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【人文社会科学の最前線!】Vol.1
野口康彦教授「親の離婚後の子どもの精神発達に関する研究」

 人文社会科学部の学問を、科研費に採択された研究や自治体等との共同研究の成果を通じて紹介する不定期連載です。
 Vol.1に登場いただくのは、日本学術振興会の科学研究費助成事業で基盤研究(C)に申請・採択され、2016年から2020年にかけて「親の離婚後の子どもの精神発達に関する研究-面会交流のあり方と養育費授受の影響-」の題目で研究成果をまとめた、人文社会科学部教授の野口 康彦先生(臨床心理学、家族心理学)です。
人文社会科学部ホームページのコンテンツの転載記事です)

 年間約60万件の婚姻件数に対し、昨今の離婚件数は年間21万件ほどで推移しています。また、1995年を皮切りに、親が離婚した未成年の子は、毎年20万人ずつ生じています。

 日本では約9割が、司法の介入しない、つまり夫婦の話し合いによる協議離婚です。単独親権制度の日本では、およそ8割程度の親権を母親がとっていますが、離婚後の子育てについて、もう片方の親、つまり別居親の責任が問われることはほとんどありません。

 一方、欧米諸国では子どもの権利保障の観点から、親子法が改正されるなど、離婚に際して共同親権・共同監護の制度に移行してきており、非監護親(別居親)の子どもとの面会交流や養育費に関する規定を設け、子どもが親と会う権利や養育される権利が保障されています。面会交流や養育費など、離婚後の子どもの養育について、先進国と呼ばれる国の中で、日本は非常に立ち遅れているのです。

 このような関心に基づき、本研究では、質問紙による調査や当事者への個別調査を通して、分析及び検討を行い、離婚後の子どもの利益の実現に向けた問題提起を行いました。調査の結果から、離婚後の元夫婦においては、双方の葛藤や高感情とは距離をとりつつ、子どもの育ちについて協力し合う姿勢が、子どもの親像や結婚観、さらには家族イメージに及ぼす影響を考えるうえで重要な要因になることを示しました。

 また、本研究に関連する活動の一環として、心理学や社会学、法学などの研究者、そして弁護士や家庭裁判所調査官といった司法関係者、さらに面会交流を支援する民間支援者などが連携し、「日本離婚・再婚家族と子ども研究学会」を2018年に立ち上げました。

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 DVや虐待の対応は別ですが、親の離婚後において、子どもの養育に父母の協力の姿勢が必要であることは認識されるようになりました。子どもの意思や利益が尊重されるための制度・政策が展開される時期に、わが国は直面していると考えます。

野口 康彦(のぐち やすひこ)
1965年、長崎県南島原市(旧南高来郡)生まれ。法政大学大学院人間社会研究科博士後期課程人間福祉専攻修了。博士(学術)。
主な著書に、『家族の心理-新しい家族のかたち-』(小田切紀子・野口康彦・青木聡 編著)金剛出版、2017年、『子どもの心と臨床発達』(野口康彦・櫻井しのぶ)学陽書房、2011年、など。

野口先生の科研費による研究成果について、詳しくは以下のURLから、「ROSEリポジトリいばらき」にアップされた成果報告書をご覧ください。
>>成果報告書(ROSEリポジトリいばらきにジャンプします)