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「いばたん2020」運営の中心メンバー3人と振り返る
―茨城の魅力を探究し発信する高校生コンテスト

 茨城県内の高校生が、茨城の魅力を探究し、それを発信するコンテンツを制作する「茨城の魅力を探究し発信する高校生コンテスト」(主催:茨城大学人文社会科学部、後援:茨城県議会・茨城県教育委員会)、略して「いばたん」。今年度はのべ468人の高校生から126の作品が応募されました。228日に二次審査・授賞式がオンラインで開催され、今年度の活動も一区切り。運営の中心メンバーである3人の学生に話を聞くとともに、受賞した作品を一緒に鑑賞しました。

―「いばたん2020」を終えて、今の率直な気持ちは?

片山「高校生の頑張りを、想像していた以上の多くの人に伝えられたと実感しています」

栗原「『いばたんに参加して良かった』『茨城のことが好きになった』というメールをくれた高校生もいて嬉しかったですね」

軍司「『来年リベンジします』とも言ってもらえました」

 今回インタビューに応えてくれたのは、人文社会科学部3年生の片山彩香さん、栗原千怜さん、軍司真奈さんの3人。さまざまな企画や高校生のサポートを中心になって進めてきた。高校生たちの制作が佳境に差しかかると、相談のメールや電話の数も一気に増えていった

片山「私自身が特に多くやりとりした茨城高専や水城高校のチームなどは、個人的にも思い入れがありますね。高校生がここまでメールや電話ができるんだ、と驚きました。内容は著作権の不安とか、動画の編集のこととか。みんな熱心でした」

栗原「質問も、私たちにただ丸投げするのではなくて、『こういうやり方で大丈夫ですか?』とか、ちゃんと自分たちで考えた上で連絡をくれる。それで私たちも調べてみて助言をすると、今度は実際に現場に行ったりして、確かめたり調べたりするんですよね。すごいな、と思います」

軍司「学校で終わらない学びですよね。決まったカリキュラムに従うのではなくて、能動的に参加する、という。自分が高校生のときはそういう経験がなかったので、羨ましいな、と思っています」

ibatan_int2.jpg軍司さん

―アドバイスといっても、動画の編集のことなど、広い知識やスキルが問われますよね。どう対応していったんですか?

栗原「動画の編集ソフトによっては、制作した動画をYouTubeに掲載しちゃいけないものとかもあるんですよね。そういうのを聞かれても、私たちも動画の専門家ということではないので、利用規約なども調べたりしながら、『これなら大丈夫だよ』と伝えたりしていました。写真や画像、BGMも出どころがわからない素材については、どこから持ってきたものかこちらから高校生に問い合わせたりしましたね」

―反対に、みなさんが地方政治論ゼミのメンバーとして専門性を発揮できたアドバイスはありましたか?

片山「ある高校で説明会をやらせていただいたとき、途中までできているという作品を見せてもらってブラッシュアップする会が設けられたんです。そのときの映像は、市内の観光施設の情報を並べた観光PR動画のようなイメージだったので、『観光も良いけれど、観光以外にも茨城の魅力はあるよね』とか、『この映像だったら、この神社をピックアップしてみたら」『ドリンクの生産者に聞いてみたら』とか、そういうアドバイスをしました。私たちが求めているのは、ちょっと引いた目線で魅力を探し、その上でその歴史とか生産者の声とかに深く迫り、調べてもらうことだったので...」

栗原「インターネットで調べてきたものをただ動画に載せるのではなくて、実際に現場へ行って、見たり聞いたりすること。それができたところの動画は、それだとわかるし、やっぱり評価が高かったと思います」

ibatan_int3.jpg栗原さん

―コロナ禍の影響もいろいろあったと思います。

栗原「そうですね。今年度の活動が始まった夏頃は、二次審査の頃には収まっているという見通しでスケジュールや実施要項を考えていたので、感染の状況を見ながら修正して対応していくことは大変でした。2年目だから、昨年度の経験を活かせるところは活かそうと思っていたのに、なかなかそうもいかず...。でもそれでかえってパワーアップしたところもありましたね」

