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水戸キャンパスに「チバニアン」展示コーナーを開設
―地層の剥ぎ取り標本や解説パネルで成果紹介

チバニアン展示外観.jpeg

 このたび、水戸キャンパス図書館本館1階のインフォメーションラウンジの一角に、「地質年代〈チバニアン〉と茨城大学」と題した展示コーナーを開設しました。

 「チバニアン」は77万4000年前~12万9000年前を示す地質年代名。日本の地名(千葉)を冠した唯一の地質年代名として、2020年1月に正式に名付けられました。地質年代の名称は、その年代の境界をよく記録している地層をGSSP(国際境界模式層断面とポイント)として登録した上で、その地層のある地域名にちなんで命名されます。
 「チバニアン」とその前の時代の「カラブリアン」との境界は、最後の地磁気逆転(地球を磁石に見立てたときの磁極が反転すること)が起きた時期を目安とすることになっています。千葉県市原市にある地層(千葉セクション)が、その地磁気逆転の調査に適しており、なおかつ地磁気逆転が生じたのと近い時期に降り積もった火山灰層を有することなどから、GSSPとして登録され、「チバニアン」という名称とこの地層をもとにした年代区分が決定されました。

 千葉セクションをGSSPとするための申請チームの代表を務めたのが、本学理工学研究科(理学野)の岡田誠教授です。申請には多くの研究データや根拠となる論文が必要となりますが、それらの多くに岡田研究室の学生・卒業生たちが関わっています。

DSC_8698.JPG地層の剥ぎ取り標本と岡田教授

 本展示コーナーは、そうした地質時代「チバニアン」について多くの方に興味をもっていただくとともに、茨城大学との関係も知っていただきたいと思いから、岡田教授の監修のもとに開設したものです。見どころは高さ3.8メートル、幅1メートルの地層の剥ぎ取り標本です。これは「千葉セクション」を含む調査対象となった「千葉複合セクション」の一部である「柳川セクション」の表面を剥ぎ取ったもので、「チバニアン」の始まりを示す百尾火山灰層もはっきりと確認することができます。
 また、GSSPや地磁気逆転について解説するパネルのほか、古地磁気分析に実際に利用したサンプルやそれらを採取するためのコアドリルなども展示しています。

 インフォメーションラウンジは平日9時~17時に開室しています。

理工学研究科(理学野) 岡田 誠 教授のメッセージ

 地球の歴史の区分である地質年代名称として初めて日本の地名が刻まれることになった今回の「チバニアン」提案は、最終的に国内外23機関、35名の研究者からなる提案チームによってなされました。
 なかでも、提案書の執筆責任者である国立極地研究所の准教授である菅沼悠介氏や、提案書を構成するデータの大半を紡ぎ出した産業技術総合研究所の研究員である羽田裕貴氏をはじめとした本学理学部の卒業生、そして研究試料採取や処理作業にたずさわった数多くの在学生(当時)の活躍なくして、今回の承認を得ることはできなかったでしょう。
 まさに、茨城大学発の研究成果と言える「チバニアン」承認の喜びを、本学の在校生・卒業生・教職員の皆様、そして本学を支えて下さっている多くの方々と分かち合いたいと存じます。