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全国大学ビブリオバトル出場、工学部1年生の森本拓朗さん
―生物との出会いのおもしろさに大げさなパフォーマンスはいらない

 おすすめの本をプレゼンし、オーディエンスの投票で"チャンプ本"を決めるビブリオバトル。11月に茨城県立図書館で開催された「全国大学ビブリオバトル茨城地区予選会」では、茨城大学のほか常磐大学、茨城キリスト教大学、茨城女子短期大学、筑波大学の各大学の代表学生が出場してバトルを繰り広げ、本学工学部情報工学科1年の森本拓朗さんが最多得票者となり、見事全国大学ビブリオバトル出場の切符を手にしました。1222日に東京都内で開催される"首都決戦"を前に、森本さんに話を聞きました。

―今回森本さんが選んだのは、堀川大樹さんという研究者の方が書いた『クマムシ博士の「最強生物」学講座―私が愛した生きものたち』(新潮社、2013年)という本でした。生物関係の本を良く読むのですか?

森本「高校のときは生物部だったんです。兵庫の高校だったんですけど、実は高校のときにも一度、学校の学園祭で文芸部が企画した小さなビブリオバトルに出場して、そのときは確かプラナリアの本を紹介したと思います」

―そのときの結果は?

森本「同率2位でした。プレゼンで笑ってくれる人たちがいたり、『読みたくなった』と言われたりするのが嬉しくて、そのときにビブリオバトルっておもしろいなと思いました」

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―新しい知識を得るのには、インターネットとかより、やっぱり本というタイプ?

森本「そうですね。今も工学部の情報工学科でプログラミングとかインターネットに関する技術書を読んでるんですけど、僕は『まえがき』とか読むのが結構好きですね。刊行に至った経過とかがおもしろいし、ストーリーがあって。本のほうがネットとかより信頼性が高いし、まとまっているからわかりやすいというのがあります」

―そういう本の世界に森本さんを誘った、きっかけとなった1冊があったのですか?

森本「高校のときに読んだ、これも生物関係なんですが、フジツボについての研究の歴史をわかりやすく書いた本ですね。ノンフィクションなんですけど、研究者がなぜこの研究を始めたかというのが偶然の連続で、小説よりもすごい奇跡が起きてるなと」

―クマムシの本もそういうところが魅力なのですね。

森本「はい。高校の頃にクマムシの研究をしている先輩がいてすごく尊敬していたんです。自分は最初そんなにクマムシには興味なかったんですけど―なんか気持ち悪い感じですし(笑)―でも先輩が好きなクマムシの話なのでこの本を読んでみたらすごくおもしろくて。クマムシって最強生物とよく呼ばれるのですが、ロマンとか可能性がすごくある。水分を体が出して樽状になると高熱でも耐えられるような能力があったりとか。コケの中に棲んでいるんですけど、身近にそんな生物がいるなんて知りませんでしたし。何より、この本を書いている堀川さんという方の、興味のない人にもクマムシの魅力を伝えようという熱意が文章から感じられるんですよ。この方、普段から頭にクマムシの帽子をかぶって普及活動をしたりしているんです、さかなクンみたいに。伝え方がすごいですよね」

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―ビブリオバトルでのプレゼンではどんなことを心がけているんですか?

森本「このクマムシの本自体がそうですが、専門用語とかもあるようなものを、聞いている人が飽きないように、興味のない人にどうおもしろく思ってもらえるか考えるようにしています。茨城地区予選会でもプレゼンのパフォーマンス力がすごい方がいて、自分の優勝はないなと思っていて優勝コメントも考えていなかったんです(笑)。それが最多得票になって自分でもビックリしました。でも、知らない生物を知るのってワクワクすることですし、クマムシ自体がおもしろいから、その魅力が伝わればむしろ大げさなパフォーマンスは邪魔になるのかも知れません」

―本番へ向けてあまり練習はしないんですか?

森本「大学とかインターンシップが忙しくて練習する時間があまりないです...。でももともと話の流れとか順番だけは決めて、内容の一字一句までの原稿は作っていません。そのほうが棒読みにならず自然な感じで話ができるので。自分自身も、もともと1対1の雑談より、多くの人前でプレゼンしたりするほうが好きなんです」

―兵庫から茨城大学へ入学して、たくさん大学の先生にも会っていますが、森本さんが本を通じて感じていたような、研究者の人たちのおもしろさに触れられていますか?

森本「そうですね。研究者の人たちは背負っているものがすごいなって。でも変なところがある。特に情報工学科の先生も変わった方が多いです(笑)もともとエンジニアの仕事に興味があったから東京に近いほうが良いというのと、寒い地域のほうが好きなプラナリアが生息しているので関東の大学を選んだのですが、茨城はきれいな川もあって良かったなと思ってます。エンジニアの長期インターンシップもやっていて、そういう出会いがあったのも良かったです」

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―将来はどんなエンジニアになりたいのですか?

森本「やっぱり技術第一優先とかではなくて、お客さんの課題をちゃんと解決できる、それに付随して技術ができる、というのを目指したいです。そのためには、自分より知識のない人にITの説明をわかりやすくするということが大事なんですが、そういう価値はまさに本から学べるものだと思いますね」

 森本さんが出場する全国大学ビブリオバトル2019~首都決戦~(第10回全国大学ビブリオバトル)は、2019年12月22日(日)、東京都のよみうり大手町ホールで開催されます。がんばれ、森本さん!

morimoto5.jpg水戸キャンパスの図書館本館でも森本さんの快挙を展示で紹介

<2019年12月24日追記>
12月22日に実施された「全国大学ビブリオバトル茨城地区予選会」では、森本さんは残念ながら決勝進出はなりませんでした。しかし、観覧した図書館職員によると、「大学内の予選、県地区予選、全国大会の3回の中で今回(全国大会)のプレゼンがベストだった!」とのこと。森本さん、お疲れ様でした!

(取材・構成:茨城大学広報室)