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立ち直りを認められる社会であるために
―人社・伊藤ゼミが更生保護に関する講演会を実施

 人文社会科学部・伊藤哲司ゼミ(社会行動論)が「更生保護について学ぼう~社会を明るくするためには~」と題した講演会を企画・実施しました。茨大広報学生プロジェクトの立川陽菜さん(人社・1年)によるレポートをお届けします。

 83日に、法務省水戸保護観察所の保護観察官である伊東広晃さんをお迎えし本学人文社会科学部の伊藤ゼミが企画した講座が行われました。テーマは「更生保護-立ち直りを支えるしくみ―」です。

 更生保護とは何か、皆さんご存知でしょうか?
 社会には、残念ながら犯罪や非行をしてしまった人たちがいます。しかし、そのような人たちもいつかは社会に帰ってくるのです。彼らが再び罪を犯さないように、社会の一員として自立できるように、計画を立てて支えていくのが更生保護です。

DSC_2275_1 説明をしてくださった伊東さん

 彼らと実際に関わっているのは、保護観察官や保護司、更生保護施設、更生保護女性会、BBS会、協力雇用主と呼ばれる人々や団体です。講座の中では、このような支援している方たちの声を集めたDVDを見ました。
 保護観察に関わるひとたちがどのようなことをしているのか、少しだけ紹介します。

保護観察官 専門知識に基づいて更生保護に携わる国家公務員。
保護司 「保護観察」を受けることになった人たちを支えるなどして、地域社会に貢献するボランティア。
更生保護施設 刑務所等を出たあと、自立した生活を送れるようになるまで、宿泊場所や食事の提供を行う民間施設。帰る家、頼る人がいない人のための場所。
更生保護女性会 女性の立場から更生保護施設のサポートや子育て支援活動などをするボランティア団体。
BBS会 兄や姉のように非行少年と同じ目線で立ち直りや成長を支えるボランティア団体。
協力雇用主 社会復帰に重要である就労支援を行う。保護観察中の人を、前歴にこだわらず積極的に雇用する事業者。

DSC_2279_2 講座に参加した参加者

 伊東さんは「笑顔で声をかけてくれたり、自分を認めてもらえる気がしたりする。繰り返される過ちもこのような小さなきっかけから減らすことができる」と話します。また、「犯罪を繰り返してしまう負のサイクルは、いろいろな人の支えによって断ち切ることができる。私たち11人が更生保護への理解を深めて、出来ることを考えてみてほしい」と話しました。

 伊東さんによる講話のあとは、それぞれがどのようなことを感じたのか、考えをまとめる時間としてグループディスカッションを行いました。どのグループからも活発に意見が出て、お互いに高め合える時間となりました。意見を交わした後には、グループで出てきた疑問を伊東さんに質問するなど、積極的で有意義な時間だったと感じます。

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DSC_2314_4 ディスカッションを行う参加者

 講座に参加した人文社会科学部1年の原口さんは「もともと興味のある分野だったこともあり、今回の講座に参加した。現場で働く方に直接質問をすることができ、良い経験になった」と話します。

 私が今回参加した理由は、小学生の時に「社会を明るくする運動作文コンテスト」に参加した経験があったからです。今回のお話を聞いて新しい知識がたくさん増え、当時の私が作文を書くために調べたことは、ごくわずかであったことが分かりました。罪を犯した人が社会に帰ってくるために必要な支援を行うのも、また社会です。安心で安全な社会を作るには、私たちが彼らの立ち直りを支えることも重要となります。犯罪や非行が起こる社会の負のサイクルを断ち切ることは難しいですが、私たちが立ち直りを支援することで、明るい社会に一歩近づくことができると思っています。

(取材・構成:茨大広報学生プロジェクト 立川陽菜(人社・1年))

関連リンク
水戸保護観察所ホームページ
第72回"社会を明るくする運動"(法務省ホームページ)
伊藤哲司ゼミホームページ