【佐川泰弘理事】茨大生・教職員が選ぶ!わたしの推本
―生協学生委員会がインタビュー
茨城大学生活協同組合書籍部と生協学生委員会(GI)では、今の学生生活の実態を正しく捉え直し、もっと書籍部へ足を運びたくなるような取組みとして、おすすめ書籍「#推本」企画を実施しています。
茨大生・教職員が選ぶそれぞれの「推本」について、GIメンバーが選者へのインタビューを通じて紹介していきます。今回は佐川泰弘理事・副学長(学術・企画・評価)の「推本」です。
今回は佐川泰弘理事・副学長(学術・企画・評価)の「推本」です。
- 樋口陽一 著『リベラルデモクラシーの現在』(岩波書店、2019)
今年の7月には参議院選挙が行われ、茨大にも投票のために多くの方がいらっしゃいました。投票は私たち市民ができる政治参加の一つです。ただ、私たちが政治参加するにあたって、これまで政治がどんな変遷を辿って、今に至るのかを知ったうえで投票するのとしないのとでは、意味が大きく変わってきます。佐川理事は政治学を研究されていた経験から、茨大生には今の政治の根底となる考え方を、この本から取り入れてほしいと考えています。
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嶋田博子 著『職業としての官僚』(岩波書店、2022)
官僚政治、キャリア官僚、官僚主義などにみられる"官僚"という言葉。よく聞く単語ではありますが、実は官僚という役職は存在しないということをご存じでしょうか。官僚とは、簡単に言うと国家公務員の方々のことです。地方公務員と国家公務員では特徴が異なりますが、同じ公務員であることに変わりありません。公務員志望が多い茨大生に、是非手にとって読んでほしい一冊です。 -
半藤一利 著『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後編 1945-1989』(平凡社、2009)
日本がなぜ、戦争という道を歩まなければならなかったのか。そして戦後、人々はどんな思いで生き抜いたのか。その人々の息づかいがこの本に描かれていると佐川理事はおっしゃいます。終戦から77年が経過。徐々に戦争を経験した方が少なくなり、戦争のリアルさが薄まってしまっている状況です。そんな中私たちが出来ること、それは日本が戦争に至った前提とはなんだったのか、そして戦後、ひとびとが経験した復興にはどんな困難があったのか。このことを本書から知ることではないでしょうか。 - 佐藤賢一 著『小説フランス革命 全18巻』(集英社、2011-2015)
学校の歴史の授業で、一度は目にするフランス革命。片仮名で記されたたくさんの人名、土地、事件を覚えさせられ、正直うんざりしてしまった人も多いのではないでしょうか。しかし、フランス革命は、現代につながる政治のあり方が凝縮されている出来事であると、佐川理事はいいます。革命は一瞬にしてならず。その全容を本書から感じ取ってほしいのです。 - 夏目漱石 著『三四郎』(新潮社、1948)
"思い出深い作品"。この本についてお聞きしたとき、佐川理事から真っ先に出てきたのはこの言葉でした。上京してきた主人公・三四郎の、淡い恋物語を描くこの作品。佐川理事にとっても、この本を手に取った学生時代の懐かしい風景が思い出されるそう。本を読むことで当時の思い出がよみがえってくる。そんな1冊にあなたは出会えていますか?
佐川泰弘理事・副学長と読書
佐川泰弘理事・副学長に読書についての考えなどを聞きました。
Q.先生ご自身の経歴と現在のお仕事を簡単に教えてください。
関西の大学に進学後、転職を重ねた後にフランスへ。茨城大学に赴任して今年で24年になります。茨城大学では、もともとは人文社会科学部の現代社会学科・国際・地域共創メジャーの教授として、政治学を専門に研究、教鞭をとっていました。
現在は理事として、茨城大学の知名度向上にむけた広報活動、大学の将来構想や計画の進捗管理等をしています。仕事柄、学生との直接的なかかわりが少なく、もっと学生と交流したいと考えています。
Q.学生の頃と現在の読書量はどのくらいだったのでしょう?
実は現在よりも、大学院生の時のほうが読書をしていました。読んだ本の分野としては、大学生時代は、自分の興味・関心に関連する本を、大学院生時代は、自分の研究に関連する本を、教員時代は、学生への指導に関連する教材本を、そして現在は経営、ビジネス、データ、DXに関連する本を読んでいます。
Q.読書に対するお考えを聞かせてください。
私は、読書には三つの目的があると考えています。
一つ目は、必要な情報を得るということです。ネットは情報の根拠があいまいなものが多いですが、本は著者や専門家の綿密なチェックのもと出版されているため、情報の根拠が明確です。
二つ目はバーチャルな体験ができるということです。本を読むことで、私たちは人、場所、時間を超えてバーチャルな体験ができます。当時のひとがどのような壁に当たり、それをどう乗り越えてきたかを疑似体験することで、現在の自分を見つめなおし、未来に活かすことができます。
三つ目は、筆者(作者)の思考・論理を考えるということです。文章の構成、スタイルから、人(作者)の思考・論理を学ぶことができます。例えば、読点・句読点の位置や意味を考えながら読むことで、分かりやすい文章にはどんな特徴があるかを学ぶことができます。ちなみに明治の文豪・夏目漱石は読点が少なく、1センテンスが短いそうです。
実際に佐川泰弘理事が選ばれた"推本"については、生協書籍部にて紹介されています。是非いらっしゃってください!
(取材・構成:生協学生委員会 熊谷 真輝(人文社会科学部3年))