1. ホーム
  2. NEWS
  3. パレスチナでの支援活動に関わる山村順子さんが講演―約150人が参加 学生から支援の動きも

パレスチナでの支援活動に関わる山村順子さんが講演
―約150人が参加 学生から支援の動きも

 今年10月に始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突は、世界に大きな衝撃を与えました。双方に多くの犠牲者を出す事態となっており、とりわけパレスチナ自治区のガザでは、子どもや女性を多く含む2万人もの方たちが亡くなり、人道危機はきわめて深刻な状況です。
 そうした中、茨城大学人文社会科学部市民共創センターは、1222日、パレスチナでの支援活動に従事してきた山村順子さんをゲストに迎え、「パレスチナ人道危機の現状と現地の人々の声」と題した講演会を開催。学生や教職員、一般市民の方など約150人が会場に駆けつけ、現地の状況を知る山村さんの話に耳を傾けました。参加した学生からは具体的な支援の行動を起こしたいという声も上がりました。

 この講演会を企画したのは、人文社会科学部の長田華子准教授、蓮井誠一郎教授、付月准教授、佐々木啓教授です。当日進行を務めた長田准教授は、「連日の報道に心が締め付けられており、授業でも話をしていますが、日本で暮らす学生たちにとってはどこか縁遠い話で、深く考える機会を失っているような感じがしていました」と話し、関心につながればという思いから、自身の大学時代の後輩である山村さんの講演を企画したと説明しました。
 山村さんは、20172022年にNGOの駐在員としてエルサレムに滞在し、難民キャンプを含むガザ地区と東エルサレムで、女性や子ども、若者に寄り添う支援活動に従事。その後も開発コンサルタント/北海道パレスチナ医療奉仕団メンバーとして、パレスチナ難民に関わる仕事で現地に赴いています。

ヨルダン川西岸地区で子どもたちに囲まれる山村さん(写真:山村順子さん提供) ヨルダン川西岸地区で子どもたちに囲まれる山村さん(写真:山村順子さん提供)

 講演の中で山村さんは、イスラエルとパレスチナをめぐる歴史を概説。イスラエルの建国によって75万人ものパレスチナ人が難民となったこと、イギリスのいわゆる「3枚舌外交」が未だに大きな禍根を残していること、ナチスによるホロコースト、そして昔から存在したユダヤ人迫害の歴史により、ヨーロッパ、とりわけドイツはイスラエルの行動を強く非難することができず、問題への関与に慎重であるといった背景が解説されました。

 そして、軍事衝突前のガザの人びとの様子や、ガザ地区へ入域するための段取りについて説明。山村さんは、軍事衝突前の人びとの明るい表情やエルサレム、そして西岸地区の活気ある様子を紹介しつつ、以前からイスラエルの入植が進む中で、イスラエル当局による日常的なパレスチナ人への嫌がらせ、そして起訴も裁判も伴わない「行政拘禁」が日常的に行われていたことを説明しました。

 軍事衝突後のガザに関しては、「ほとんどの病院が機能停止に陥っている。医療設備が動いていないので、かなりの人が手足の切断という決断を迫られ、周りを戦車に囲まれ、国連も赤十字も病院へアクセスできないという状況にも追い込まれた。そんな中でも医療従事者は自身の命より、患者たちの尊厳を重視していた」といった深刻な現状を、現地のジャーナリストが発信している記事や写真とともに紹介しました。

j_yama_03

 さらに、山村さんに届いているガザ出身者からのメッセージが読み上げられる場面も。
「自分の家族はまだ生きているのだろうか?どうやって食べ、どうやって飲み、どうやって眠るのか」「正直言うともう手遅れだ。戦争は今初めて起こったんじゃない。もうガザはなくなるかもしれない」といった切実な声に、参加者は真剣に耳を傾けていました。

 講演後の質疑応答では、学生や一般市民の方からたくさんの手が挙がり、日本、ヨーロッパ、あるいは国連の関わり方や、それらの動きを現地の人々がどう受け止めているかといったことなどについて、質問が寄せられました。
 そして、留学生を含む茨城大学の学生たちの質問やコメントは、今回の講演を通じて、現在のイスラエル・パレスチナで起こっていることを自分ごととして受け止めようとしている姿が、はっきりと伝わるものでした。
 たとえば理工学研究科の学生は、「エンジニアは現地でどのように行動しているか。具体的にどんな貢献ができるか」と質問。また、工学部に所属している留学生は、「日本人の学生がこの問題にあまり関心を持っていないと感じている。われわれが遠くからでもできる支援を教えてほしい」と尋ねました。

j_yama_04 日本からできる支援について、山村さんは、「募金も大事だが、今は現地になかなか支援が届かない状態。復興のプロセスに移れば募金も大いに必要になるが、今はデモに参加したり、これがおかしいという声を挙げ続けたりといったアドボカシーの方が重要。メディアで取り上げられれば、それをパレスチナの人たちも見る」「(平和)デモは日本ではなじみがないが、それを手にして歩くことになるボードにどんなメッセージを書くか、それを考えるプロセスも大事」などと説明。
 それを受け、理工学研究科の別の学生が、「デモには良いイメージをもっていなかったが、具体的なアクションを起こしたい。会場の中で、一緒にやってくれる人がいたら私に声をかけてほしい」と呼びかける場面もあり、会場からは拍手が湧きました。

 茨城大学の学生の心の中に、ガザで起きていることを強く印象付けることになった今回の講演会。今後具体的な動きがあったら、本ホームページでも伝えていければと思います。

(取材・構成:茨城大学広報室)