1. ホーム
  2. NEWS
  3. 茨大の未来を考える授業「イバダイ学」―コロナ禍経験した学生たちの提言は?

茨大の未来を考える授業「イバダイ学」
―コロナ禍経験した学生たちの提言は?

 大学の置かれた状況や社会の動きを学んだうえで「理想のイバダイ」を構想する基盤科目「みんなの"イバダイ学"」(第3クォーター)。今年度も1年生を中心とした受講生たちがそれぞれの提言をプレゼンテーション。遠隔授業の実体験なども踏まえながら、多様なアイデアを示してくれました。

「みんなの"イバダイ学"」とは?

イバダイ学1

 この科目は、茨城大学の創立70周年記念事業の一環として実施した「みんなの"イバダイ学"プロジェクト」をきっかけに昨年度スタートしました。プロジェクトは学内外の人たちとの対話を通じて理想のイバダイ像を構想するもので、そのビジョンは、20195月の創立70周年記念式典において「イバダイ学からの仮説2019」として発表されました。
 発表したのはあくまで「仮説」。大学の将来は恒常的にみんなで考え、語るもの...ということで、基盤科目として「みんなの"イバダイ学"」を新たに創設しました。昨年度、「第一期生」となった受講生たちは、融合的な研究をどう生み出すか、多様な人たちを受け入れる環境をどうつくるか、といった視点で理想のイバダイ像を発表しました(2019年度のレポート)。
 今年は2年目。受講生の多くは、新型コロナウイルス感染症の影響で入学式が中止になってしまい、前学期は全面遠隔授業で過ごしてきた1年生たちです。対面形式で実施したこの授業で、4つのグループに分かれてこれからの茨大について語り、発表しました。

授業形態革命

イバダイ学2

 最初のグループの発表のタイトルは、ずばり、「授業形態革命」。発端は自分たちが1年生としてこれまで授業を受けてきた印象として、「基盤科目が多いのではないか」と感じたことだそう。
 自分の学科やコースの専門分野以外の内容を学ぶ意義は感じつつも、「最初の2回ぐらいの授業は『お試し』期間として、自分に合いそうな科目をじっくり選べると良い」「主に1年次ということではなく、4年間で好きなときに履修できれば」と提案。さらに、GPAを気にするあまり、良い成績がとりやすい科目を履修しがちという傾向があることから、「より自主的な学修を求めるのであれば、いっそのこと基盤科目はテストとレポートをなくしてしまっては」という大胆な提言もありました。
 また、東京大学での取り組みを例示して、オンライン授業の運営を学生がサポートする「クラスサポーター」の導入も提案。「アルバイト料が発生することで、学生支援にもつながる」と、そのメリットを紹介しました。
 そしてグループでは、「最後に...」として、「令和2年度入学生の入学式やサークルなどの新歓を開催していただけるとありがたい」と表明。コロナ禍でしんどい思いをしてきた1年生たちの痛切なメッセージとして真摯に受け止めたいと思います。

多様性へ向けた基本方針を

イバダイ学3

 続いてのグループは、茨城大学のダイバーシティ、多様性のあり方について考察しました。着目したのは、①肢体不自由・視覚障害・聴覚障害のある人たち、②LGBT、③外国人との交流・宗教への対応の3つです。
 障害のある人たちのサポートについては、「黒板が遠くて見えにくい」「声が聴きとりにくい」といった事情からの授業への遅れに配慮する必要があり、そのためにも「障害全体から見てどんな困難があるのか、学内の人たちにもっと知ってもらう必要がある」と訴えました。一方、オンライン授業に関しては、場所を選ばないことやイヤホンの利用などによって、授業の受講のハンディを解決できる面もあると指摘。そうした理解や支援を広げていくためにも、「特別支援に関する授業を必修にして、その中で教育学部がもつ検査機器やノウハウを利用した体験型授業を採り入れては」と提言しました。
 次にLGBTへの対応に関して、トイレの標識の改定や制服の配慮など、さまざまな学校における取り組みを紹介。さらに、授業の直前に大学におけるアウティングの問題で判決があったこと(LGBTであることを第三者に暴露されたことを理由に学生が自死した件をめぐる大学の対応に関する裁判)に触れ、こうした問題を防ぐために、大学において基本方針を立てておくべきと提言し、例として筑波大学の「LGBT等に関する筑波大学の基本理念と対応ガイドライン」を示しました。
 その他、海外出身や多様な宗教の学生も含め、多様な人たちとの理解と交流を阻むような差別意識が、「根強く残っている」と指摘。それを乗り超えるのは、「各々の内面の多様性」として、ダイバーシティを学ぶ授業の必修化などを求めました。

