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「2030年のイバダイ」テーマに学長と学生の懇談会

 2月10日、今年度2回目となる学長学生懇談会がオンラインで行われ、86人の学生が参加した(1回目の様子はこちら)。今回のメインテーマは「2030年の茨城大学」だ。

後期学長学生懇談会1オンラインでの懇談会に臨む太田学長

 学長と学生の懇談会は毎年2回行われている。昨年4月に就任した太田寛行学長にとっては、学長として2回目の懇談会となる。テーマはその都度設定される。今回学長は、「2030年の茨城大学のあるべき姿を語りたい」と呼びかけた。

 現在、茨城大学では「イバダイ・ビジョン2030」の策定を進めており、まもなく公開する予定だ。ビジョンの策定にあたっては昨年末から教職員との意見交換を進めてきたが、今回は初めて学生たちと議論を行う。太田学長は、「学生のみなさんにとって将来の母校がどんな大学であってほしいかを議論して、その意見やアイデアを吸収し、茨城大学のこれからを作っていきたいと思っています」と述べた。

 「2030年」は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)がターゲットとする年でもある。就任当初から「SDGs」を大学運営のキーワードとして掲げてきた学長にとっては、その達成を念頭に、大学のあるべき姿をしっかりと構想しておきたいという想いがある。懇談会では、「イバダイ・ビジョン2030」の現状の案を学生たちに示し、意見を求めた。

 現状の案では、キャンパスの多様性を活かした学修者本位の学びによる教育、SDGsやカーボンニュートラルを念頭に置いた研究力の強化、活力ある地域社会の形成、強固で柔軟な経営基盤の確立といったビジョンが掲げられている。これらを学生たちに事前に読んでもらい、アンケートで回答してもらったところ、地域社会との関係に言及した学生が最も多かった。

後期学長学生懇談会2

 学生からの意見の口火を切ったのは、教育学部の学生。「私は英語教育に興味があるので、将来教師になってからも、大学の先生とよい授業の進め方や研修の相談をしたいです」とのこと。
 10年後、自分たちがその地域社会で仕事をする中で、母校がどんな存在であってほしいか、という視点に立った意見だ。太田学長も深くうなずき、「そうですよね。教師が自分の力を発揮する上で、大学も貢献するべきだと思います」と賛同した。それに対し、同じく教育学部で養護教諭を目指している学生も、「現場に出てからのブラッシュアップとして大学に戻れることは大事。また、茨大出身者だけでなく、さまざまな教師が茨城大学で学べると良い」と応じた。

 卒業生が誇りに思える大学であるためには、大きな研究成果をしっかりと発信していくことが肝要だ。研究面での意見を求めると、大学院生を中心に、現状の環境を踏まえた意見がいくつか出された。
 人文社会科学部を卒業後、そのまま大学院人文社会科学研究科に進学した学生は、「人文系では茨大の学部から大学院に上がる学生が少ないことを寂しく感じる。大学院に進学したいというマインドを育てる環境、あるいは内部進学ならば大学院の入学金が免除になるような仕組みもあると良い」などと提言。それに対し、太田学長が、前年度の成績が優秀であれば学費の減免を得られる制度(成績優秀学生表彰)が大学院でも活用できることを紹介すると、別の理工学研究科の学生から、「そういう制度は知らなかった。周知に問題があるのではないか」という指摘がなされた。
 学費減免や奨学金の情報は、学務情報ポータルやメールで周知をしているが、大学の研究力を高めるという点では、大学院進学のメリットにフォーカスした訴求も必要かも知れない。

後期学長学生懇談会3

 理学部2年次のある学生は、既に就職活動のことが気になっているという。「キャリアについて3年生になってから一気に考えるのは大変。12年次でも学べる内容を増やしてほしい」と要望した。太田学長は「改善していきたい」と述べた上で、「来年度から始める『アントレプレナーシップ教育プログラム』は、そういう意味ではみなさんのキャリアにつながる取り組みになる」と言及。アントレプレナーシップとは、起業家としてのマインドやスキルのこと。プログラムについて説明した久留主泰朗理事・副学長が「興味ありますか?」と聞くと、学生は「多少あります」と応答した。

