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2024年 学長年頭あいさつ

1月5日、太田寛行学長から全教職員へ向け、年頭のあいさつをオンラインで配信しました。その内容をご紹介します。


学長年頭挨拶

2024年のスタートにあたって

茨城大学 学長 太田寛行

 みなさん、あけましておめでとうございます。
 まず、1月1日に発生した令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 依然として予断を許さない状況が続いていますが、被災地域のみなさまの安全確保、そして一日も早い復旧・復興を衷心よりお祈り申し上げます。
 地震後直ちに、学生支援課が、全学生への安否確認等のメールを発出しました。その上で、特に被害が甚大である地域を出身地とする学生の状況の把握に努めています。昨晩の状況報告では、特に被災地域の学生、110名程度、に係る未回答者については各学部から電話連絡等を行い、概ね無事の回答を得ております。しかし、家屋損壊等の被害や、交通事情により授業に間に合わない可能性がある旨を回答している学生も数名おりますので、まだ連絡がつかない学生の追跡とあわせて、これらの学生の個別対応を行っています。
 被災地域を出身地とする学生が所属する研究室やゼミ等の教員におかれましても、学生へのケアをよろしくお願いいたします。また、不明なことがあれば、学生支援課の方と連絡を取りながら対応してください。

 さて、2024年のスタートにあたって、今年の抱負を述べたいと思います。今日、社会状況の変化は加速しており、その変化に対応できる全学的な組織改革はさらに必要です。
 その改革の先陣として、この4月から「地域未来共創学環」がスタートします。改めて、詳細は述べませんが、コーオプ実習に参画、協力して頂ける34の企業と20の自治体の存在は、本学にとっては大きなサポーターであり、地域と大学の新たな連携の枠組みを作ることは、とても意義あることだと思っています。学環という新たなチャレンジを担当する教職員だけでなく、全学が一丸となって進めて行きますので、よろしくお願いいたします。
 第二に、本学は、4階層からなる「教育の質保証システム」を構築してきました。このシステムの運用と展開は、中教審が提示した教学マネジメント指針にある「学修者本位の教育の実現」の考え方のコアな部分を具現するものと言えます。そこで、このシステムの運用が教育パフォーマンスの速やかな改善に反映できるように、教学及び学生支援の組織体制を改革することが必要です。その改革のポイントは、ディプロマポリシーを基盤にして「学生の自己実現(なりたい自分になる)」を支援することです。「学生のなりたい自分になる」を目標にすえて、学生の将来像づくりを支え、学生生活だけでなく、学業に関する悩みの解決をこれまで以上に支援する統合的な組織をつくることです。これは、米国の大学の多くで設置されている"Student Success Center"の構成や考え方につながるものです。ちなみに、その "Student Success"とは、"For students, success consists not just of good grades and steady progress toward graduation, but a holistic sense of fulfillment."というものです。
 第三に、今年は「サステイナビリティ学の拠点」としての国際的プレゼンスの向上を目指します。本学は国連のSDGs宣言以前から気候変動の適応策の研究・教育をベースとした「サステイナビリティ学」の実践に取り組んできました。昨年はカーボンリサイクルエネルギー研究センターを設立し、さらに微生物によるCO2資源化の研究などがGI基金事業に採択されました。適応・緩和の両輪を融合させた先進的な取り組みを核として、アジア地域に広がるネットワークの確立を目指します。昨年は、インドネシアのガジャマダ大学、インドネシア・イスラム大学、ボゴール農科大学と、Climate Resilient Development (CRD)という新たな概念で共同研究することを議論してきました。今年は、その共同研究のスタートを目指していきます。
 本学は、国立大学の中では、いち早く「大学戦略・IR室」を立ち上げ、全学的な学部改組を行ってきました。本組織は、機関別認証評価や法人評価への対応の中枢として機能してきたことはご存知だと思います。今年は、社会の変化に対してより迅速に対応するため、大学運営の戦略機能を強化するための組織改革も行っていく予定です。
 言うまでもなく、今年は茨城大学の創立75周年という節目の年です。加えて最初のルーツ校の創設からは150周年です。何度も引用していますが、鈴木亰平初代学長は第1回入学式で「野心満々たれ」と呼びかけました。今年もまたこの言葉を胸に、大学運営に取り組む所存です。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。