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2019三大学交流セミナー開催
茨城の食資源を活用した健康づくり~食がつなぐ農と脳~

 11月1日茨城大学阿見キャンパス・フードイノベーション棟にて、茨城大学農学部・東京医科大学茨城医療センター・茨城県立医療大学が主催の三大学交流セミナーが開催された。この講演会は毎年実施しており、今回で12回目の開催。今年のテーマは、「茨城の食資源を活用した健康づくり~食がつなぐ農と脳~」。

 第一部の話題提供では、茨城県営業戦略部販売流通課長の郡司彰氏が「茨城をたべよう運動の取組について」をテーマに登壇。郡司氏は「茨城県は農業産出額全国第3位、東京中央卸売市場シェア15年連続1位の農業大県に成長したが、農林水産物の知名度やブランドイメージは高いとは言えず、加工品においてもマーケティングに基づいた商品開発や販路の開拓が必要。」と課題を述べた上で、茨城県が高い生産量を誇るメロンや梨について、近年東南アジアへの輸出に力を入れ、海外販路開拓に積極的に取り組んでいることを紹介した。


茨城県営業戦略部販売流通課長の郡司彰氏

 続いて、「茨城の米と水」というテーマで、県内の酒蔵から、(資)廣瀬商店の廣瀬慶之助氏、府中誉(株)の山内孝明氏、(資)浦里酒造店の浦里浩司氏の3名が登壇。各社が生産している酒について紹介。また、それぞれ酒の原料として茨城産の米を使用していることについて説明した。


(資)廣瀬商店の廣瀬慶之助氏


府中誉(株)の山内孝明氏


(資)浦里酒造店の浦里浩司氏

 第二部の特別講演では、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史教授が「睡眠覚醒の謎に挑む」というテーマで登壇。睡眠覚醒は中枢神経系を持つ動物種に普遍的な現象でありながら、いまだにその機能と制御メカニズムには謎が多いことを説明。また、日中の過度の眠気や、通常起きている時間帯に自分では制御できない眠気が繰り返し起こることを特徴とする睡眠障害ナルコレプシーの根本的な要因が、「オレキシン」という物質の欠乏にあることを説明。その上で、「眠気とは一体何なのか。また、そもそもなぜ我々は睡眠が必要なのか」についての本質に迫るため、マウスを8,000匹以上用いて脳波を計測する等、研究に取り組んでいることを紹介した。

 


筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史氏

 第三部では、主催の三大学それぞれの代表者が講演。最初に登壇した茨城大学農学部の豊田淳教授は、「茨城県地場産品を世界に売り出すための基礎研究~フクレミカンの例~」というテーマで講演。うつ病モデルマウスを用いて実験をおこない、筑波山麓で栽培されるフクレミカンの健康機能性について発見をしたことを紹介した。

茨城大学農学部の豊田淳教員

 続いて登壇した東京医科大茨城医療センターの大城幸雄氏は、「E型肝炎の現状」というテーマで講演。E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)感染によって発症するウイルス性肝炎の一つであり、肝炎としては唯一の人獣共通感染症であることを解説。健康な人の場合、一過性の急性肝炎で終息するが、妊娠中の女性や慢性肝疾患の患者に対しては重症化する恐れがあることや、感染源となるブタ、イノシシ等の肉や内臓を食べる際はよく加熱することなど、注意を促した。

東京医科大茨城医療センターの大城幸雄氏

 最後に登壇した茨城県立医療大学の岸本浩氏は、「『食』がリハビリを支え健康寿命を伸ばす」というテーマで講演。リハビリテーションと栄養管理を同時に考えたケア・支援が、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を目指すものとして近年リハビリテーション医療のなかに普及してきていることを説明。また、高齢者が陥りやすいサルコペア(筋減弱症)に対して、昨年11月に阿見町高齢福祉課と共同で「サルコペア検診」を実施したことを紹介。地域の健康寿命を伸ばす第一歩としたいと語った。

茨城県立医療大学の岸本浩氏

 1時間半ちかくに及んだ講演会は、ホールがほぼ満席になるほど多数の聴講者が集まり、盛況のうちに終わった。また、講演会の最後には令和元年度文化功労者に選出された柳沢氏に対し、三村信男学長から花束が贈呈された。