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「学生SDGsフォーラム」を開催
―学生たちがSDGsに関する研究成果を発表 米国の研究者による講演も

 3月2日(木)、水戸キャンパス図書館において「学生SDGsフォーラム」を開催しました。このフォーラムは、国連の持続可能な開発目標であるSDGsに関連した研究や活動の成果を学生たちが発表し、交流することを目的としたものです。

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 本学では2006年に設立した地球変動適応科学研究機関(ICAS)を中心に、既存の学問分野を横断して持続可能な自然・社会のあり方を研究する「サステイナビリティ学」の活動を展開してきました。2020年度にはICAS地球・地域環境共創機構(GLEC)に改組し、一層の研究の強化を図っています。また、教職員で組織する「SDGs推進プロジェクトチーム」が今年度発足し、菊池あしな理事(ダイバーシティ・国際・SDGs担当)や蓮井誠一郎学長特別補佐(SDGs推進担当)を中心として、SDGs達成に向けた取組みに力を入れています。

 「学生SDGsフォーラム」は、2007年度から実施してきた「学生サステイナビリティ・フォーラム」をリニューアルしたもので、前身を含め14回目となります。今回は、第一部の講演会と第二部のポスターセッションで構成。開会に先立ち、戸嶋浩明 地球・地域環境共創機構長は「各キャンパスの学生たちが一堂に会して交流する重要な機会。これをきっかけに、専門分野の垣根を越えた新しい研究の芽を見つけていただきたい。SDGsやサステイナビリティに関わることを皆さんとともに全学的に発信していけたら」と述べました
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 第一部では、米ルイジアナ州立大学の元教授で、微生物学を専門とするゲイリー・キング(Gary M. King)氏が、「Life in the Anthropocene: Microbes, Humans and Uncertainty(人新世の生き物たち:微生物、人間、そして、その不確実性)」と題して講演しました。人新世とは、地質学における新たな時代区分のひとつとして提案されているもので、人類が地球や生態系などに影響を与えたとする現代を含む時代のことです。

 キング氏は、「人新世という考え方は、人類や生物の住む世界に、これまで例のない不確実性をもたらす新しい時代の到来を告げるものだ。政治、経済、社会、医療といった人為的な活動の混乱は、環境や生態系に変化をもたらした。特に、新しい疾病の発生や薬剤耐性菌の出現などにそれが表れている。人為的な開発と、持続可能なライフスタイルの維持を両立させるためには、微生物をパートナーとして認識することが大切だ」と話しました。
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 第二部のポスターセッションには、様々な学部・研究科の学部生、大学院生、留学生ら40組の発表題目がエントリー。地域の二酸化炭素排出状況の測定、河川や湖沼の生態系調査、海面上昇予測といった環境・気候変動に関わる研究や技術開発、多様な住民同士のコミュニケーションに関わる研究など、テーマは多岐にわたりました。
 当日は各個人・グループが1分間プレゼンテーションをおこない、概要を説明。その後、掲示されたポスターの内容について、参加者からの質問に答えるなどし、自らの研究成果をアピールしました。
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最後に、学生、教員を含む参加者全員の投票により、以下の各賞の受賞者が決定しました。

最優秀賞
参加者による投票における最多得票者

理工学研究科 博士前期課程 1年
山岸 律
二色のLEDの測定結果の合成による光電脈波法に関する研究

優秀賞
参加者による投票における2番目の得票者

工学部 4年
中村 陵祐

久慈川下流域における過去27年間の塩水遡上距離の推移とその影響要因

学長賞
太田寛行学長が選定

工学部 4年
原 龍正

水産系副産物(貝殻)の有効活用と浅層埋設におけるCO₂固定化に関する研究

キング賞
ゲイリー・キング氏が選定

連合農学研究科(茨城大学配置)博士課程3年
迫田 翠

Mitigation of paddy field soil methane emissions by utilizing soil bacterium

機構長賞
戸嶋浩明 地球・地域環境共創機構長が選定

理工学研究科 博士前期課程 2年
三浦 七海

マイクロプラスチックが汽水性二枚貝ヤマトシジミの開閉運動と成長力に及ぼす影響

SDGs
菊池あしな 理事(SDGs担当)が選定

人文社会科学部 4年
大須賀 文音
山本 翠

介護助手の普及による介護人材不足の解消~高校生が担い手となる福祉のまちづくり~

DSC_0632.JPG 各賞を受賞したみなさん

 最優秀賞を受賞した山岸律さんの研究は、近年の高齢化社会を受け、介護施設で働くヘルパーの負担を軽減するために、被介護者の健康情報などを自動で測定し、そのデータをクラウドに自動で登録するシステムを開発するというもの。発表では、手首で脈拍を高精度で測定するために2つのLEDを高速で点滅させることで、ほぼ同時に2つの脈波データを取得する方式について提案しました。
 山岸さんは「貴重な経験をさせていただいた。研究を頑張った甲斐があった。これからもこの受賞を胸に研究に励んでいきたい」と決意を示しました。

DSC_0440.JPG プレゼンをする山岸律さん

 地球・地域環境共創機構(GLEC)副機構長で学長特別補佐(SDGs推進担当)の蓮井誠一郎教授は「素晴らしい研究成果の数々だった。今回エントリーしてくれた皆さんはそれぞれ研究者や科学者として今日まで活動されてきたと思う。キング先生がおっしゃっていたように、社会の中のリーダーとして世界を変えていってほしい。皆さんがどんな進路を選んだとしても、今後も自分の役割を忘れずに、SDGsの理念を実践していただきたい」とコメントし、学生たちの今後の活動に期待を寄せました。
DSC_0626.JPG(取材・構成:茨城大学広報室)