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<学長会見>分野横断的な学びの場をつくる取組みの構想を発表
40人規模の新教育課程設置、全学副教育プログラム創設

 茨城大学は714日、太田寛行学長らの出席のもと記者会見・記者懇談会を行いました。
 本会見において太田学長は、第4期中期目標・中期計画期間(20222027年度)における教育改革の取組みとして、40人規模の新教育課程設置や全学副教育プログラム創設の構想を発表しました。

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学長発言要旨

 茨城大学では、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針、DP)で定めた「世界の俯瞰的理解」「専門分野の学力」「課題解決能力・コミュニケーション力」「社会人としての姿勢」「地域活性化志向」という5つの茨城大学型基盤学力をすべての学生が身に付け、卒業後もスキル・能力として活かせるように、カリキュラムの編成と教育の質保証の取組みに注力してきました。卒業後の追跡も含む学生へのアンケート調査や就職先の企業等への調査の結果、DPの達成度は全体として年々向上していることが確認されています。
 本学では2009年に定めた大学憲章の教育の項目において、「市民」「人間」「人材」を育成することを宣言し、DPの1番目には「世界の俯瞰的理解」という要素を掲げました。しかし、DP達成度の調査結果によれば、「専門分野の学力」は多くの学生が達成したと実感しているものの、「世界の俯瞰的理解」「コミュニケーション力」「地域活性化志向」の達成度が伸び悩んでいます。

 こうした経緯を踏まえ、「イバダイ・ビジョン2030」では、学生のニーズや社会変化に対応できる柔軟性のある教育システムの構築を掲げ、それを受けて第4期中期目標・中期計画期間(2022~2027年度)には、分野横断的な学びの場を創出することをめざして、①分野横断・課題先行型の40人規模の新教育課程の設置、②全学副教育プログラム創設 といった取組みを進めることとしました。

 新教育課程については、既存の学部等の教育リソースを活かして柔軟なカリキュラム設計を可能とする仕組みを活用したいと考えており、その課程を実施する新たな組織については、2024(令和6)年4月に開設することをめざし、現在、文部科学省との折衝を進めています(そのため、開設時期や教育内容は今後変更となる場合があります)。
 この新たな教育組織における教育方法の特徴のひとつが、「学働融合」を志向したコーオプ教育の導入です。地域の企業や自治体などで実際に働きながら学ぶ、ということを、必修の正規課程として組み込み、その一部は有給とすることも構想しています。このようなコーオプ教育を日本の大学で導入している事例は少なく、正規の課程として1年次から全員必修として組み込んでいるのは、国立大学ではまだ例がありません。

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 また、もうひとつの特徴として、教育の点検・改善だけでなく企画の段階から、地域の企業・自治体等の方々に一緒に加わっていただくための「学修共創プラットフォーム」を設置します。その具体的な動きとして、私(学長)をはじめ大学執行部による数十社もの企業・自治体への訪問を既に行い、私たちの構想に対して心強い共感をいただいています。

 分野横断的な学びの場の創出の取組みの2つめの柱が、全学における副教育プログラムの創設です。全学部の学生を対象として、自身の専攻以外の学びに取り組み、多様な学生とのコミュニケーションを通じて、協働しながら幅広い教養や総合的専門知を身に付けることをめざします。

 現在、視野を広げる、横断的な学びのベースをつくるためのプログラムとして「サステイナビリティ学教育プログラム(新設)」「国際コミュニケーション能力育成プログラム(新設)」「地域志向教育プログラム」「アントレプレナーシップ教育プログラム」の4つ、他の専門分野を深めたりキャリアへつなげたりするようなプログラムとして「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」「グローバル英語プログラム[GEP]」「日本語教師養成プログラム」の3つの計7つのプログラムを予定しており、学生たちの主体的な履修を推奨します。

 また、本学がこれまで培ってきた教育の質保証の仕組みと知見を活かし、初等・中等教育から社会人までを見通した教育マネジメントの拠点となることをめざします。その一環として、高等学校との「共創」の取組みを強化することとし、7月29日には茨城県教育委員会や高等学校関係機関と連携した、茨城大学トップメッセージフォーラム―新たな高大接続の取組みについて 「接続」から「共創」へ―を開催します。

 大学という枠を超えた多様な学びの共創の場をつくる取組みについて、ぜひ皆様のご理解、ご協力をいただきますようお願いいたします。