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キャリアセンター・小磯准教授に聞く
―コロナ禍の中での就職・採用最新状況とアドバイス

 2年以上続くコロナ禍の中での企業の採用や学生たちの就職活動の状況について、キャリアセンターで学生たちの相談にも乗っている全学教育機構の小磯重隆准教授に聞きました。「『ガクチカ』がなくて不安」という学生には、「重要なのは、他人と比べて秀でたような体験やその内容よりも、自分として力を入れたことについて、その理由を述べること」とアドバイスします。

koiso1.jpgキャリアセンター担当の小磯准教授

―最近の企業の採用状況は?
小磯「旅行、飲食業界などコロナ禍で大きな打撃を受けた業界は採用に苦労しているものの、全体として新卒採用は好調と見ています。ただ、コロナ禍だけでなくウクライナ情勢など国際的な状況を受けた物価の上昇により、企業の業績が不透明になっていることが気になりますね。また、70歳雇用制度の法律改正によって定年がさらに延長されることで、新卒採用を抑える企業も出てくるかも知れません。こうした状況を注視する必要があります」

―オンラインでの採用が進むなど、就職活動のあり方も変わってきている。
小磯「コロナ禍を受けて、特に東京の企業については採用の最初から最後まで全部オンラインというところも多いです。一方で地方の企業がそれに対応できず、そのために学生との接点が減ってしまっているということも見られます」

―オンラインの就職活動の中で学生としてはどんな点を心がけるべき?
小磯「オンラインで行われる企業説明会、筆記試験、面接という、それぞれの段階に対応できるような準備が必要です。面接はどちらかというとプレゼンテーションに近い。相手の画面上で自分がどのように映っているかを意識するように学生たちには伝えています。たとえば、顔の映りが暗いよりは明るい方が良いので、デスクライトを効果的に使うとか。あるいは画面を見ているとどうしても相手と目線が合わず、また、上から見下ろしているような印象になってしまうので、カメラと目線の高さをあわせるようにパソコンの置き場所を高くしたり、ときどき意識してカメラ目線で話すことなども効果的です」

koiso2.jpgオンライン面接は目線も大事...(写真はイメージ)

―採用担当者は小さな画面の中で学生たちの適正を判断するわけですね。
小磯「リアクションはオーバー気味でも良いかも知れません。また、対面ではないので手元のカンニングペーパーを用意できますが、うつむいてそれをずっと見ているようではダメですね。ポイントを箇条書きした付箋紙をカメラの周りに貼っておいたりすると、目線が前を向き、なおかつポイントを押さえながら自分の言葉で表現できるのでおすすめです」

―コロナ禍で課外活動が制限される中、いわゆる「ガクチカ」=「学生生活で力を入れたことは何ですか?」という質問にどう答えればいいかという不安を抱えている学生も。
小磯「最近は『コロナ禍の中、あなたは何をやっていましたか?』と聞かれることも多いようですね。ここで重要なのは、他人と比べて秀でたような体験やその内容よりも、自分自身でこれは力を入れたということについて、その理由、なぜそれをやったのかという点を述べることです。採用担当者はWhatよりもWhyを評価します」

―コロナ禍でサークルなどに入るタイミングを逸してしまい、先輩や同級生との関係が少なく、就職についての相談ができる人が少ないという不安を抱えている学生もいます。
小磯「これまで友達や先輩との雑談で解消できたような些細なことで、つまずいてしまう、ということはありますね。そういうときこそ、ぜひ私たちに遠慮なく相談してほしいと思います」

―そうした中でも茨城大学の学生の就職率は堅調。本学のキャリア支援の特徴は?
小磯「キャリアセンターでは、就職活動の困りごとの相談を受けることはもちろんですが、この間、オンラインでの集団面接やグループディスカッションの練習も行ってきました。また、3年次の全学必修科目として『ライフデザイン』という授業を設けていて、まさに就職活動を始めるという適切な時期にすべての学生に必要な情報提供や、茨ダイCareerNavi(就職関連の情報を提供しているポータルサイト)の使い方の説明ができるというのも大きな利点といえます」

koiso3.jpg

―学生たちに対して特に力を入れて伝えていることは?
小磯「まずは企業を見る視点を広げてほしいということです。大学生が日常生活の中でよく名前を聞くような企業の多くは、消費者向け、いわゆるBtoCBusiness to Customer / Consumer)の企業ですが、企業を相手に取り引きするBtoBBusiness to Business)の企業の中にも、名前は知られていないがきわめて優良な企業というのは多いです。なかなか企業研究、業界研究に力が入らないという声も聞きますが、そもそも知っている企業を増やすということが大事ですね」

―ワーク・ライフ・バランスなど、労働条件が気になるという学生も多い。
小磯「給与、賞与、勤務地、休日、福利厚生、研修制度など、自分自身が大切にしたい労働条件を考えることはとても重要です。インターンシップではそうした面が見えづらいかも知れないので、上級生向けに出ている求人票を茨ダイCareerNaviで確認しておくこともおすすめしています」

―就職活動に臨む学生たちにメッセージを。
小磯「『〇〇の仕事がしたいと思い志望しました』と面接で伝える際、重要なのはその『理由』です。なぜその仕事をしたいのか、という理由の部分で、企業はその学生の考え方、感じ方、行動特性を評価しているのです。どんな仕事をしたいのか、それはなぜなのか。それを考えるために企業研究をすることが重要です。自分が働くイメージを持ってぜひ考えてみてください!そして心配なことやわからないことがあったら、いつでも私たちに相談してください」

(取材・構成:茨城大学広報室)

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