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茨大農学部・コマツ共同研究で生産した米を県内団体に寄贈

 茨城大学農学部とコマツは、農業用ブルドーザーを用いた水稲栽培の共同研究を今年度より実施しています。このたび、10月に収穫した米(コシヒカリ)を、子ども食堂サポートセンターいばらきと協同組合ネットいばらきへ寄贈することとなり、1116日に贈呈式を開催しました。

農学部・コマツ共同研究1

 茨城大学農学部の黒田久雄教授浅木直美准教授と、コマツは、コマツが開発した農業ブルドーザーの乾田直播水稲栽培における有効性の検証を目的とした共同研究を行っており、現在、稲敷市内の圃場で栽培試験を実施しています。「乾田直播水稲栽培」とは、イネの苗を植える通常の田植えとは異なり、イネの種子を土に直接播いて栽培する方法です。育苗箱で苗を育てる必要がなく、水稲栽培のコストを下げることができるという利点がある一方、凹凸の多い圃場では水やりや除草剤の効果にムラが出てしまうため、土地の高度な均平化が必要です。コマツの農業用ブルドーザーは、通常のブルドーザー機能に加え、ブレードの高さを自動コントロールできる機能を有しており、さらに農業用のアタッチメントを取り付けることが可能です。本研究では、ブルドーザーの特徴である整地能力を活かした高度な均平化と、アタッチメントを利用した種まき作業によって乾田直播水稲栽培を実現させ、そうして生産された米の量や品質を分析しています。

農学部・コマツ共同研究2コマツの農業用ブルドーザー(アタッチメントを装着)

 黒田教授は、こうした栽培の利点として、「大区画の圃場であってもコストと労力が削減でき、温室効果ガス吸収型の環境に配慮した水稲栽培を可能とするもの」と説明します。ブルドーザーのブレードの自動コントロール機能だけでなく、今後、測量、肥料や農薬の散布にドローンを利用するなどにより、スマート農業化の大きな足がかりにもなりそうです。
 一方、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、種まき作業(当初の予定は4月頃)が遅れ、6月になってしまったため、イネが育ちきらないうちに収穫せざるを得ず、収量も減ってしまいました。共同研究は次年度以降も継続し、「環境に配慮したやさしい農業をこれからも連携して進めていく」(黒田教授)としています。

農学部・コマツ共同研究3黒田教授

 建設機械メーカー大手として知られるコマツと「農業」のつながりについては、意外に思う人もいるかも知れません。しかし、コマツの坂井睦哉・林業機械事業部長は、「農業は、本業を通じてSDGsの達成に貢献できる非常に重要な事業です」と語ります。農業用ブルドーザーを営農にももっと活用できないかと考えているところに、黒田教授と出会い、この共同研究が始まりました。一方、「収穫したお米をどうするかについてはよいアイディアがなかった」と坂井さん。そこで黒田教授とも相談し、大学が調整をする形で、県内団体への寄贈が決まりました。

農学部・コマツ共同研究4コマツの坂井部長

 今回、お米を寄贈した先は、子ども食堂サポートセンターいばらき(990kg)と協同組合ネットいばらき(690kg)です。

 子ども食堂サポートセンターいばらきは、県内で子ども食堂を運営している団体のネットワーク組織で、茨城県の委託を受けて認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズが運営しています。農学部の戸嶋浩明学部長から目録を受け取ったコモンズの大野覚さんは、「県内に81の団体があり、コロナ禍の中でも半数ぐらいが活動を再開しており、地域のセーフティネットになっています。今回は7団体に配ります」と話しました。16日の贈呈式には7団体のうち3団体の代表者が出席。このうち、無料学習支援とともに食事の場を提供している「竹園土曜ひろば」の山内ゆかりさんは、「たくさんの方から寄附をいただいていますが、新米をいただける機会はあまりありません。新米を新米のうちに提供したいと思います」と話しました。また、無料塾・食堂の運営のほか、今年夏から食糧支援のためのフードパントリー事業も始めたというつくば子ども支援ネットの嵯峨井勝さんは、「想像がつかないかも知れませんが、かなり多くの方が明日食べるものを必要とし、支援を必要としています」と訴え、大学に対しては「今後ともすばらしい研究をとおして、子どもたちの未来に希望を与えてください」とエールを送りました。

農学部・コマツ共同研究5つくば市内で子ども食堂を開いているNPOプラザ・ねこねっとの竹垣雅代さん

 また、協同組合ネットいばらきは、茨城県内のJAや生協といった協同組合の連携組織で、コロナ禍以降、茨城大学を含む県内の学生への食料品の支援を実施しています。同団体会長の鶴長義二さんは、「食料の生産(JA)・販売(生協)を担う助け合いの組織として、地域の困りごとに寄り添いたいとして学生への支援を始めました。秋も支援を必要とする学生を募集するので大変助かります」としました。また、鶴長さん自身、茨城大学農学部の卒業生ということで、「母校がこういうことをすることは卒業生として誇らしい」と語りました。

農学部・コマツ共同研究6(左から)協同組合ネットいばらきの鶴長さん、コマツの坂井さん、コモンズの大野さん、戸嶋浩明農学部長

 黒田教授は、「最先端の技術で育てたお米です。ぜひたくさんの方に召し上がっていただければ」と呼びかけました。加えて、コマツの坂井さんも、「農業が人々の生活を豊かにする、幸せにする産業だということを改めて思いました。引き続き貢献していきたいです」と語りました。

(取材・構成:茨城大学広報室)