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遠隔授業に関する教員向けアンケートを実施

 本学では、新型コロナウイルス感染症対策として、430日より前学期を開始し、812日の前学期終了までは原則としてすべての授業をオンラインによる遠隔授業としています。このたび、619日に第1クォーターの授業が終了したことに伴い、今後の授業改善に資するため、教員に対するアンケート調査を実施しました。アンケート結果からは、

  • 6割の教員が遠隔授業に伴い、新たに教材を作るなど授業方法を見直した。
  • 遠隔授業に対する大学からの支援については6割の教員が「十分」「概ね十分」と回答している一方、遠隔授業に必要なPC購入等に係る支援がなかったことへの不満も示された。
  • 9割以上の教員が、今回の遠隔授業に係る技術や知見を、今後対面授業が再開しても活用したいと回答した。

といったことがわかりました。

調査概要(遠隔授業に関する実施状況調査)

  • 対象:茨城大学で学部生向けの授業を担当している教員(非常勤教員を含む)647
  • 調査実施期間:202071日~710
  • 本報告における有効回答数:337

遠隔授業の手法―音声ライブ配信が主流、インターネットへの負荷軽減への配慮も

 茨城大学では、Microsoft社と法人契約を行っており、同社が提供しているTeamsというサービスを利用して遠隔授業を実施することとしています。
 Teamsではカメラを用いたライブ動画・双方向の授業も可能ですが、実際に授業で用いた手法を尋ねると、多くの教員が音声のライブ配信による授業を行っていることがわかりました(図1)。

(図1)※複数回答

授業で用いた手法を教えてください

 本学では、インターネットや学内サーバへの負荷を抑制するため、通信料が大きくなるライブ動画での双方のやりとりを極力控えることを、FD(大学における能力開発研修)などを通じて推奨してきました。この結果からは、多くの教員や学生がその趣旨を理解し、適切に対応していたことがわかります。
 また、学生との双方向性の確保については、音声でのリアルタイムでのやりとりに次いで、チャットの機能を利用したテキストでのやりとりも多く使われていることがわかりました(図2)。学生に対して行った授業調査でも、「チャットのほうが質問やコメントがしやすい」という意見が多く寄せられており、今回の遠隔授業の機能的な利点が活かされたといえます。

図2) ※複数回答

学生との双方向性はどのように確保しましたか

遠隔授業への対応―約半数の教員が授業方法を見直し 一方で大学の支援に不満も

 続いて、レジュメやスライドなどの教材について、通常の授業と比べてどのような対応をしたかを尋ねる質問では、約6割の教員が「遠隔授業向けに大部分を作り直した」と回答しました(図3)。遠隔授業の実施に伴い、学生が理解しやすい授業方法を見直し、適切な教材作成を行った教員の努力がうかがえます。

(図3)

教材については通常時と比べどのように対応しましたか

 しかし、新たな教材作成は教員の業務の負担になったという面もあります。そのような状況に対し、大学からの支援は十分だったかについても聞きました(図4)。
 「十分だった」「概ね十分だった」をあわせると6割に及んでおり、各教員が大学によるサポートを活用しながら遠隔授業を進めていた実態が読み取れます。一方で「あまり十分ではなかった」「十分ではなかった」という回答は14%で、その理由を尋ねると、「自宅の回線を使用する、必要な機材を購入するなどの自己負担が大きい」など、在宅等での授業にあたって必要な機材・環境整備に必要な経済的支援がなかったことへの不満が主だっていました。

(図4

遠隔授業の実施にあたり大学からの支援は十分でしたか

今後について―9割以上の教員が「これからも活用したい」と回答

 多くの教員にとっては初めてオンラインによる遠隔授業を経験することになりましたが、今後対面授業が再開した際も、遠隔授業で得た技術や使用したツールを活用したいかを聞きました。

(図5)

今後も遠隔授業で得た技術や使用したツールを活用したいと思いますか

 これについては、「積極的に活用したい」が44%、「必要に応じて活用してもよい」が48%に上り、9割を超える教員が今後も何かしらの形で活用したいと感じていることがわかりました。
 自由記述では、

  • 今まで、板書してそれを学生が書き取る、伝統的スタイルを採用していた。それが最良と信じていたが、遠隔授業のほうが学生の理解度が良かった。学生が板書を写すのに精いっぱいで、理解しようと頭を働かせることができなかったようである。今後はパワポ表示を個々の学生のPCに送りつつ、板書なし・解説演習中心の授業に変えていこうと思う。また、遠隔授業できるものは積極的に残して、キャンパス間移動を無くすこともメリットが大きいと考える。

など、遠隔授業の実施に伴い、自らの授業スタイルを見直し、今後、遠隔授業の仕組みも利用しながら授業改善を図っていきたい、という回答が多く寄せられました。
 また、オンライン、オフラインそれぞれの特性について、

  • オンライン上でのグループワークでは多くの学生が「オフラインの方がやりやすい」と言っている中、数名ではありますが「オンラインのお陰で初めて自分の意見が言えた」「人の顔色を気にしないで済むのでオフラインよりやりやすかった」という意見がありました。これは、オフラインの不便を凌ぐ価値があると感じています。学生にとってより良い学びの場を提供するために、オンラインで実施可能な科目はどんどんオンライン化していくべきだと思います。可能であれば、私の担当科目に関してはこれからもオンライン授業を組み込んでいきたいと考えています。

といった意見もありました。
 一方で、遠隔授業の表面的な効果のみが評価され、大学教育におけるオンラインへの依存度が今後増していくことを警鐘する意見も少なからずありました。

 茨城大学では、今回の調査結果を授業の改善に活かすとともに、遠隔授業にかかわる技術や知見を活かした教育マネジメント改革を今後も進めていきます。

茨城大学 久留主 泰朗 理事(総括理事・教育統括)のコメント

 新型コロナウイルス感染症への対応として遠隔授業の移行を急遽決定したにもかかわらず、多くの教員たちが使命感をもって懸命に対応し、授業の質を落とすことなく、むしろ積極的な教材の作成によって授業改善に努めてくれたことが今回の調査でわかりました。その甲斐もあり、遠隔授業については、学生たちからも概ねポジティブな意見が寄せられています。
 指摘があったとおり、財政的な問題や時間の制約もあって、遠隔授業を実施する上での経済的な支援をすることができず、教員の自己負担に多くの部分を頼らざるを得ませんでした。そうした中でも主体的に協力をし、良い授業をつくりあげてくれた教員、学生のみなさんに心から感謝します。
 遠隔授業で得た技術や使用したツールを今後も活用することについて、9割以上の教員から前向きな回答があったことは、これからの大学教育を考える上でも心強いことです。今回作成した授業のデジタルコンテンツを事前予習に活用したり、遠隔授業の仕組みによって移動にかかる時間を削減したりすることで、本学のもともとの強みである少人数での演習やディスカッションによる学修へのリソースを増やす取り組みを、本学としても積極的に検討していきます。