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人社3年・大石碧さんが「大学生が大学生に車を売る」新ビジネスを起業
―那珂市の鈴共自工が出資「学生の足を広げて地域を盛り上げたい」

 最近の大学生は車に興味がないと言われますし、環境のためには公共交通機関や自転車の利用が推奨されますが、一方で茨城のような地方の中で広範囲に移動するためには自家用車がどうしても必要というのも現実です。しかしながら、学生の立場でマイカーを手に入れるのは経済的に困難です。
 そうした中、「大学生が大学生に車を売る」というコンセプトの新しい中古車販売サービス「Car shop NEXT ROAD」を、本学人文社会科学部3年生の大石碧さんが立ち上げました。納品までスマホで完結し、学生でも支払いやすい料金体系やアフターケアの充実など、学生が自分の車をもつための工夫を施しました。
大石さんが代表を務める合同会社に出資をしたのが、那珂市にある株式会社鈴共自工の鈴木智己社長です。鈴木さんは、「車を持っていれば行動範囲が広がる。行動範囲が広がった人たちが集まれば新たなアイデアが生まれる」と期待をこめます。
 大石さんと鈴木さんにお話を聞きました。

―学生向けの中古車販売サービスということですね。具体的にどんな事業なのでしょうか。

大石「車が欲しいという学生から、ネットで予算や車種の希望を入力してもらって、それをもとにオークション会場で条件に合いそうな中古車を見つけます。オークション会場から商品を撮影した動画を送って、気に入ったら購入という形です。学生が自分で車を買うとなっても、普通はローンが組めないわけですが、NEXT ROADでは、保険料を入れても月2~3万円ぐらいの分割払いで車を購入することができます」

―学生となると月の支払いができなくなるリスクがありますよね。

大石「支払いが完了するまでは、法人が車の所有者で、ユーザーは使用者という形になります。もし払えなくなった場合は、車を返せば良いだけです。ですから、学生にとってはリースに近い感覚も知れません。もちろん支払いが終わればユーザーの所有になります」

oishi2.jpg合同会社を立ち上げた大石さん

―免許をとりたての学生は事故も心配のひとつですね。

大石「そうですね。ですから購入していただく方には、任意保険に入ってもらって、その証書の写しも出してもらいます。また、ゆくゆくは購入者のネットワークのようなものを作って、警察による安全講習を開いたりすることも考えてます。また、親会社となる鈴共自工ではレッカーサービスなどもやっているので、事故をしたときもすぐ対応できます。車購入の敷居を下げつつ、大学生が自分の責任で車をもつためのステップを応援する感じです」

―この事業を行うために、大石さんが代表を務める形で合同会社を立ち上げました。そこに出資をしたのが、鈴木さんです。経緯を教えてください。

鈴木「私自身は、自動車販売、修理、運転代行、不動産事業などを展開するグループ全体の会長をしているのですが、今年の春からそのうちの自動車を扱う株式会社鈴共自工の社長も兼任することになったんです。それで、ネットなども使った新たな事業も展開していかなきゃ、と考えていたところに、大石君に会ったんです」

大石「僕がアルバイトをしていた居酒屋の常連さんに、『大学生は結構車を欲しがっているんですけど、無金利とかで買えたりしないんでしょうか』みたいな話をしていたら、お知り合いということで鈴木社長と引き合わせてくださったんです。それで一度お食事をしてお話したら興味をもってくださって。その後、自分なりにアイデアを整理して鈴木社長に20分ぐらい口頭でプレゼンしました」

鈴木「今まで大学生という販路に目を向けたことなんてなかったので、なるほどな、と思ったんですよ。ただし、普段一般の方に車を売っている我々が中古車を安く売ります、って言ってもなかなか見向きもしてもらえないですよね。だから、大学生が大学生に車を売る、という形態に意味があるんです。しかもアイデアだけでなくて、それを実行できる大石君という学生が目の前にいるんですから。これはすぐにやろうと決まりました」

oishi3.jpg鈴共自工の鈴木社長 新たなモデルに期待を寄せる

―周りの学生にもニーズ調査などしてみたのですか?

大石「はい、周りの友達とか20~30人ぐらいに『こういうのがあったらどう?』ということで聞いてみたのですが、ほとんどいい感じの反応でした。車が欲しいけど変えない、親も買ってくれない、という学生は結構いますよ。僕自身は群馬出身なのですが、群馬も茨城も、遊ぶにも生活するにも車がないとやっぱりきついですよね」

鈴木「学生の足が広がるというのは重要です。自転車よりバイク、バイクより車、という感じでできることが増えてくるし、人にもたくさん会うことになる。そうして彼らが大学を卒業してもそのまま茨城に残ってもらうというのが目的です。足を広げることと、茨城に残ってくれること、いずれも地域の需要を生み出す上で大事ですから」

―今回は合同会社を立ち上げたわけですが、そのねらいは?

鈴木「あくまで大学生が大学生に売る、というのが大事だからです。鈴共自工の中で展開することも可能でしたが、そうすると私がコントロールできることになってしまう。それじゃダメで、大石君が代表の法人だからこそ学生も信頼するわけですよね。それから、合同会社というのは、株式会社や有限会社に比べて立ち上げるコストも低いんです。学生でもこうやって法人をもててしまう、というモデルケースとして広がっていけばと思いますね」

大石「僕自身は人文社会科学部で経済学・経営学メジャーに所属していて、もともと経営には興味がありました。ただ、車の知識はもともと詳しくないので、先輩に資料を渡してもらって、中古車の相場とかひたすら覚えました。車1台売るのに、こんなにいろんな人やお金の流れが絡んでいるんだな、と。会社運営の難しさと販売の両方を学生のうちから経験して学べるのはすごくいいですね」

oishi4.jpg

―学生が学生に売る、というモデルですが、大石さんの卒業後はどうなるのでしょう。

鈴木「実はそこが大きなポイントです。大石君は大学を卒業したら、『Next Road』は新しい学生に引き継ぐ。今構想しているのは、『Next Road』で車を買った学生たち同士のサークルのようなものをネット上に作って、安全講習などのイベントも提供しながら、互いにつながってくれるような仕組みです。親に頼らず自分で車を買って、なおかつ足が広がっていろんな人に会うようになった学生たちがつながれば、そこでまた新しいアイデアが生まれるじゃないですか。そうすると新しい合同会社がたくさん生まれる。大学を卒業した人たちも、今度は『親会』のような形で後輩たちの相談に乗れるし、投資もできる。私自身が、さまざまな方に手ほどきを受けて学生時代に創業したんですけど、そういう流れをひとつの仕組みにできればと思っています。投資のチャンスが多い東京じゃなくても、新しいことを始められる、地方の学生でも諦める必要はないんですよ。10年後が楽しみですね」

―ありがとうございました。大石さん、最後に意気込みとアピールを!

大石「最近の学生は車に興味がないとも言われますが、そこも打開したいと思っています。ビジョンは、『お金がないから車が買えない、という選択肢をなくしたい』。まだ始まったばかりで手探り状態ですが、興味のある方はぜひご連絡ください!」

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(取材・構成:茨城大学広報室)