を振り絞り行動する必要があるからです。第二に、次のチャンスを掴むと心に決めたら、そのことを誰かに伝えることです。もし、その誰かが同世代なら、一緒に行動してくれる仲間と呼べる人が、もし、その誰かが先輩や指導的立場にある人なら、フィードバックをくれ伴走してくれる人がいいと。第三は、インプットよりもアウトプットを重視することです。アウトプットこそが、自分だけの学びを与えてくれる。アウトプットの中に、「自分はこう思う」「自分ならこうする」といった小さなことを一つずつ乗せてみる。それが個性の発揮です。個性を備えたアウトプットは、人と違うがゆえに批判や批評の対象になります。しかし批判と同じくらい共感も得られます。やって良かったと思えるような結果が必ずついてくるものだと。

 これら一連のプロセスが大切だという考え方は、皆さんの大学での学修、研究にも当てはまります。ティム・コールソン氏は『「私」という存在の科学』***の中でこう言います。科学というのはとても難しいものだと考える人は多いですが、じつは私たちの誰もが根っこの部分では科学実験を行っています。例えば、料理。オーブンの温度や加熱時間など試行錯誤を通じてうまくできるようになります。科学者が実験するやり方は、料理とだいたい同じです。実験室で条件を少しずつ変えて、それが結果にどのように影響するかを確かめます。このような過程を経て得られた科学界の大発見の多くは技術の発展につながり、現代の世界を形づくってきました。科学的な進歩の大部分は、問題を解決したいという欲求、宇宙の一側面を理解したいという欲求に駆り立てられたひたむきな人物によって成し遂げられたのだと。

 ここまで述べてきたことを繰り返し強調しておきます。まず、「解決したい問題」、「なりたい自分」、「私の夢」は、「あなた」にしかわからないということです。次に、タイミングを逃さずちょっと勇気を出して飛び込んでみる、わずかでも「自分はこう思う」ということを加えていく、その過程自体が、自分らしさ、個性を発揮することそのものです。主役はあなたです。考え、もがくこと、人はこのプロセスを経て成長するのです。社会は今後も目まぐるしく変化します。この瞬間に普通だと思っていることが、次の瞬間には普通ではなくなるかもしれません。その中で、たくましく、「自分の意志で人生を選べている感覚」を、ぜひ大学生活の中ですべての皆さんに得てもらい、一生の糧にしてもらいたいと思います。

 茨城大学は「スチューデントサクセス」あるいは「成長を実感できる大学」を掲げています。サクセスとは、単に良い成績を取ることではありません。「なりたい自分」を定め、そこに近づいていけているという実感、自分の意志で人生を選べているという実感を持てることだと私たちは考えています。茨城大学は、皆さんがそうなれるよう、あなたを応援し、あなたに伴走します。本学での学びの中で、多くの出会いと発見、そして実りある挑戦があることを心より願っています。

 以上をもって入学式の式辞といたします。
 本日は、入学、誠におめでとうございます。

2026年4月3日
茨城大学学長 佐川 泰弘

学長式辞

 また、学長式辞では留学生などに向けて英語でもメッセージが述べられました。

 To the 2,238 students who have been admitted to the undergraduate schools and graduate schools at Ibaraki University: Congratulations on your admission. Welcome to Ibaraki University. The faculty, staff, and current students of Ibaraki University extend a warm welcome to you all. We also extend our heartfelt congratulations to the families who have supported our new students up to this point. I myself was appointed President of Ibaraki University this past April. As President, I am committed to supporting the learning and growth of each and every one of you, and I look forward to building a new chapter for our university together with you.

 Ibaraki University promotes the concept of “Student Success.” Success is not merely about achieving good grades. We believe it means defining the person you want to become, feeling that you are moving closer to that goal, and having the sense that you are choosing your own path in life. Ibaraki University will support you and walk alongside you to help you achieve this. We sincerely hope that your time here will be filled with meaningful encounters, new discoveries, and rewarding challenges.

 Once again, welcome to all of our new students, and I wish you every success in the years ahead.

記念写真

 さらに、初の試みとして、水戸芸術館で新入生向けの歓迎企画が実施されました。入学式後にはパイプオルガンによる歓迎演奏が行われました。

水戸芸術館パイプオルガンによる歓迎演奏

 今回の入学式とフレッシュマンサクセスセレモニーの模様は動画でご覧いただけます。

第一部

  • 日時:2026年4月3日(金)10:00~
  • 会場:水戸市民会館グロービスホール (大ホール)
  • 対象:工学部、農学部、理工学研究科博士前期課程、理工学研究科博士後期課程、農学研究科

第二部

  • 日時:2026年4月3日(金)14:00~
  • 会場:水戸市民会館グロービスホール (大ホール)
  • 対象:人文社会科学部、教育学部、理学部、地域未来共創学環、人文社会科学研究科、教育学研究科、特別支援教育特別専攻科
入学式集合写真

[1] 三宅香帆『考察する若者たち』PHP新書、2025年、207-229頁。
[2] 金間大介『「無敵化」する若者たち』東洋経済新報社、2026年、279-297頁。
[3] ティム・コールソン『「私」という存在の科学;ビッグバンから意識の出現まで』NHK出版、2026年、15-18頁。

この記事をシェアする