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「NHKのど自慢」出場の農・北嶋康樹准教授
―声楽も講義も「のど」が命

 全国各地の歌好きな人たちが自慢ののどを披露する、日曜日の長寿テレビ番組「NHKのど自慢」。牛久市から中継された7月11日の放送では、茨城大学農学部の北嶋 康樹 准教授が出場。大学スタッフも事前に出演を知らず、オンエアを見てビックリ!普段は大学でダニや昆虫の調査をする傍ら、声楽についてもプロ級という北嶋准教授。出演の感想などを聞きました。

Kitashima1.jpg出場記念のトロフィーと布施明さん・藤あや子さん・
小田切千アナウンサーのサイン色紙を手にする北嶋准教授

―今回歌ったのが、ゲストである布施明さんの『君は薔薇より美しい』。布施さんとのツーショットも見応えがありました。選曲の理由は?

北嶋「出場者がその日のゲストの曲を歌うというのは番組の見せ場のひとつですから、本選出場を勝ち取るために、今回は布施明さんの曲にしようと。3年前にも牛久で中継があったのですが、そのときは選曲で失敗してしまったので...」

―え?3年前にもエントリーしていたんですか?

北嶋「そうなんです。そのときは自分の得意な秋川雅史さんの『千の風になって』を選びまして、ハガキ選考では通ったんですけど、予選で落ちてしまいました。僕は原曲より半音2つ分高いキーで普段は歌っているんですけど、予選では原曲キーで歌わないといけないんです。そうすると自分には低すぎて、曲自体も出だしが暗いから、力を発揮できなかったんですよね」

―それで今回は戦略的に布施明さんの曲を選んだんですね。

北嶋「布施さんの代表曲といえば『シクラメンのかほり』か『君は薔薇より美しい』ですが、『シクラメンのかほり』はやっぱり出だしが暗めですし、『君は薔薇より美しい』なら僕も原曲キーで歌えます。それから、実は農学部に教職員コーラス部があって10人ぐらいのメンバーで活動しているのですけど、年1回の披露の場である阿見町音楽祭のステージで、数年前に昭和歌謡を何曲か歌ったことがあって、その中のひとつに『君は薔薇より美しい』があったんですよ。なので、エントリーのハガキには"コロナ禍でみんなでステージに立てなくなってしまったけれど、いつかまた、大好きな布施明さんの曲をみんなと歌いたいです"と書きました」

―いいストーリーですね。とはいえ、相当競争率が高い本選出場、ましてやゲストの歌を選ぶ人は多いはず。その中で1枠しかない「布施さん枠」を勝ち取ったというのは相当すごいですよね。

北嶋「予選では自分の番が終わったらすぐ帰る形だったので、他の方が何を歌ったのかは分からないのですが、少なくとも僕の次の人は僕と同じ『君は薔薇より美しい』を歌っていました」

―しかしながら、本番での結果は鐘ふたつ。「♪変った~」というハイトーンなクライマックスまで披露できずに終わってしまいました...

北嶋「いやあ、悔しかったですね。自分の十八番の曲ではないものの、本気で合格を目指していたので。すべての実力を見せることができなかった...。テレビを見ていた友達からは『緊張していたね』『もっと合う曲があったのでは』などと言われました」

―とはいえ、布施明さんが近くまで寄ってきてくれました。

北嶋「ハグしてくれようとしたのだと思いますが、ディレクターから『ソーシャルディスタンス』ということでストップがかかって。布施さんが最近歌っている姿を調べると赤いネクタイをつけていることが多かったので、僕も今回赤いネクタイで臨んだのですが、偶然その日も布施さんは赤ネクタイ。しかも二人ともブラックのスーツということでお揃いだったんです。『布施さんを意識しました』と言ったら、布施さんが『僕も先生を意識しました』って。さすがの返しですよね」

―ご家族やお友達は会場へ応援に駆け付けたんですか?

北嶋「知人を2人まで招待できるのですが、出場が決まった時には研究室にいたので、学生に会場に来たいか確認したら、TVで観るからいいですと(笑)。それで、同じ声楽教室に通っている門下生に来てもらいました」

―え、声楽教室に通っているんですか?

北嶋「もともと大学時代に合唱団に入っていたんです。そのあとも知人と一緒に単独コンサートを開いたりして。東京の30人ぐらいのホールでやるんですけど、結構すぐにチケットが売れるんですよ。コロナ禍になってコンサートは開けなくなってしまったのですが、最近になって土浦の先生のところへ声楽を勉強に行くようになりました。こう見えて、テノール歌手として結構見込んでもらっているんですよ」

―カラオケが好き、といったレベルではなくて本格的な声楽に取り組んでいるんですね。十八番はあるんですか?

北嶋「お客さんによくウケるのは、プッチーニの『誰も寝てはならぬ』でしょうか」

―フィギュアスケートでも話題になった"トゥーランドット"?

北嶋「そうです。お客さんも知っている曲だから盛り上がりますよ」

―そのうちオペラにも出られそうですね。

北嶋「出たことありますよ。小さなグループですけれど。コンサートを開いたりするときに肩書きにできるようなタイトルがないと困るので、いろいろ挑戦しているところです」

自らYouTubeチャンネルを開設してコンサート動画を配信している

―とても高い意識で臨んでいるんですね。講義も行うわけですから、のどのメンテナンスには人一倍気を遣うのでは?

北嶋「はい、地声が大きいですし、大きい規模の講義でもあまりマイクを使わないんですよ。その方がやっぱり学生に伝わると思うので...。遠隔授業をするようになって声は張らなくなりましたが、WEBだと対面の講義以上にずっと話し続けないといけないところがあるので、それはそれで気を遣いますね」

―声楽をやっていることで、大学での仕事、特に研究にプラスになることは何かありますか?

北嶋「いやあ......ないですね(笑)あ、でも数年前に京都で国際ダニ学会大会があったときは、運営者からの依頼があってメインイベントで歌わされました。『サンタ・ルチア』というカンツォーネの有名な曲があるんですけど、その曲に乗せて、ダニの学名を並べて歌う、というのを披露したら大ウケで。YouTubeにそのときの動画が...」

―ものすごくウケていますね。しかも歌詞に合わせてダニの画像が出てくるスライドまで......だいぶ手が凝っています。声楽の練習は大変だと思いますが、これからの夏の季節は、先生の専門である昆虫が多く発生する季節ですから、そちらも大変でしょう。

北嶋「ええ。実験で扱うダニの中には、この季節の落葉樹に付くものなどもあるので、それを山などへ行って捕まえてこないといけません。先週も3日間ほど北海道へ行ってたんですよ」

kitashima2.jpg昆虫採集中の北嶋教員(農学部のFacebookページより)

―今年は例年に比べて昆虫が多いとか少ないとか、何か変化を感じることはありますか?

北嶋「今のところあまり感じません。ただ、受託研究で農薬の試験なども行っているんですが、それに使うアメリカシロヒトリという蛾が、つくばで捕れなくなってきましたね。かつては阿見にもたくさんいたのですが...。気候変動の影響なのかどうか、まだわかりませんが、そうした変化を感じることは昆虫を見ていると良くありますね」

―引き続き大学の研究・教育も声楽もがんばってください。ありがとうございました!

(取材・構成:茨城大学広報室)