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岡田誠教授、菅沼悠介氏、羽田裕貴氏に学長学術特別表彰
「チバニアン」誕生に大きな学術的貢献

 茨城大学は、地質時代名「チバニアン」の誕生へ向けて、申請チームの代表として活動を率いた大学院理工学研究科(理学野)の岡田誠教授と、同チームで研究を進め、多大な貢献を果たした本学卒業生の菅沼悠介氏(国立極地研究所)、羽田裕貴氏(産業技術総合研究所)の計3人に、茨城大学学長学術特別表彰を授与しました。

 岡田教授を代表とする申請チームは、千葉県市原市の地層「千葉セクション」を国際境界模式層断面とポイント(GSSP)に認定するための活動を行ってきました。今年(2020年)117日に行われた国際地質科学連合(IUGS)の理事会において同地層がGSSPとして承認され、地質時代の中期更新世(約774000年前~約129000年前)が「チバニアン(Chibanian)」と名付けられました。
 菅沼氏は2000年に茨城大学理学部を卒業。専門は地質学・古地磁気学で、地層や氷河などから地球環境の歴史的な変動を解明する研究をしており、多数の論文を執筆しています。あわせて、申請チームの事務局長として提案申請書の執筆等を中心的に進め、今年3月には『地磁気逆転と「チバニアン」―地球の磁場は、なぜ逆転するのか』(講談社ブルーバックス)を出版し、その成果と意義を広く一般に発信しています。
 羽田氏は、岡田教授の研究室で千葉セクションに関わる研究に従事し、20193月に博士号を取得。羽田氏を中心とした地層中の有孔虫化石の分析等の研究成果は、今回のGSSP認定を決定づける重要なデータのひとつとなりました。

 今回3人に授与された茨城大学学長学術特別表彰は、本学に在籍する教員あるいは卒業・修了した者のうち、「ノーベル賞、文化勲章、日本学士院賞、紫綬褒章、文部科学大臣表彰(科学技術特別賞)等を受賞するなど極めて顕著な研究成果のあった研究者」、あるいはそれに準ずる「極めて顕著な研究成果のあった研究グループの代表を務める研究者又はその研究遂行に極めて重要な役割を果たしたと認められる研究グループの研究者」に贈られるもので、今回が初めての授与となります。

 1023日(金)、本学水戸キャンパス図書館本館3階ライブラリーホールにて表彰式を開催し、太田寛行学長が3人に表彰状と盾を手渡しました。太田学長は、「茨城大学での出会いから始まる研究仲間を大事にされて、顕著な研究成果に結びつけたことに対して、心より称賛の拍手を送ります」と述べ、功績を称えました。
 表彰式後には岡田教授が記念講演を行い、GSSPやチバニアンの概要についてわかりやすく解説したあと、今回の受賞者以外にも多くの学生たちが貢献したことを紹介しました。

学長学術特別表彰2

太田寛行学長のあいさつ

 今回、初めて、学術特別表彰を授与できることは、本学にとって至福の出来事であります。
 本賞の第1号の受賞者である、岡田誠先生、菅沼悠介先生、羽田裕貴先生には、「おめでとうございます」という言葉以上に、顕著な研究成果をあげて、世界の学術の進展に大きく貢献されたことに対して、今、国民を代表して、とは言い過ぎですが、まずは茨城大学が深く感謝申し上げ、心より拍手を送りたいと思います。
 顕著な成果の陰には必ずストーリーがあります。私は、数年前から、岡田先生の講演を聞いていて、千葉セクションとイタリアのセクションとの競争の話を聞いていました。そのとき思ったのは、セクションの質と、その材料を分析して得るデータの質をめぐる科学的な競争であり、政治的なこともあるかと思いますが、最終的には、データの質が勝負を決めるという科学の本質です。そこには、方法論や分析技術や研究戦略を総合したサイエンスの姿があり、なによりも「千葉セクション」と科学者との出会いがあったと思います。地層が人間のように言葉を発することができれば、きっと、「早く、自分に日本の名前を付けてくれよ!」と言っていたはずで、その声は、その場所を30年以上も研究してきた岡田先生には聞こえていたはずです。
 菅沼先生の本を読みました。その本からは別のストーリーを知りました。「地磁気逆転」の一連の研究で、「松山-ブルン境界」の年代決定という研究のブレークスルーが千葉セクションだったことを知り、サイエンスは出会いだとつくづく思いました。その本の188ページからの一節を、私なりに省略しながら紹介します。
20125月、ある学会の会場脇でお弁当を食べていると、たまたまそこには恩師の岡田先生たちが集まっていてので、火山灰を使った"松山-ブルン境界"の年代決定のアイデアを紹介して、アドバイスを求めたところ、岡田先生は、"その火山灰を含む地層なら房総にあるよ"と真っ先に答えてくれた。」
という一節です。私は、この場面がチバニアンに至る決定的な出来事だと思いました。もし、違う場所でお弁当を食べていたら?岡田先生たちが別な場所にいたら?と思うかもしれませんが、アイデアを率直に語り合える仲間であるからこそ、ブレークスルーが生まれるのだと思います。
 岡田先生、菅沼先生、羽田先生、茨城大学での出会いから始まる研究仲間を大事にされて、顕著な研究成果に結びつけたことに対して、心より称賛の拍手を送ります。
 おめでとうございます。

学長学術特別表彰3

岡田誠教授のコメント

 この賞を最初に作ったときのことを覚えているのですが、「ノーベル賞等」となっており、いつになったら受賞者が出てくるだろうと思っていたのですが、まさか自分たちが...ということは想像もしていないことでした。本当にありがとうございます。皆様から評価していただけることで、これまでの苦労もかなり報われたのかなと、嬉しく思っております。本当にありがとうございました

学長学術特別表彰4

国立極地研究所 菅沼悠介氏のコメント

 卒業して約20年になります。あまり成績のよい学生ではなかったのですが(今日いらしている先生方も覚えていらっしゃるかも知れませんが)、20年経ってこのような栄誉ある賞をいただける日が来るとは思ってもいませんでした。研究者生活はもう20年ぐらい続く予定ですので、この賞に恥じないよう、研鑽を積んでがんばってまいります。ありがとうございました。

学長学術特別表彰5

産業技術総合研究所 羽田裕貴氏のコメント

 正直、GSSPが決まったときはあまり実感がなかったのですが、このような賞をいただき、ようやく実感がもてたかなと思います。僕が千葉セクションに関わったのは、2012年、学部3年生のときからで、先輩方と岡田先生が朝方茨城大学を出ていくのを見送っていた頃を思い出すと、そのときはまさか自分がそんな賞をもらえるとは思いませんでした。タイミングの良いときに茨城大学にいたということだと思います。いろんな方々の助けがあっていただいた賞です。茨城大学や他の研究機関の方々、千葉県、市原市の方々など、皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

学長学術特別表彰6