茨城大学は「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2025」を開催しました。コンテストでは審査員が選ぶ最優秀賞などのほか、一般観覧者からの投票によって選出されるオーディエンス賞も用意されています。オーディエンス賞の副賞は、大学HPでの紹介。茨大広報学生プロジェクトの飯村旺我(農学部3年)が、オーディエンス賞を受賞した「土浦一高サービス班」を取材しました。
同コンテストは、学生のアントレプレナーシップを育み、企画力や課題発見・解決能力の育成を目的として毎年開催されています。大学生はもちろん、多くの中高生も参加しています。2025年12月6日(土)、茨城大学水戸キャンパスにて、最終審査会が開催されました。書面審査を通過した8チームがプレゼンテーションを行い、土浦第一高等学校の竹内 琉瑛さん、平山 智也さんの「土浦一高サービス班」が『安心マップ~市民を救う命の地図~』というビジネスプランを提案し、オーディエンス賞を受賞しました。
安心マップについて
“10秒で自分が行く病院を決めることが出来る”病院検索サービスである安心マップ。行政が保有する医療データベースを活用し、「今この時間に対応可能な病院」だけを表示する仕組みとなっています。
2人のヒアリングによると、従来の病院検索サービスでは、すでに診療受付が終了している病院や、自分の病状に対応していない診療科が表示されることも多く、現地に行っても受診できない、あるいは迷った末に救急車を呼んでしまうケースが後を絶たなかったそう。全国的に救急車の不要不急の利用が問題となっている今、医療機関の最新情報や診療時間を緊急時に正しく知ることできる仕組みが求められています。このような課題を解決すべく安心マップを作りました。
実体験から生まれた安心マップは細部にこだわって設計されている
安心マップは、平山さんが通っていた塾の講師の子どもが夜中に発熱し、どの病院に行けばよいかわからず救急車を呼ぶことになったというエピソードからアイデアが浮かんだとのこと。その時は軽症で済んだものの、夜間や休日など医療機関が限られる状況でどう対応すべきか迷うことは、多くの人にとって身近な問題です。茨城県では、電話での問診で救急車の必要性を判断してくれる「救急電話相談(7119)」などが運用されていますが、若い世代にとって電話対応に抵抗感を覚えるという問題もありました。そこで電話をしなくてもかかるべき病院がわかる「安心マップ」を開発。緊急時のパニック状態でも正しく情報を得られるよう、高校生の視点でレイアウトを設計し、ボタンの視認性を向上させました。
AIを前提にした開発スタイル
プロダクト開発では、AIを活用していることも大きな特徴です。2人はプログラミングや設計の多くをAIと対話しながら進め、スピード重視で試行錯誤を繰り返していきました。AIは完璧な精度ではないものの、論理構造や知識量の面で非常に有用であるため、信じて試行錯誤を続けることが重要だと平山さんは話しました。
安全マップの制作にかかった費用は0円。その理由を平山さんは「以前は開発に携わるエンジニアに対して数百万単位の費用がかかっていましたが、今はAIがその役割を代替してくれている」と話します。
チームワークの良さ
幼馴染の2人の強みは対照的です。平山さんはサービスに圧倒的な自信とパワーを持ち、得意のプログラミング技術を駆使してサービスの構築に取り組んできました。その一方で、誠実かつ積極的な行動力が取り柄の竹内さんは企業や行政に自ら声をかけてプロジェクトを推進し、時には平山さんを先導しながら実直にプロジェクトを運営してきました。ビジネスプランコンテストでオーディエンス賞を受賞した際も、お互いの性格のコントラストが評価されたのではないかと竹内さんは自らのチームを分析していました。
平山さんは当初、安心マップのアイデアを「誰でも思いつきそう」と感じていたとのこと。しかし、実際に行動し企業や医療関係者を巻き込んでいく竹内さんの姿を見て、「アイデアよりも、やり切る力が重要だ」と考えを改めたと語っていました。
今後の展開とメッセージ
安心マップは命に関わる情報を扱うこともあり、正確性が最優先されます。そのため、自治体や、医療現場と密に連携し、今後は医療圏単位での展開も視野に入れて活動していくと2人は話します。
最後に竹内さんは「土浦一高の高校生という立場に甘えることなく、自ら動いていきたい。」、平山さんは「将来大きなことを成し遂げたい。ぜひ注目してほしい。」とそれぞれ力強く述べました。
茨城県内から県外、全国へと目を向けて自ら動き続ける2人の挑戦はこれからも続きます。