7月22日、令和7年度教学イノベーション機構FD(Faculty Development)/SD(Staff Development)研修と法人経営人材育成研修会を兼ねて、文部科学省高等教育局大学振興課の石橋晶課長を講師に迎えた研修会を開催しました。テーマは「『知の総和』答申を踏まえた高等教育政策の方向性~学修者本位と社会基盤としての大学~」で、茨城大学の教職員だけでなく、茨城キリスト教大学、常磐大学、宇都宮大学、群馬大学、茨城工業高等専門学校といった県内外の大学等や自治体からも参加があり、約260人が石橋氏の講演に耳を傾けました。
石橋氏は、高等教育や初等中等教育の政策に関わってきた自身のキャリアを振り返りながら、「大学経営は本当にたくさんの変数の中でなされているが、やはり学生が真ん中にあるべきではないかという思いを強めている」と話し、はじめに学修者本位の大学教育のあり方について考えを示しました。発達障害や外国ルーツの子、文化資本の格差などによる多様な子どもたちの特性や、教室における同調圧力などの課題を紹介した上で、「ひとりひとりの学生が自らの意思で学ぶことを決めるのが大学での学び。決められればそのあとの支援が必要で、決められないのであれば決めるところにも伴走すべき」と述べました。
あわせて講演では、中央教育審議会が今年2月に示した「我が国の『知の総和』向上の未来像~高等教育システムの再構築~」答申の概要が紹介されました。同答申では「新たな質保証・向上システムの構築」として、学部・研究科等に応じた定性的評価の導入など、現在の認証評価制度の見直しについて言及されています。石橋氏は茨城大学における教育評価・質保証の取組みについて、「ディプロマ・ポリシーに照らし合わせて自分がどこまで達成できたかを各学年で確認するという茨城大学の仕組みは、国立大学の中でも貴重。みなさんのやっていることが、中教審答申の土台のひとつになっていると思ってこのまま進めてほしい」と話しました。
その他にも地域大学振興室の活用などが呼びかけられました。参加者からは、石橋氏の率直な語りぶりへの賛意などが感想として寄せられました。また質疑応答では「研究体制の強化も求められている中で、個別的なケアも含めた学修者本位の教育のリソースをどのように確保していくべきか」などの質問があり、議論がより深められました。