軍司「本選をオンラインでできたおかげで、キャンパス内の会場で行うよりも、かなり多くの方に参加していただけました」

片山1月に内容を詰めようと思っていたけれど、緊急事態宣言によって出品を諦めた、という高校もいくつかあって、それは悔しかったですし、出品できたチームの中にも『もっと仕上げられたはず』という感想があると思います。でも、コロナ禍によって部活の大会がなくなって打ち込むものがなくなった、という高校生へ向けても『いばたん』をアピールするようにしてきたので、実際に『こんなにもひとつのことに熱くなれるとは思いませんでした』という感想もいただけたのは嬉しかったです」

ibatan_int4.jpg片山さん

―ここからは運営委員のみなさんと、今回の受賞作品などを見ていきたいと思います。

<最優秀動画作品賞>
「現地の人に聞いてみた!じょうづるさんと巡る 歴史とグルメと癒し溢れる常陸太田市の魅力をご存知ですか?」太田西山高等学校/自然科学部常陸太田PR Team


―常陸太田市のマスコット、じょうづるさんのコミカルな動きとともに、常陸太田の魅力を、人のあたたかさに寄り添いながら紹介する動画ですね。

栗原「自治体の方を上手に巻き込んでいますよね。じょうづるさんの着ぐるみを借りるようなことも含めて、本当に大変だったと思います」

軍司「チームのメンバーが、制作する中で、動画を見る人の気持ちを考えているうちに、大学で社会心理学を学びたくなったということも言っていました」

片山「『人のあたたかさを伝えたい』というのは、口で言うのは簡単ですが、具体的に表現するというのは難しいと思います。この作品はそれができているのがすごいですよね」

栗原「実は私たちによる一次審査と、審査員による二次審査とでは、選ぶ観点が違っていることが多かったのですが、この作品はどちらでも高評価でした」

<最優秀動画作品賞>
「マインクラフトで行く茨城の旅」常陸大宮高等学校/常陸大宮高校esports


―これは度肝を抜かれましたね!リアルな映像がまったく出てこないという...

栗原「部屋から出ずに作れてしまう、という、コロナ禍ならではの作品だと思います。私たちでは思いつかない表現方法で驚きました。でも、細部などはしっかり調べた上で映像にしているんですよね」

軍司「観光の番組できれいな映像を見ると、それだけで満足してしまうことがありますけど、これを見るとむしろ行きたくなります」

片山「牛久大仏から始まって、だんだん精緻になってクオリティが上がっていく、という作りも戦略かも知れません」

栗原「このチームは、茨城県が力を入れるeスポーツを発信したいという狙いもあったんですよ。動画そのものの先に、さらに目的をもっている作品はやっぱり力強いですね」

<最優秀動画作品賞>
「月待の滝~古くから伝わる秘境~」大成女子高等学校/いばらきすすめ隊!!


―今度はナレーションが英語で字幕が日本語ですね。まさに海外向けの発信です。

片山「英語のナレーションもかなり練習したという努力が見えてきますよね。扱っている内容も、蕎麦など、外国人というターゲットに特化して考えていることが伝わります」

軍司「月待ちの滝というのは知らなかったので、私にとっても発見でした。こういうものをたくさん英語で発信していくというのは、すごく効果があると思いますね」

―これらは本選での審査員の評価が高かった作品ですが、みなさんの視点で良かったと思う作品は?

栗原「水戸三高の作品ですね」

「水戸学の今昔物語 ~探究し導いた未来への仮説~」水戸第三高等学校/あおい


軍司
「私自身、水戸三高出身なので応援していました(笑)今回は動画作品特別賞に選ばれています」

栗原「自分たちで何を調べるか、何を明確化するかということがわかっているんですよね。仮説、検証、結果、考察、と、大学での学びに一番近いから、私たちが共感するのかも知れません。しかもちゃんと提言までしてるんですよ」

片山「大学のレポートみたいですよね。逆にいえば、動画ならではの見せ方の工夫という点で、私たちの捉え方と二次審査の結果との違いが出たのかも知れません」

―そういう意味では、何かを調べ、探究し、発表するということと、それを動画という手段で伝えるということの間には、ギャップがありますよね。それを高いレベルで統合するというのはすごいスキルです。

