1. ホーム
  2. NEWS
  3. 茨城大学の新しい歩みを―創立70周年記念式典 三村信男学長式辞

茨城大学の新しい歩みを―創立70周年記念式典 三村信男学長式辞

 ご来賓の皆様、ご出席の皆様

 茨城大学は本年531日に創立70周年を迎えます。本日ここに、創立70周年記念式典を行うに当たりまして、永岡桂子文部科学副大臣、大井川和彦茨城県知事、永田恭介筑波大学長をはじめ、多くの御来賓の方々のご臨席を賜りました。また、多数の関係者の皆様にご出席いただきましたことに対して、心より御礼申し上げます。

 さて、茨城大学の源流をたどれば、明治7年、1874年の茨城師範学校の前身である拡充師範学校が開校したことに遡ります。その後、1949年5月、旧制水戸高等学校、茨城師範学校、茨城青年師範学校、それから多賀工業専門学校の4校が統合し、本学が誕生しました。さらに3年後に、茨城県立農科大学が合流して農学部となり、現在の骨格ができ上がりました。

 創立当時は、太平洋戦争の終戦から4年という未だ戦後の混乱の中にあった時代でした。その中で、「我が国の復興のためには、茨城に国立大学が必要である」という地域の熱い思いが本学を誕生させました。初代学長となった鈴木京平学長は、炎天下で行われた開校式において、第一期入学生を前に、次のように激励しました。

「茨城の地は日本歴史上文教の地として異彩を放っている。時勢は移り世は変わったが、日本文化の中心地となるような立派な学風を樹立してもらいたい。野心満々たれ」。

 この言葉からは、今も私達の心を打つ草創期の意気込みが伝わってきます。

 さて、本学は、今日まで、9万8千人以上の卒業生を社会に輩出してきました。また、教育組織の再編・充実を図り多くの研究センターを設置して、学部から大学院博士課程までをもつ高等教育機関として成長し、現在に至っております。本学の歴史については、第2部で紹介させて頂きますが、戦後間もない時期に、地域の熱い期待を受けてスタートし、我が国社会の発展のために貢献し続けてきたことは私達の誇るべき歴史です。

 さて、現在、21世紀の社会は大変革時代にあります。グローバル化や人工知能等のディジタル技術の急速な発達、地球環境の変化などにより、社会の姿は急速に変わっています。私達は、こうした社会の変化に対して、「地域創生の知の拠点となる大学、その中で世界的な強み・特色が輝く大学」というビジョンを掲げました。そして、その実現に向けて積極的な大学改革を進めて参りました。こうした自己変革へと動かしたものは、「社会の公器として我が国と地域の持続可能な未来づくりに貢献する」という強い思いです。

20190525-7Y9A0166_R.JPG

 この機会に、私達の目指す将来像についてお話しさせて頂きます。

 まず、重視する第一の柱は、教育改革です。

 本学では、社会で必要とされる5つ力を「茨城大学基盤学力」と名付けて、教育目標に設定しました。この「茨城大学基盤学力」とは、学生が生涯活躍していく基礎となる総合的な人間力です。その実現のために、海外・地域・企業の現場に出て、現実の課題に積極的に取り組む、多様な成長の機会を提供する教育システムを構築してきました。その特徴的な仕組みが、iOPクオーターというユニークな制度です。これは、3年次の第3クオーターに、海外留学や海外研修、地域活動などに取り組む期間を設けたものです。私達がめざすものは、「個性豊かな学生が成長する教育システム」であり、今後も、この教育システムを進化させていきたいと考えています。

 第二の柱は、特色ある研究成果の発信です。これまで、量子線科学や気候変動研究など、我が国と世界をリードする研究分野を開拓してきました。

 量子線科学は、東海村にある世界有数の大強度陽子加速器施設J-PARCを活用して行う、物質科学や生命科学の研究であり、茨城県との密接な連携の下で、研究を進めています。また、大学院に、我が国唯一の量子線科学専攻を設置しました。この専攻は、毎年100名以上の大学院生が入学する大規模なものです。量子科学は、新材料、生命科学、エネルギー、医療などに関わる次世代の研究分野として期待されています。世界の研究者と意欲ある学生を引きつける拠点づくりをめざして、一層の努力を続けたいと思います。

 また、本学では、地球環境と霞ヶ浦など地域環境の研究にも力を入れてきました。特に、気候変動研究の成果は国際的にも注目されています。昨年、ベトナムのハノイにある「日越大学」に気候変動に関する修士課程プログラムを開講しました。私もハノイで開かれた入学式に出席しましたが、ベトナムやミャンマー、ナイジェリアなど国際色豊かな入学生に直接接し、前向きで活発な学生の姿に強い印象を受けました。日越大学は、筑波大学や東京大学等とともに進めている共同の事業ですが、アジアの人材育成事業への参加は本学の国際展開の大きな一歩になりました。今後も、地球規模の課題に挑戦し、国際的な研究と人材育成に力を注ぎたいと考えています。

 本学では、さらに、人文社会科学、教育学、理学、工学、農学といった幅広い学問分野において様々な研究を行っています。これらから、多様なナンバーワン研究、あるいはオンリーワン研究を生み出し、その成果を社会に活かしていきたいと考えております。

 第三の柱は、地域連携とグローバル展開の推進です。

 先ほど申し上げた研究面の他に、「社会人リカレント教育」の本格的な実施にも着手しました。人生100年時代を迎え、個人や企業の学び直しのニーズが一層高まることと思われます。それに応えて、地域における継続的な学びのプラットフォームになっていきたいと考えています。

 さらに、自治体・企業との連携や「いばらき地域づくり大学・高専コンソーシアム」などの連携ネットワークを強化することも期待されています。今後も、「地域と協働する地域創生の知の拠点」を目指して、そのあり方を追求していきたいと考えております。

 本年5月、元号が「令和」に変わり、新しい時代が始まりました。このような年に、茨城大学も、新しい歩みを始めることになります。この新しい時代を希望の時代にするために、次の10年、さらに創立100年に向けて、「地域創生の知の拠点、世界に輝く多様なナンバーワン研究を生み出す大学」をめざして、多くの皆様と手を携えて進む決意でございます。

 最後に、本日御臨席の皆様方をはじめ、同窓生の皆様、本学を支えてくださったすべての皆様に改めて感謝申し上げますとともに、これからも更なる御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げ、私の式辞といたします。

 本日は誠にありがとうございました。

令和元年5月25日

茨城大学長 三村信男