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ボランティアで子どもの都市農村交流を考える
―iOPを超え鍬耕祭で提案実現

 農学部の学生たちが、iOP(internship Off-campus Program)の活動として、石岡市で行われている「八郷(やさと)留学」という子ども向けの都市農村交流プログラムでのボランティア活動に取り組みました。
 コーディネートした農学部の高瀬唯准教授の研究室の4人の学生たちが、2024年9月から12月にかけて現地で活動。そこで見つけた課題をもとに大学でのイベントでの「焼き芋販売」を提案しました。そして昨年10月に開催された農学部の学園祭「鍬耕祭」でついにその提案を実現させました。
 実際に活動を行った農学部地域総合農学科の4年生磯辺光莉さん、井野百合乃さん、小川翔夢さん、寺門陽菜さんに話を聞きました。(レポート:茨大広報学生プロジェクト 五十嵐穂南さん(人社1年))

鍬耕祭での出店の様子

 八郷留学とは、茨城県石岡市にある八郷盆地で、県内外の小中学生が土日や長期休みを利用して田舎暮らし体験をするプログラムです。大学の授業の中で地域活性化や都市農村交流に関心を持ったという4人は、高瀬准教授がコーディネートしたiOPのチュートリアル「都市農村交流を通じた子供の自然体験を考える」に参加し、八郷留学のボランティア活動を行いました。

八郷留学での子どもたちの活動の様子(写真提供:八郷留学)
八郷留学での子どもたちの活動の様子(写真提供:八郷留学)

 八郷留学のプログラムでは、子どもたちと稲刈りや栗拾いをしたり、農作業を行ったりしました。普段子どもたちと接する機会が少ない農学部の4人にとって、現地での生活は驚きや苦労の連続だったといいます。メンバーは「農村での体験で子どもたちにのびのびとした暮らしをさせてあげたいと思っていたけれど、実際には様々なところに危険が伴っているということには、大学の講義だけでは気づかなかった」「これまでは農村と都市をどう近づけるかという視点からしか考えておらず、子どもたちの目線に立てていなかった」と活動の難しさを振り返りました。

八郷留学での学生たちの作業の様子
八郷留学での学生たちの作業の様子
八郷留学での学生たちの作業の様子

 iOP期間の現地での体験から様々な学びを得た4人は、八郷留学が直面する課題について考え、解決のためのアイデアの提案に取り組みました。4人が提案したのは、さらなる認知度向上と生産された作物の消費機会の拡大を目的とした、「学園祭での焼き芋の販売」。八郷留学では、広大な敷地の雑草対策として管理の負担が比較的少ないサツマイモが育てられていました。しかし、プログラムで消費するのはその一部で、収穫された残りのサツマイモの活用のアイデアが求められていたそうです。4人はiOPとしての活動が終了した後も八郷留学との活動を継続し、去年10月の農学部の学園祭「鍬耕祭」でアイデアを実現させました。磯辺さんは「八郷で活動して、サツマイモ1個を作るだけでもたくさんの苦労があると実感した。せっかくの学びや気づきをそのままにしておくのはもったいないし、八郷留学をもっと多くの人に知ってもらいたいと思っていた」と実現への思いを語ります。

八郷留学の敷地内での作業の様子
八郷留学の敷地内での作業の様子

 鍬耕祭に出展したブースでは、八郷留学に参加した子どもたちも学生たちと一緒に販売や接客に挑戦しました。プログラムでの農作業だけでなく、大学内外から人が訪れる鍬耕祭の場で八郷の良さを伝えるために販売・接客を行ったことは、子どもたちや八郷留学のスタッフにとっても貴重な経験になったようです。八郷留学代表の原部直輝さんは、「普段はプログラムを提供する側と参加する側という閉じられた関係性だったが、子どもたちは今回の出店で『社会に出た』と感じている。焼き芋の販売自体は別のイベントでも行われていたものの、大学祭という“お兄さん”“お姉さん”が多く集まる環境は子どもたちにとって新鮮だったのではないか」といいます。さらに、「私としても、大学祭に子連れの人がこんなに来るとは思わなかったので、八郷留学のようなコンテンツに親和性がある人とダイレクトにつながることができた。実際に鍬耕祭をきっかけとした新たな申し込みもあった」と話しました。

鍬耕祭当日は多くの方が来場

 また、当日は想定を大幅に上回る売り上げがあり、これについても原部さんは「毎年余らせていたサツマイモも、今年は半分が鍬耕祭で無くなり、残りも他のイベントで使うめどが立った。作られた資源を有効活用できたのはとても嬉しい」と手ごたえを得たようでした。
 チュートリアルを企画した高瀬准教授は4人の取り組みについて「八郷留学の方の協力があったのはもちろんのこと、学生だけの力で焼き芋の販売まで実現させたのは大きな成果だ」と評価しています。また、今後の展望について磯辺さんは「次の代への引継ぎが重要。課題をそのままにせず、後輩に伝え一緒に考えていきたい」と意気込みました。

まとめ

 茨城大学では、学部3年次の第3クォーターを「iOPinternship Off-campus Program)クォーター」と名付け、原則的に必修科目を開講せず、特に学外での主体的な学びを促す期間としています。普段の講義や学内での活動で培ったスキルをもとに、iOPクォーターでは学外に飛び出し、地域の方との交流を通して実践的な学修をすることができます。

 高瀬先生は「チュートリアルの開講以来、参加したのは農学部の学生のみであるため、今後は他学部・学環の学生にも参加してほしいと強く思っている。今回は農学部の視点から鍬耕祭での焼き芋販売が実現したが、たとえば理学部の学生が参加してくれれば生き物観察など別のアイデアが生まれ、それが八郷留学にとっても学生の成長にとってもメリットになる。大学としてもiOPの幅が広がっていくのではないか」と期待を寄せました。

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