栗原「私もアドバイスをするときについ簡単に伝えちゃうんですけど、その統合ってすごく難しい。来年度は、そういう点を企画段階でもうまく伝えてサポートしたいですね」

片山3分という決められた時間の中で飽きないような作りをしているところが強いですよね。それから、英語発信に長けているとか、eスポーツのようなゲームに強いとか、自分たちの強みを明確に意識して、それが動画に表れているものは評価が高いように思います」

―みなさん自身は、「いばたん」の経験からどんな点が成長しましたか。

片山「人前で話す経験がそれまであまりなかったのですが、高校の説明会に行くと『25分間話してください』と言われて、喋らなくてはいけない。それで高校生がうなずきながら聞いてくれるのを見ると嬉しくて。企業の方へ協賛の依頼やあいさつへ行くときとかも、先生にも指導してもらいながら、『いばたん』の魅力を伝えるための戦略を身につけました。あとは、みんなをどうやったら巻き込んでいくかというリーダーシップの面も磨かれたと思います」

軍司「私はホームページの担当だったんですけど、自分がちゃんと発信しないと、高校生にまったく情報が届かなくなってしまう、という責任感が大きかったですね。(実行委員長の)馬渡先生に連絡するときも、『こういう問題が起こりました』じゃなくて、先のことを考えて『自分はこう思う』という提案をしないといけないので、がんばらなきゃ、と」

栗原「私も一番は主体性ですね。自分たちが動かないと、コンテストが動かないので。『いばたん』は決まったやり方があるわけではないので、逆にいえばどこまでも可能性がある。その大きい可能性の中で、自分が何をどこまでやるのかを考えるのが楽しくて、そうして主体的に動くことを学びました」

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―自分たちで考えて動く、という点で特に手応えを感じたのは?

栗原「たとえば、二次審査・授賞式を『いばキラTV』(県が運営するインターネットTV)で流せたことです。あれはもともと軍司さんが思いついたことで...」

―え?そうなんですか?茨城県議会や教育委員会が後援しているから、最初から「いばキラTV」の利用が決まっていたのだと思っていました。

栗原「本選をオンラインでやることになったのですが、『いばたん』のYouTubeチャンネルではなかなか見てもらえないのではないかと。それで別の方法を探っていたときに、軍司さんが『いばキラTVを使えないんでしょうか』とぽろっと言って、そこから県の幹部の方へ交渉に行くことになったんです。そこで流す内容も、台本作りとかBGM選びとか、一から作っていったので、今アーカイブを見ると、すごくやりがいが感じられますね」

―さて、今度は「いばたん2021」が始まります。みなさんは4年生になりますが、どのように取り組んでいきますか。

軍司「先日、来年度のテーマが決まりました。IBARAKI VALUE(イバラキ・バリュー)です」

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栗原「これを決めるのにはものすごく時間がかかりました。深い意味があって、茨城の価値ということともに、『I』・『VALUE』ということで、高校生がこれを通じて自分自身の価値も高めてほしい、という想いをこめました」

―アイデア部門では商品開発などアプローチが具体化されていますね。

軍司「高校生が考えたものを、実際に形にして社会に出していこう、と。商品開発してレストランでメニュー化するとか。すごく夢がありますよね。また、ただ『なんでもOK』とするのではなくて、高校生にとっての参加のしやすさ、ということを考えています」

―今後に向けてメッセージなどどうぞ。

栗原「まずは今年度参加してくださった高校生や、コロナ禍の中での作品づくりをサポートしてくださった関係者の皆さんに感謝したいです。そして来年度は、いばたんのパワーアップもありますが、いばたんに参加した高校生同士のコミュニティも作りたいと考えているところです。たとえばLINEとかTeamsといったアプリを使って。いばたん発のコミュニティから、さらに別のものがまた生まれたらおもしろいですよね」

片山「実際にアイデアや夢を形にする上で、企業や自治体との連携がさらに必要となってきます。いばたんは私たちだけで成り立っているのではなくて、高校生とのその関係者はもちろんですが、協力してくれる社会人の方々の存在が大きいんです。それらの方々にしっかりとお礼を伝えながら、引き続き関係を築いていって、後輩たちに引き継いでいくことで、いばたんを大きくさせていきたいです。

(取材・構成:茨城大学広報室)