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大学院「ダイバーシティ・マネジメント地域共創リーダー教育プログラム」プレ・キックオフ
―茨城大・宇都宮大・常磐大の人文社会科学系大学院が連携

 茨城大学を代表大学、宇都宮大学・常磐大学を連携大学として、3大学の人文社会科学系の大学院が連携して展開する「ダイバーシティ地域共創教育プログラム」が20254月に開設されます。313日に水戸京成ホテルで行われた同プログラムのプレ・キックオフシンポジウムでは、各大学の担当者が初めて揃って登壇するとともに、学外からの期待も語られました。

 同プログラムは、茨城大学大学院人文社会科学研究科、宇都宮大学大学院地域創生科学研究科、常磐大学大学院人間科学研究科の3大学院が協力して運営するものです。昨年(2023年)9月、3大学の連携による「多様性と脆弱性の尊重から始まるインクルーシブ社会の構築により、≪機会創出≫と≪課題解決≫を実現するダイバーシティ・マネジメント地域共創リーダー学位プログラムの構築」という事業が、文部科学省の「令和5年度 人文・社会科学系ネットワーク型大学院構築事業」に採択されたことを契機に開設するものです。
 
 3月13日のプレ・キックオフシンポジウムは、茨城大学のパートナーや連携自治体の関係者を対象とした「茨城大学パートナーズフォーラム」の場で行われたものです。当日は学内外から約50人の参加がありました。
 冒頭、太田寛行学長が挨拶を述べたあと、茨城大学大学院人文社会科学研究科の原口弥生研究科長が登壇。
 今回のプログラムの背景について「成熟した社会では、価値に焦点を当てた分析力をもつ人材が重要となる。修士号の取得者も今後大きく増えていく」と指摘。加えて「北関東の地域においては、企業の管理職の女性の割合が依然低いなどの状況が大幅には改善していない。それはダイバーシティという大きな概念、課題を充分に共有できていないからではないか」と問題意識を示しました。

画像2.jpg プログラムを紹介する原口研究科長

 そこで同プログラムではダイバーシティについての「概念の理解と共有に力を入れた」とし、3大学で開講する「ダイバーシティ地域共創概論」という授業や、地域の自治体や企業、NPOなどと協力して実施する共同研究・インターンシップといったカリキュラムのポイントを紹介しました。
 
 その後、連携する各大学からは、宇都宮大学大学院地域創生科学研究科社会デザイン科学専攻の磯谷玲専攻長、常磐大学大学院人間科学研究科の水嶋陽子研究科長がそれぞれ登壇し、現在の教育・研究の概要を紹介するとともに、本プログラム参加にあたっての課題認識を述べました。
 
 続いて、石岡市役所の増田八重氏と、プログラムにも関わっている茨城県経営者協会の会長を務める株式会社常陽銀行取締役会長の笹島律夫氏が、プログラムへの期待を語りました。
 石岡市役所の職員の増田氏は、社会人として2017年に茨城大学大学院に進学。講義を受ける中で、政策形成の上では経験や勘に頼るのではなく、データを分析して情報の信頼性を高め、多くの人が納得できるストーリーを示すことが重要という気付きを得たとのことです。修士論文についても、石岡市民4000人を対象とした市民満足度調査のデータを分析し、住みやすいまちのあり方を提言する内容としたとのこと。

画像3.jpg 茨大大学院での経験を紹介する石岡市役所の増田氏

 増田氏は、「公務員向けに、仕事に役立つ知識を必要な範囲で効果的に指導してもらえた。仕事の進め方がだいぶ変わった」と振り返り、大学院でのさまざまな出会いが、「これからも市役所職員として業務をまっとうする上で大きな糧となった」と語りました。
 また、茨城県経営者協会会長の笹島氏は、会員企業の多くが人手不足を喫緊の課題としていることを紹介し「外国人など多様な人材や高度人材の採用と定着の取り組みが必要。人文社会科学系の大学院は留学生が多いので、留学生に地域企業でのインターンに取り組んでもらいながら、外国人人材をどう採用し、一緒に働くかについての知見を深めたい」と期待を述べました。

画像4.jpg プログラムへの期待を述べる茨城県経営者協会の笹島会長

 その上で「わが国では人文社会科学系の大学院進学の割合が低く、企業においても大学院修了者の評価が定まっていない。地元企業などに大学院での教育や研究の成果が伝わっていないのではないか」と指摘し「ダイバーシティを地で行かないと対応できない時代。どういう大学院にしていくことが社会の発展につながるのか一緒に考えていければ」と話しました。