Twitter型の学内SNSで学部を超えた交流を

イバダイ学4

 続いてのグループは、所属学部を超えた学生や教職員の交流によって、新たな価値や取り組みを生み出すための仕組みについて考えました。仮のキーワードは、Twitterならぬ「Unitter」。知の交流を図るための学内SNS構築の提案です。
 グループでは、茨大生のTwitter利用率・頻度が高いことに着目。メンバーのひとりは約半年で3万件のツイートをしたとのこと。現在もスレッド型の交流の仕組みはあるものの、実名が表示されることなどから、使いづらいという声も。実際にグループにおいてTwitter上でアンケートをとったところ、Twitter型の機能の方が交流しやすいという意見が多かったようです。さらに、どんな機能が欲しいかも聞いたところ、「茨大知恵袋」「授業の食べログ的な機能」「テスト対策」「学務への問い合わせが楽にできるオンライン窓口」「地域のお店のセール情報やクーポン」「バイト情報」「野良猫出現マップ共有機能」などが挙げられたということです。
 また、実際に学内SNSを導入した高等学校などの事例も紹介し、教育面での効果があったというデータも示しました。
 ただし、匿名の懸念として「言葉のとげが強くなる」ということも指摘。しかしそのリスクを乗り越える努力をすることこそが、大学にとって重要であるとのこと。「大学というコミュニティがあり、そして環境を維持するためにどうすればよいかは、私たち学生が考えなければならない」と呼びかけました。その上で大学に対しては、「学生の生の声を、放置するのではなく受け止めてほしい」。その言葉にこそ、SNSのような場を求める学生たちの思いが表明されていると感じました。

オンライン活用にもっと挑戦を

イバダイ学5

 最後のグループは、コロナ禍で経験した「オンライン授業」について、真正面から検討しました。
 まず、周囲の学生に対して、コロナ禍終息後のオンライン授業の導入に関するアンケート調査を実施。それによれば、全体で9割以上の学生が、「オンライン授業を行いたい」あるいは「部分的に取り入れてほしい」と回答したそうです。
 そこで、オンライン授業のメリットとデメリットを検証。メリットとして、他大学や海外との連携のしやすさ、人数制限がないこと、自分のペースで学修ができること、通学に要していた時間を有効利用できること、災害時なども授業を行えることなどを挙げました。また、履修していない授業への参加についても障壁が下がり、よりフレキシブルに授業を履修できるというアイデアも示しました。
 一方でデメリットは、「実験や実習が難しい」「交友を結びにくい」「周囲の様子がわからない」「同居の家族などに気を遣う」など。しかし、オンラインのグループワーク機能やオンデマンド授業を活用することで、これらのデメリットはある程度改善できるのではないかと指摘します。また、実習なども「VR技術を活用しては」と提案しました。
 そして最後に力を込め、「オンライン教育が今後も必要と感じている学生は多い。イバダイには、困難な状況下でも進化を見せる大学であってほしい。そのためにも、オンラインの活用について新しい挑戦をすべきではないか。学生としても、受け身ではなく、積極的な対応をしていきたい」と締めました。

提言を受けて

 各グループの発表を終えて、佐川泰弘副学長と久留主泰朗副学長がコメントをしました。
 佐川副学長は、「今年のオンライン中心の授業を踏まえて、みなさんの中で『どんどん使ってほしい』という意見が多いことと、一方でコミュニケーションに飢えているということが、実感をもって伝わってきました。今後もデジタルの仕組みはどんどん活用していくつもりです」と説明。
 また、久留主副学長もそれに同調した上で、「来年度は対面とオンラインの併用になると思います。提案のあった『クラスサポーター』のような仕組みは本学でも検討したのですが、今年度は実現できませんでした。来年度はぜひみなさんが1年生をサポートしてほしいと思います。このあとちょうど今後の授業について検討する会議があるので、今日の発表も踏まえて検討しますね」と約束しました。

イバダイ学6