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美浦村周辺のサラブレッドの馬糞を使った堆肥で地域農業を変える
霞ヶ浦の水質汚染を抑制しながら地域農産物のブランド向上図るプロジェクトを発足

 このたび、茨城大学と、茨城県南地域で活動している農業従事者や民間企業などのメンバーで構成する「サラブレッド堆肥エコシステムプロジェクト」が発足されました。美浦トレーニングセンター周辺地域の競走馬の育成牧場から発生する馬糞から良質な堆肥を製造・活用するサイクルを確立することで、霞ヶ浦の水質汚染を抑制しながら、「サラブレッド堆肥」を使った地域農産物としてのブランド向上を図るという、環境循環型の持続可能な地域農業システムの実現を目指します。

 茨城県稲敷郡美浦村には日本中央競馬会(JRA)が運営する競走馬の調教拠点である「美浦トレーニングセンター」があり、その周辺地域は多くの競走馬の育成牧場を有しています。一方、これらの牧場で発生する馬糞の処理には大きなコストがかかり、運営の負担となっています。加えて、堆肥化過程の馬糞の成分が雨水で地中へ浸透することが霞ヶ浦などの水質汚染の原因の一つと考えられており、その解決が求められていました。

 そうした中、昨年(2018年)、土壌改良などの事業を手がけている株式会社リーフ(茨城県つくば市)と茨城大学農学部などが、これらのサラブレッドの馬糞を利用した堆肥づくりに取り組み、製品化しました。サラブレッドはドーピング検査に備えて薬品の使用量が他の家畜に比べて極端に少ないため、その馬糞を安全な有機物として農業に活用することができます。馬糞はもともとC(炭素)/N(窒素)比が高いため、今回の堆肥製造では作物生産に障害の出ない適正なレベルとされる1020に抑え、かつ肥効を上げることで、農作物にとって良質な堆肥となりました。従来、馬糞堆肥は鶏糞・豚糞と違って肥料成分の即効性よりも土壌改良効果の方が高いとされていますが、今回製品化されたサラブレッド堆肥は即効性と土壌改良効果のどちらも高いのが特徴です。

 今後、大量の馬糞を回収して短期間で堆肥化し、地域で活用するサイクルを確立できれば、サラブレットの馬糞を地域の重要な資源として活用し、育成牧場における馬糞処理のコスト削減と霞ヶ浦の水質汚染の抑制を実現しながら、"サラブレッド堆肥"を利用した地域農産物の品質向上とブランディング、および地域農業の活性化につながることが期待されます。そこで本構想を実現するため「サラブレッド堆肥エコシステムプロジェクト」を発足し、本格的な事業に着手することとなりました。

 同プロジェクトの運営にあたっては、農事組合法人大地のめぐみなどが参加する研究コンソーシアムを立ち上げ、茨城大学農学部の黒田久雄教授が議長を、株式会社リーフが事務局を務めます。

 今後は、美浦村・阿見町を中心とした地域農家での堆肥試用、堆肥の品質評価や堆肥ハウスの増設などを進め、茨城県南地域における持続可能な「サラブレッド堆肥エコシステム」の実現を目指していきます。

茨城大学農学部 黒田 久雄 教授のコメント

 もともとは美浦村の育成牧場の関係者から馬糞処理に関する相談が持ち込まれたことがきっかけとなったのだが、株式会社リーフとの連携のもと、良質な「サラブレッド堆肥」の製造が実現できたことで、地域内で循環しながら霞ヶ浦の環境も保全し、なおかつ地域農業のブランド向上が期待できるという、素晴らしいプロジェクトの構想に至った。
 稲敷市、美浦村、阿見町、牛久市、つくば市といった限定的な地域でサラブレット堆肥製造と活用を効率的に行い、地元農家や販売者などと密に連携しながらプロジェクトを育ててく中で、耕作放棄地の利用や農家レストランの開店といったさらなる地域活性化につながると嬉しい。
 また、このシステムが成功したら、鶏糞、豚糞、牛糞へも応用を広げ、茨城発のモデルとして積極的に発信していきたい。

株式会社リーフ 関 浩一(東京農工大学博士課程在学中)のコメント

 有機物は土壌改良に有効な資源であり、宝物です。その中でも貴重な馬糞が、環境を壊すものから環境を良くするものに変わるお手伝いをできること、さらには地域の美味しい農産物のブランディングにつながればこんなに嬉しいことはありません。貴重な研究を続け地域との関係性を大切にして来られた黒田先生だからこそ、この取り組みが可能になりました。私たちは農実業・農学業分野で、さらには多くの方に農産物を美味しく食べていただくための事業分野で地元農家の皆様と協力して頑張っていきたいと思います。健康な土壌を作り、健康な農作物を作り、人間の健康の基礎を作る活動を、是非多くの方に知っていただければ幸いです。