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東南アジアとの気候変動適応研究ネットワークをつくろう
―9/16・17にオンラインで国際ワークショップ

 9月16日・17日の2日間、茨城大学をひとつの拠点とし、アジアの国々をつないで気候変動の適応策についての議論・実践を展開する国際ワークショップが、オンラインで開催されます。これらの活動の経緯やイベントの見どころを、茨城大学地球・地域環境共創機構(GLEC)の副機構長を務める伊藤哲司・人文社会科学部教授に寄稿してもらいました。

 茨城大学では、2018年度より、ベトナム、フィリピン、インドネシア、タイなどの東アジア・東南アジアの地域をつなぎ、気候変動の適応策に関する国際的な研究拠点ネットワークをつくる活動に取り組んでいます。

 気候変動の対策には、原因となる温室効果ガスを減らす「緩和策」と、実際にあらわれるさまざまな影響、被害への対応にあたる「適応策」があります。茨城大学は2006年度に地球変動適応科学研究機関(ICAS)を設立し、長年にわたって気候変動の「適応策」に関する問題に先駆的に取り組んできた大学です(ICASは2020年4月に地球・地域環境共創機構(GLEC)として改組しました)。
 ベトナムやインドネシアは、気候変動による海面上昇、海岸浸食の影響がいち早く顕著に見られた地域です。茨城大学は東南アジアや南アジアなどのフィールドでの調査を重ねるとともに、2016年度からはベトナムにある日越大学気候変動・開発プログラムの幹事校となり、現地での人材育成にも深く関わっています。

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 こうした背景を踏まえ、2018年度にスタートしたのが「東南アジアにおける気候変動適応科学の研究拠点ネットワーク」事業です。この事業では、東南アジアの各国との交流を通じて、①地域性を考慮した新しい適応研究のアプローチを開発すること、②実際に社会に浸透するような実践的な適応オプションを提示すること、③若手研究者育成と研究拠点ネットワークの構築を目指します。

 この中で特に強調したいのは、②実際に社会に浸透するような実践的な適応オプションを提示すること、です。私たち研究者の役割は、気候変動による影響の評価や今後の気候の変化に伴う予測、それに基づいた適応策を研究し、示すことをしていますが、それらは実際には十分に活用されず、現地の人たちによって受け入れられないということが、各地域で生じています。
 このことは、科学的知見をベースにトップダウンで進める適応策の実践だけでは限界があり、コミュニティをベースとするようなボトムアップのアプローチもあわせて必要だということを示しています。この2つのアプローチのギャップをどう埋めていくか、ということが、「社会浸透」には不可欠と考えています。

 「社会浸透」へ向けた実践と研究の場として、この事業では毎年「セミナー」を開催することとしています。2018年度・2019年度にはベトナムのハノイで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた昨年度はオンラインでそれぞれ開催しました。各地域の研究者や学生が集い、交流するこのセミナーは、まさに「社会・文化を尊重したインターローカルな対話の場」。各参加者が当事者性をもってそれぞれの課題と解決策について話し合いました。

 そして、今年もこのセミナー「気候変動適応研究拠点国際ワークショップ」(9月16・17日)を、オンラインで開催します。

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 今回は、茨城大学教育学部附属中学校の生徒たちによる発表から始め、大学生・大学院生・若手研究者によるポスターセッション、それに研究者による口頭発表が展開されます。
 あわせて、これまでネットワークに参加してきたメンバーが執筆したオープンアクセスの本"Sharing interlocal adaptation lessons: Climate Change Adaptations and Development in East and Southeast Asia"がSpringerから出版されることを記念した「気候変動適応書籍 出発記念シンポジウム」も、9月17日15:30より開始します。

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 これら2つのプログラム全体を通じて、Web上に設けられた場所にコメントや意見を付箋で貼り付けていくという協働作業をします。果たして、そこからどんなかたちが見えてくるでしょうか?

 全体テーマは「気候変動に関わるインターローカルな学びを超えて:社会的浸透に向けた叡智の醸成(Beyond Interlocal Lessons Learnt on Climate Change: Mapping, Fertilizing and Social Permeating)」です。地域と地域をつなぐインターローカルな学びの次のステップに向けた議論を大いに展開し、世界中で深刻化する気候変動問題への対応に一石を投じたいと思います。そして今はなお小さなネットワークでも、これが大きく世界に展開していくことを目指していきます。みなさん、ぜひご参加ください。
(茨城大学地球・地域環境共創機構(GLEC)副機構長 伊藤哲司)