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3月退任の太田学長の最終業績評価-学生も多数参加の公開プレゼンテーションを経て評価書完成

 3月25日、茨城大学学長選考・監察会議の佐々木幸一議長が太田寛行学長のもとを訪れ、学長最終業績評価の評価書を手渡しました。
 今月末で6年間の任期を終える太田学長。今回の最終業績評価にあたっては、通常クローズドで実施されるプレゼンテーションを、公開で実施。会場には多くの学生たちも駆けつけ、メッセージを届けてくれました。学生と語ることをいつも楽しみにしていた太田学長らしいラストプレゼンとなりました。

公開プレゼンテーションを行う太田学長

 国立大学の学長は、学内外の委員で構成される学長選考・監察会議によって業績が評価されます。これに伴う学長から委員へのプレゼンテーションについて、「せっかくなら学生や教職員のみなさんが自由に参加できるようにしたい」と提案したのは太田学長自身です。他で例を見ない取組みですが、同会議メンバーも学長の意向に賛同。公開でのプレゼンテーションが行われることとなりました。

 ラストプレゼンが行われたのは2月24日、水戸キャンパス図書館のライブラリーホール。

 続々と訪れる学生や教職員たちを、入口で黄色いウェルカムポスターが迎えます。このポスターは、地域未来共創学環1年生の大井紀葉さんが作ってくれたものです。会場がどんどんいっぱいになります。

太田学長が語ったこと

 太田学長が用意したタイトルは、「“茨城大学の未来”を考える―人口減少社会での“地方国立大学の役割”とは―」。

 就任後、教職員や学生との対話を通じて、「イバダイ・ビジョン2030」を策定した太田学長。

 まず紹介したのは、今年2月に国の中央教育審議会が発表した「我が国の『知の総和』向上の未来像~高等教育システムの再構築~(答申)」(「知の総和」答申)です。太田学長は、「『知の総和』という考え方自体、学生を単なる『人材』、まるで商品のように理解している」と率直な違和感を示しつつも、その中で「今後の高等教育政策の方向性と具体的方策」として示された「質」「規模」「アクセス」というキーワードに着目しました。

公開プレゼンテーションの様子

 その中でも、まずは「教育研究の『質』の更なる高度化」に着目し、そこで言及された「学修者本位」「多様な学生の受入れ」「大学院教育」「研究力強化」「情報公表」という5つの視点を紹介。「これらの視点に『イバダイ・ビジョン2030』は対応しているか?」と問うことから、プレゼンテーションを始めました。

 「学修者本位」という視点では、太田学長が副学長時代から力を入れてきた「教育の質保証」の仕組みづくりを振り返り、その中で特に学生視点での教育力評価を行ってきたことを強調。そうした中、学生生活調査からは、約半数の学生が「将来に関すること」で悩みを持っていることが明らかになり、教育のコンセプトとして「スチューデントサクセス(なりたい自分になる)」を掲げて教育改革を展開しました。さらに今後に向けては、学生の目標に関わる相談・支援を行う「アカデミック・アドバイジング」の仕組みの構築を進めていると述べました。

 「多様な学生の受入れ」については、インドネシアのガジャマダ大学、ボゴール農科大学、ウダヤナ大学という3大学との教育研究の連携を強化したことや、オンライン国際教育プラットフォーム「JVCampus」における気候変動専門科目の提供、リカレント教育の整備などの取組みを報告しました。

 「大学院教育」では、理工学研究科における情報系の強化や、人文社会科学研究科の「ダイバーシティ地域共創教育プログラム」の創設に言及。

 そして「研究力強化」の面では、「プロジェクト等研究専念制度」の整備や、スタートアップ創出の取組みの強化、そして、大学創設以来、独自に発展させてきた環境科学・気候変動科学の実績を踏まえ、「総合気候変動科学」の構築というビジョンのもとに4つのセンターを整備してきたことを紹介しました。

 最後に「情報公表」の面では、広報・アウトリーチ支援室の設置や、SDGsフォーラムでの高大連携、市街地での「まちのイバダイ」などの発信やコミュニケーションの取組みを報告しました。