 この「起業」という言葉にピンと来たのが、理工学研究科量子線科学専攻の学生だ。自らの研究分野を活かして事業につなげていきたいという想いはもっているが、「事務所となるようなスペースを継続的に借りるにはノウハウも資金もなくて難しい。学内でフリースペースを借りたりしながら営業活動を行うことは難しいのか」と課題を吐露。太田学長は、「大学としては教育プログラムとして体系的な理論を提供することが大事だが、具体的な活動を促進するサポートも考えていかなければならない。学生たちが何かをしたいというときに、資金面も含めて支援ができればと考えている」と応えた。

 「何かしたい」という学生の主体性をどう受け止め、育てるか。これからの大学に求められることだろう。人文社会科学部の学生は、「私が今茨城大学に足りないと感じるのは、学生の主体性を制度面から支える姿勢です」と言い切った。「今のビジョンの案には、学生の課外活動についての記載がほとんどありませんが、部活やサークルは学生が主体となって地域に働きかけていく場。活動場所や資金の支援などの仕組みがあった方がよい」と指摘した。
 これはコロナ禍において改めて浮き彫りになった課題でもある。学長は、「課外活動の場の提供は大学の大きな役割だと思っている。現状のコロナ禍において活動制限が厳しいという点も、話し合っていくしかない。学生たちがどんな活動をしたいかということに対し、われわれ教職員は、社会人の観点からリスクを伝え、議論する。その中で取り組みを発信する。そうして社会で評価されれば、大学としても嬉しいこと」と回答した。意見を述べた学生は、「大学として一律の規制をかけるのではなく、部単位のアプローチも必要。何が足かせになってしまうのか、大学としての課題があるとすれば聞きたいし、自分たちもできることがあれば協力したい」と、学生と教職員が協働で課題に取り組む意義を強調した。この「主体性」ほど、大学にとって心強いものはない。

後期学長学生懇談会4

 また、多くの学生から、現在の茨城大学において、学部間の交流が足りないという声が挙がった。人文社会科学部の2年生は、「SDGsに関して、社会科学と自然科学の両方の視点で議論できるような場があると良い」と提言。実際に基盤科目で学部を超えたディスカッションを経験し、そこで出会った学生たちとの関係が継続しているという学生もいた。
 また、「研究室間での実験機器の共有ができると、交流も深まり、研究力も高まるのではないか」「単位にならなくても、Teams(オンラインツール)を使って授業間で交流できるような機会を定期的に作ってはどうか」という提案もあった。
 太田学長は、「学部間の交流は大事だと思うし、学生のみなさんのニーズがあることも改めてわかった。それらを踏まえて、教育課程の仕組みを考え直していきたい」と応じた。

 「2030年」という将来像をめぐって議論を進めながらも、その後は、「2030年に向けて今自分たちができることは何か」「大学(教職員)に求めることは何か」という形で、現状の課題へと視点は移っていった。
 身近な要望としては、「経済的に不利な学生でも留学ができるような仕組みがあると良い(現状では14万円を補助する制度はある)」「キャンパス内でWi-Fiがつながらない場所がある」「学部の枠を超えて使えるラーニングコモンズのスペースを増やしてほしい」「対面授業とオンライン授業の両方を一緒にできる環境を整備してほしい」「教務情報ポータルだけではなく、学生が使えるアプリを開発してはどうか」「電子ジャーナルを増やしてほしい」など、さまざまな意見が示された。これらの意見については、今後学内の担当部署とも共有をし、可能なものから改善を図っていく。

 2時間半に及んだ学長学生懇談会を締めるにあたり、太田学長は、「みなさんからの意見はできるだけ反映させたいし、ビジョンについての要望も2030年に向けた取り組みの中でしっかり取り入れていきたい」と決意を述べた。

 事後アンケートでは、「自分の考えと違う意見も多くあり参考になった」「学長が茨城大学をどのような形にしていきたいかを、学長の言葉で感じることができた」などの感想が聞かれた一方で、「内容やテーマが大きすぎて、なかなか難しかった」「大学への不満を述べるだけの会となってしまった」などの指摘もあった。

 忙しい時期にもかかわらず、積極的に参加して議論を展開してくれた学生のみなさん、ありがとうございました!

後期学長学生懇談会5

(取材・構成:茨城大学広報室)