ガジャ・マダ大学(Universitas Gadjah Mada:UGM、インドネシア)のAni Widiastuti(アニ・ウィディアストゥティ)教授が、クロスアポイントメント制度を活用して、茨城大学応用生物学野に教授として着任しました。同制度は、研究者が二つ以上の機関に所属し業務に従事できる制度で、茨城大学と海外大学との間での運用は初めてです。アニ教授は東京農工大学連合農学研究科博士課程の修了生でもあります。期間は1年間で、1月中は日本国内に滞在し、農学部・農学研究科の授業や共同研究などを行う予定です。
アニ教授の着任は、農学部・農学研究科の国際化と教育研究力の強化を図り、茨城大学が掲げる「地域に根ざしつつ世界に貢献できる人材育成」を進めるものです。アニ教授は農学部と農学研究科の授業を担当し、気候変動適応型農業や作物保護技術などを教えます。英語による授業や議論を通じて学生の国際的な視野を広げるとともに、国際共同研究や地域課題解決型の社会実装研究に取り組み、茨城県を中心とした地域農業の発展と地球規模課題の解決に貢献します。日本滞在中には地域の高校生向けのワークショップ「高校生のための “Bean to Bar” チョコレート作り講座 in easy English」の講師を務めます。
茨城大学とガジャ・マダ大学の交流は、四半世紀以上にわたって続いています。2000年に農学部間で、2010年に大学間で交流協定を締結し、教育・研究の両面でさまざまな交流を重ねてきました。その成果の一つが、昨秋に完成したインドネシア産カカオによる茨城大学プロデュースのチョコレートです。学生たちはガジャ・マダ大学のココアパウダー製造工場を見学し、現地でのカカオ栽培や発酵も体験しました。
ガジャ・マダ大学からはこれまでに多くの留学生を受け入れており、アニ教授もその一人です。2009年4月、東京農工大学連合農学研究科博士課程(茨城大学設置)に入学し、佐藤達雄教授(当時准教授)に師事しました。入学のきっかけは、その2年前にガジャ・マダ大学を訪問した佐藤教授らを、当時ガジャ・マダ大学助教だったアニ教授が案内したことだったそうです。
博士課程修了後に帰国してからは、AIMSプログラムなどの交換留学で茨城大学に滞在する学生の受け入れや生活面のサポートに、長年にわたり尽力してきました。さらに2025年には、インドネシアの大学で教鞭をとる卒業生を代表し、熱帯作物の植物免疫に関する共同研究を茨城大学と締結しました。この取り組みを基に、JSTのさくらサイエンスプログラムの採択を受け、インドネシアの学生を茨城大学に招聘する交流も実現しています。
アニ教授は、2024年にガジャ・マダ大学の教授に昇任しました。教授就任に際して極めて多くの研究業績が求められるインドネシアで、40歳代での昇任は、アニ教授が高い評価を受けてきた研究者であることを示しています。博士課程修了後の2015年、茨城大学と行っていた共同研究は日本の農林水産省主催の「Japan International Award for Young Agricultural Researchers 2015」を受賞しており、研究活動が国際的にも評価されてきたことがわかります。
1月13日、学長室でアニ教授やガジャ・マダ大学と親交のある教職員が集まり、懇談しました。今月、火山調査のためにガジャ・マダ大学を訪問する長谷川健教授も理学部から出席しました。話題はガジャ・マダ大学と茨城大学の連携や思い出話はもちろん、インドネシアの火山や観光地、食べ物にまで及びました。約1時間の懇談の終盤、太田寛行学長が「茨城大学とガジャ・マダ大学との間にはたくさんのストーリーがありますね」と笑いかけると、アニ教授も笑顔で同意しました。アニ教授は「卒業生として、茨城大学に研究面などで貢献したい。学生たちに会えるのはうれしい。専門である植物病理学や免疫についての知識や技術を教えたい」と話しました。
研究者の情報
■「高校生のための "Bean to Bar" チョコレート作り講座 in easy English」のイベント情報・申し込みはこちらから
