三村信男名誉教授が濱口梧陵国際賞を受賞

 津波防災をはじめとする沿岸防災技術分野で顕著な功績を挙げた方を表彰する濱口梧陵国際賞(国土交通大臣賞)。その2025年度の受賞者に、茨城大学の三村信男名誉教授が選ばれました。長年にわたる研究や実績が評価されたものです。

国土交通大臣政務官から表彰盾を受け取る三村信男名誉教授
国土交通大臣政務官から表彰盾を受け取る三村信男名誉教授(右)(写真提供:国際津波・沿岸防災技術啓発事業組織委員会)

 濱口梧陵は、現在の和歌山県広川町生まれ。安政元年(1854年)115日に起きた大津波の際、稲の束を積み重ねた「稲むら」に火を放ち、この火を目印に村人を誘導し、高台に避難させたとされる人物です。この逸話は、「稲むらの火」として語り継がれています。

濱口梧陵国際賞は、2015年の国連総会で115日が「世界津波の日」として制定されたことを受け、国内外で沿岸防災技術の啓発や普及促進を図ろうと、翌2016年に国際津波・沿岸防災技術啓発事業組織委員会が創設した賞です。

 三村名誉教授は、地球環境工学・海岸工学の立場から、津波・高潮のリスク評価や気候変動適応策の構築に取り組み、長年にわたり国内外の防災政策に貢献してきました。南太平洋や東南アジアで国際共同研究を牽引し、現地の行政や大学、国際機関と協力して防災対策の策定に取り組みました。また、IPCC評価報告書へ継続して参加し沿岸域や小島嶼国のリスク評価を世界に発信するとともに、国内では茨城県津波対策検討委員会でL1L2津波概念を導入するなど、政策の実装にも携わってきました。

記念講演をする三村名誉教授
記念講演をする三村名誉教授(写真提供:国際津波・沿岸防災技術啓発事業組織委員会)

 11月に都内で開催された授賞式で、三村名誉教授は、国土交通大臣政務官から表彰盾を授与されました。続いて行われた記念講演会では、「津波・高潮防災、気候変動への対応と今後の海岸管理」と題して講演。三村名誉教授が研究を始めた1980年代終わりごろ、沿岸防災と気候変動・海面上昇は別物として扱われていました。現在では両者は密接に関連すると考えられていることや、安全・安心で豊かな沿岸域を作るためにはそれらを統合した広い視点で取り組む必要があることなどを語りました。

 授賞式翌日には広川町を訪れ、濱口梧陵ゆかりの地を巡りました。

濱口梧陵国際賞を受賞した三村名誉教授(右)とボローニャ大学母校招聘教授のStefano Tinti 博士。中央は濱口梧陵の胸像。
濱口梧陵国際賞を受賞した三村名誉教授(右)とボローニャ大学母校招聘教授のStefano Tinti 博士。中央は濱口梧陵の胸像。(写真提供:国際津波・沿岸防災技術啓発事業組織委員会)

この記事をシェアする