近年、自然災害の激甚化・頻発化が進む中、地域の防災力向上が課題となっています。茨城県北地域が持つ森林は、土砂災害防止や水源涵養などにおいて重要な地域資源です。この資源をいかに持続的に活かしていくか、それぞれの立場の考えを共有するため、茨城大学工学部附属都市・地域デザイン教育研究センターは2月19日、水戸市民会館で、シンポジウム「茨城の森林資源を活かした持続可能な地域づくり」を開催しました。産・官・学の関係者が参加し、防災、経済、コミュニティ形成の視点から意見を交わしました。
シンポジウムは昨年に続き2回目。発起人の同センター副センター長の熊澤貴之応用理工学野教授は、「木材の利活用を考えていかなければ、激甚化する自然災害に対応できない。来年度以降も引き続き開催し、地域資源活用の共有の場としたい」と趣旨を説明しました。
講演には、茨城大学応用理工学野の小林薫教授、茨城県林政課長の細田浩司氏、大子町「みょうがの里」代表の的場悠人氏、茨城県木材協同組合連合会代表理事の野上満正氏、茨城大学工学部都市システム工学科建築プログラムの2年生が登壇しました。
小林教授は「県北地域の地盤防災と地盤保水の重要性~森林管理による保水性改善~」をテーマに講演しました。がけ崩れが起こる仕組みや、流木が川をせき止めることで洪水の危険が高まることなどを説明。森林は地表の浸食を防ぎ、根が土砂の流出を抑える役割を果たしますが、樹木が過密になると根や下草が育たず地面が露出し、土壌を支える力が弱まる場合もあるといいます。「森林は重要だが、放置すれば地盤はやせ、保水力も低下する。適切な管理が不可欠だ」と述べ、森林管理の重要性を強調しました。
大子町に移住し、明治時代に建てられた茅葺きの家を拠点に活動する的場氏は、森林資源や自然資源を活かした暮らしの可能性について語りました。現行の貨幣制度に触れ、「必要な仕事よりも、お金になる仕事が優先されている」と問いを投げかけました。経済学者・宇沢弘文の主張に触れながら、里山で暮らすこと自体が社会にとって価値を持つという考えを示し、生活の半分を自給農、残りを自らの能力や関心を生かした仕事で構成する「半農半X(エックス)」というライフスタイルを紹介しました。「里山には、自然資源やお年寄りの知恵などの地域の宝を、使いたい人につなげられる可能性がある」と話しました。
建築プログラムを履修する2年生は、日立市が進めるJR常陸多賀駅周辺地区の整備事業に関連し、木造集合住宅の設計案を発表。5人が登壇し、大小計三つの中庭のある住宅や、洗濯や洗面など日常生活の多くを共有空間とする住宅など、特色ある作品を発表しました。
最後に熊澤教授司会のもと、「森林の大規模伐採」などをテーマに意見交換が行われました。
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