公開プレゼンテーションの様子

 一方で、大学創立時に地域社会から寄せられた「文部省が作ってくれるのだなどの甘夢を貪ってはならない」(茨城新聞 後藤武男社長)という声に触れ、「国の方針になぞらえるだけでなく、独自の取組みこそが重要」と述べた太田学長。その最たる例として、地域とカリキュラムを共創するというビジョンをもった、「地域未来共創学環」の新設を挙げました。ソーシャルアントレプレナーシップやデータサイエンスを学んだ学生たちが地域の企業・自治体において有給の「コーオプ実習」に取り組むというユニークな特徴をもった同学環ですが、1年目から意欲的な学生たちが集まり、学内外で次々とつながりをつくって活動を展開していったことを、太田学長は嬉しそうに紹介。「学環をスタートして分かったことは、教育組織の特色を明確にして戦略的に学外に発信することと、『対話と承認』を求める今の高校生世代を理解し、彼らと協働できる教育体制をつくることの重要さです」と述べました。

 終わりに「知の総和」答申に戻り、「本学だけでは決められない、『高等教育全体の『規模』の適正化』と『高等教育への「アクセス」確保』という問題が残っている」と指摘。一方で、(国の方針に対応していくだけでなく)自分たちで未来をつくるという観点から、独自で進めてきたスチューデントサクセスや総合気候変動科学、教育研究の地域協働モデルの発展・追究という方向性を示して、プレゼンテーションをまとめました。

学長のプレゼンを聞いた学生たちからのコメント

 太田学長のプレゼンテーションの後は、会場からの質問・コメントを募りました。

 最初に発言したのは、理工学研究科博士後期課程の社会人大学院生である伊多波 辰徳 さん。東海村で働いているという伊多波さんは、2年前のSDGsフォーラムで太田学長から声をかけられる中で、東海村を拠点としたRECAS(原子科学研究教育センター)の情報をもらったとのこと。「身近に茨城大学の存在があり、自分も地域の一員として関わる機会があるということを実感できて、自分の中に強い情熱が生まれました」と、学長に謝意を伝えました。

太田学長に質問をする学生

 続いて手を挙げたのは、工学部3年生の妹尾 正義 さん。冒頭、妹尾さんは「学長との距離が近いと感じられるのが、茨城大学のいいところ」と述べた後、「コーオプ実習が必修化されている地域未来共創学環は羨ましい。やる気の学生が多いので、もっと学部を超えた交流をしたい」と話しました。太田学長は、「どうやって組織の壁を取り払うかが課題。出会いがあれば展開がある。改善していきたい」と応えました。

そして最終評価は…

 盛り上がったラストプレゼンテーション。その後、場所を移して改めて学長選考・監察会議の会合が開かれ、太田学長の最終業績評価の議論がなされました。

 そして3月25日、完成した評価書を手に、同会議の佐々木幸一議長(佐々木興業株式会社 代表取締役)が太田学長を訪ねました。

最終業績評価を手渡す佐々木幸一議長と太田学長

 評価書で示された総合評定は、5段階で「4.4」。
「財政基盤にも配慮しつつ、教育や研究、地域連携の分野において、新たな体制を整備し、大学の将来ビジョンを確実に実行していく基盤を構築された」
「活発に外部との交流を図り、且つ学生との距離も近く、学長としての功績は大きい」
「学生や児童生徒との交流も積極的に行い、温かみのある人柄にも触れることができた」
「新しい茨城大学の姿を見せることができた」
「時間はかかっても、もう少し丁寧なコミュニケーションが実施されていれば、より一層の成果が出ていたと思われる」
といったコメントが、委員のみなさんから寄せられました。

 学長になっても学生と話すことを好み、そうした話からもたくさんの気づきを得て、自身の想いと行動へと昇華することをやめなかった太田学長。
 私たち教職員もそのビジョンと業績をかみしめながら、学生たちとも手を携えて、未来の茨城大学に向けた歩みを一歩ずつ進めていきたいと思います。

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