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小惑星が外惑星領域から移動してきたことを初めて実験データで証明
―理・藤谷渉助教ら国際研究チーム

 茨城大学理学部の藤谷 渉 助教、マックス・プランク化学研究所(ドイツ)のペーター・ホッペ シニアリサーチサイエンティスト、海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所の牛久保 孝行 技術研究員、東京大学大気海洋研究所の佐野 有司 教授らによる国際研究チームは、隕石の炭酸塩鉱物からもとの小惑星に含まれていたドライアイス(固体二酸化炭素)の存在量を推定しました。そのデータをもとに、現在小惑星帯に集中している小惑星の一部がもとは太陽系の外惑星領域(木星軌道の外側)で形成され、その後現在の軌道へ移動した可能性が高いことを、世界で初めて実験データによって明らかにしました。

 太陽系の小惑星は現在、火星と木星の公転軌道の間にある小惑星帯に集中して存在しています。それらの小惑星の一部は、かつて外惑星領域で形成されたにもかかわらず、木星型惑星の軌道が変化した際に惑星の強い重力によって散乱され、現在の軌道に運ばれてきたことが理論モデルによって示唆されています。

 それに対し、近年は、隕石に含まれる炭素化合物などの揮発性物質から隕石母天体の周囲の温度を推測することで、軌道が安定する前の小惑星の場所を推定する研究が進められています。しかし、それらの炭素が何に由来するものなのか、その起源についてはほとんどわかっておらず、小惑星の形成過程を示す有効な実験データはありませんでした。

 今回、研究グループがタギシュ・レイク隕石(カナダ西部に2000年落下)に豊富に含まれている炭酸塩鉱物の炭素同位体比(炭素-13と炭素-12の量比)を分析したところ、これらの炭素が隕石母天体に含まれていたドライアイスに由来するものである可能性がきわめて高いことがわかりました。また、隕石母天体のドライアイスの炭素同位体比および二酸化炭素と水の量比を見積もると、いずれも彗星の氷と類似していることもわかりました。ここから、タギシュ・レイク隕石の母天体とされるD型小惑星は、木星軌道以遠の外惑星領域において二酸化炭素が固体になるほどの低温環境下で形成され、その後小惑星帯へ運ばれたと考えられます。これは、小惑星の形成と軌道進化の過程を実験データで示した初めての成果です。

 今回の成果により、隕石の炭酸塩鉱物はドライアイスの存在量、すなわち周囲の温度を示す指標となる可能性が示されたことから、今後、小惑星の形成過程の解明につながることが期待されます。また、D型小惑星と彗星の類似性は、彗星や太陽系外縁天体に関する情報がD型小惑星の研究から得られることを示しており、今後の惑星探査計画にも重要な知見となります。

 この成果は、国際的な学術誌「Nature Astronomy」に201972日(日本時間)に掲載されました。

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