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気候変動を学ぶ日越大学の学生たちが台風19号災害ボランティアに参加

 ベトナムの日越大学の「気候変動・開発プログラム」の学生たちが、茨城大学を拠点とした海外インターンシップに取り組んでいる。来日の2週間前に起きた台風19号の被害には彼らも心を痛めており、日越大学の中で募金を呼びかけてくれた。そしてインターンシップ3日目には被災地でのボランティア活動に参加。その体験はかけがえのないものとなった。

 ベトナムのハノイにある日越大学。日本とベトナムの協力により2016年につくられた大学で、このうちの修士課程の「気候変動・開発プログラム」は、茨城大学が幹事大学としてカリキュラムづくりや教員のコーディネートなどを担当している。長年気候変動研究を続けてきた本学の、いわば海外拠点のひとつだ。

「気候変動・開発プログラム」は去年開講。現在、第一期生である修士2年次の学生たちが初めてのインターンシップに臨んでおり、このうち20人の学生が「海外インターンシップ」として茨城大学を拠点とした1747日間(学生によって滞在期間が異なる)の実習・研修に取り組んでいる。

 茨城県を含む日本の広い地域が、巨大な台風19号によって甚大な被害を受けていることについては、日越大学の学生、教職員も心を痛めていた。その後同大内で日本への募金が呼びかけられ、約10万円が支援が集まった。

vjuvol2.jpg台風19号の状況について三村学長から説明を受ける学生たち

 そして1028日に茨城大学へやってきた学生たちは、翌日に三村信男学長とも懇談し、台風19号の被害状況などについても説明を受けた。本学では学生や教職員による災害復旧ボランティアの参加を支援しており、日越大学の学生たちにも参加を呼びかけたところ、ほとんどのメンバーからぜひ参加したいという申し出があり、一行は30日に水戸のボランティアセンターを訪問。その後、複数の派遣先で、被災者宅の家具の運び出しや家財、写真の洗浄作業に携わった。

 まずはボランティアセンターで、ボランティア活動に関する諸注意について説明を受ける。ケガをしたときの対応や、写真撮影がNGであるといった日本語の説明を、センターまで引率した伊藤哲司教授が通訳して伝える。その後は3つのグループに分かれて、それぞれの派遣先での活動内容について説明を受け、最後に資材室で必要な道具を受け取り、車に乗り込んで現地へと向かう。

vjuvol3.jpgボランティアセンターで説明を受ける

 参加した日越大学の学生や教員がまず驚いたのは、被災者の多様なニーズとボランティアを結びつけ、効率的、効果的に支援を進めるために体系化された、このボランティアセンターの仕組みそのものだった。ベトナム国内にも毎年のように洪水に見舞われる地域が多くあり、そうした地域出身の学生もいるが、「日本のボランティアセンターのシステムをぜひ自分たちの地域でも真似したい」という声が何度も聞こえてきた。

 グループのひとつが訪れた家庭では、水に濡れた古い写真の洗浄作業を行った。アルバムから写真を抜き出し、1枚1枚を水につけて洗い、広げたブルーシートの上に並べて天日で乾かす。ボランティアを依頼した家の方に会うのはもちろん初めてだが、何十年にもわたって撮影された家族旅行などの写真に触れていると、まるで古くからの知り合いのようにも思えてくる。依頼者の方は英語が堪能だったことも手伝い、日越大学の学生たちもすぐに打ち解けることができた。

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 写真の洗浄作業をひととおり終えたあとは、家の中の拭き掃除。雑巾をもって隅々まで泥を落とす学生たちの姿を見ながら、依頼者の方は「海を越えて、こんなの大勢のみなさんにお手伝いをいただき、本当にありがたいです。被害を受けてからしばらく気持ちも落ち込んでいたが、今日で一段落できたという気持ちになりました」と語っていた。作業終了後は、ひとりひとり握手を交わした。

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 日越大学の学生たちは、今後、県内外の研究機関や企業等も訪れ、日本における気候変動や環境問題への取り組みについて学んでいく。今回のボランティア参加は、急遽研修プログラムに組み込んだ形となったが、気候変動や持続可能な開発について学び、今後自国における社会実装を担うことになる学生たちが日本の災害の現場を訪れ、支援活動を体験したことは、国際的な貢献という点でも大きな意義があるといえそうだ。

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(取材・構成:茨城大学広報室)