トップに戻る

JX金属×工学部コラボトーク
:学生たちと語った「仕事」のホンネとメッセージとは

JX金属×工学部コラボトーク:学生たちと語った「仕事」のホンネとメッセージとは

 82日(土)に日立キャンパスで行われた工学部のオープンキャンパスでは、目玉企画として工学部と連携協定を締結しているJX金属株式会社とコラボレーションしたトークセッションを開催。前半は同社の取締役・副社長執行役員の菅原静郎さんが講演、そして後半は工学部&理工学研究科の学生たちと、乾工学部長、さらに現在JX金属に勤める卒業生を交えたトークライブを展開しました。会場となったJX金属ホールでは、同社のマスコットキャラクター「カッパーくん」もお出迎え。会場は高校生やその同伴者のみなさんでいっぱいになりました。

菅原副社長が若手社員と考えたメッセージとは

 JX金属は大手の非鉄金属メーカーです。同社は銅やレアメタルなどを用いて、半導体やスマートフォンなどに使われる材料を製造・開発しています。特に、「半導体用スパッタリングターゲット」という製品は、半導体製造に欠かせない材料として、世界(日本国内ではなく!)で約6割のシェアを獲得しているそうです。

 このような世界的な材料メーカーでありながら、日立市のほか北茨城市やひたちなか市など茨城県内に多くの製造拠点をもつJX金属。ルーツを辿ると、日立鉱山における銅の採掘と、製錬を行っていた歴史に至ります。日立鉱山の銅の生産を機に、日立の町において、電線やモーターなどのものづくりの発展にもつながりました。「鉱石から電線、さらにモーターまで一貫して手掛けられるというのは、日立のまちのオリジンです」と菅原副社長は力を込めます。

 だからこそ、「茨城県をともに盛り上げよう」という共通の想いをもって、同社と茨城大学工学部は2年前に包括連携協定を締結しました。今回のオープンキャンパスでのコラボレーションもその一環で企画されたものです。

「オープンキャンパスで高校生に話をしてほしいという依頼をいただいたとき、すぐにお引き受けしたのですが、さて高校生たちはどんな話を聞きたいのか、とても悩みました」と菅原副社長。そこで今回、高校生に近い年代の若手の技術者17人に集まってもらい、「自分が高校生だったら何を教えてほしかったか」という視点ワークショップを行ってくださったとのことです。

会場入口にはワークショップの成果物も展示されていました

 そのワークショップで浮かび上がってきたテーマが、①理系進路を選んだ理由、②技術者として働くおもしろさ というもの。①については、「小さいころ博物館に連れて行ってもらった。五感で楽しめる実験が好きだった」「小さい頃に江の島の海へ行き、海洋ゴミの問題に関心をもった」といった意見があったそうです。また、②については「自分が開発に関わっているものが世の中に出回っているのが誇らしい」「常に発見があること」などの声が挙げられました。

 菅原副社長は、「今、進路で悩んでいる人は多いと思うけれど、何を選んでも大丈夫。ものづくりに携わるおもしろさはいっぱいある」とエールを贈ります。その上で、「あなたの進路を縛っているものは、親、先生、友達などいろいろあるかもしれないけれど、決めるのはご自身。自分が『こうありたい』と少しでも心の動くところへ向かっていくことが大事だと思います」と語りました。

「仕事」をめぐる学生たちの率直な問い―やりがいか安定か

 後半は、3人の現役学生と、菅原副社長、工学部の乾正知学部長、そして工学部・理工学研究科出身でJX金属に就職した馬場可奈さんの計6人が、技術者としてのキャリアと仕事について率直なディスカッションを展開しました。

 学生たちは、入社前のイメージと入社後に感じることのギャップが気になるようです。博士前期課程1年で機械システム工学専攻の遠藤謙介さんは、「JX金属のみなさんは楽しそうに仕事をしていると感じましたが、本当に楽しいのでしょうか?」と、かなり率直な質問をぶつけます。

 これに対し、卒業生の馬場さんは、「開発の担当だが製造など幅広く関わることができて楽しい」と返答。一方、菅原副社長は、入社当初は楽しいことが多かったとした上で、さまざまな経営判断が必要とされる現在の役職は「楽しいことだけではなく、大変なことも多い。しかし、なぜ大変なのかということの先には、大きな目標がある。そこに向かっていくという充実感があります」とのこと。これには乾学部長も「教授の仕事を楽しく、若い人たちと働くのは良い。一方、学部長の仕事は充実感があってもしんどいことが多いですね。菅原さんのお話、よくわかります」と共感を示していました。

 また、物質科学工学科の手崎綾香さんら女性の学生たちからは、職場や学部の女性メンバーを増やす取組みについても質問がありました。工学部は入学者選抜に「女子枠」を設けるなどの取組みを始めていますが、JX金属の方も、女性や外国人をふくめた多様なメンバーが活躍できる環境づくりを目指しています。菅原副社長は、「メンバーが男性だけ、日本人だけに偏っていては良い製品はできない。 『こんなことを考える人がいるんだ!』という他者の存在に気付くことが第一歩です」と述べました。

 いろいろな考え方の人がいることが大事―それは製品やサービスだけでなく、働き方をめぐっても同じかもしれません。物質科学工学科からの上明戸結日さんからは「仕事を選ぶとき、『やりがい』と『安定性』のどちらを重視しましたか?」という質問もありました。
 これに対し卒業生の馬場さんは、「自分は将来の安定性を重視した」とコメント。
 一方菅原副社長は、「自分が入社した35年前は、学校推薦が主で、やりがいとか安定性とかそういう考え方自体がなかった」と振り返った上で、「新しいことをやる人もいれば、それを一生懸命軌道に乗せる人、さらにそれを安定的に持続させる人もいます。いろんな人がいて、すべてが大事。一人だけ優秀な人がいても会社は成り立たず、チームで盛り上げるのが大事です」と語ると、会場の参加者のみなさんも大きく頷いている様子でした。

 最後にメッセージを求められた乾学部長は、「他の大学の工学部長から、『茨城はこれだけ先端企業が揃っていてコラボレーションできるのは羨ましい』と言われます。地域で活躍できる人材の育成は大きな使命です。みなさんにも地域の良さを知ってもらって、できればここで学び、暮らそうと思ってほしいです」と呼びかけました。

この記事をシェアする