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平成31年度茨城大学入学式 学長式辞

 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。茨城大学を代表して、皆さんを心から歓迎致します。また、ご家族、関係者の皆様も、さぞお喜びのことと思い、お祝いを申し上げます。水戸の桜も咲き始めました。まさに春本番の美しいこの季節に、1,677名の新入生を迎えることができ、大変うれしく思っています。

 さて、新入生の皆さんは、茨城大学での学生生活に対して、大きな期待を持っていることと思います。そこで、茨城大学ではどのような経験をしてほしいか、私の期待をお話ししたいと思います。

 私達が生きているこの21世紀という時代は、かつてなく変化の大きく速い時代です。グローバリゼーションによって世界はますます一つにつながっていますし、科学技術はすさまじい勢いで進んでいます。また、温暖化のように地球環境問題や自然災害も大きな問題になっています。

 こうした世界で生きていくために、どのような学び方が必要でしょうか。私は、大学での学修の心構えとして「広い視野と深い専門性」を修得することが重要だと考えています。「深めることと広げること」といってもいいでしょう。

 この「深めることと広げること」について、私の経験をお話ししたいと思います。

 私は、51年前に大学に入学しました。その当時は、高度経済成長の一方で、水俣病や大気汚染が大きな問題になっていました。それで、私は環境工学を専攻することにしました。当時行ったのは、下水処理のために使うパイプの中の水の流れ方の研究でした。来る日も来る日も地下の実験室で、パイプの中の流れを測定しました。友人は何が面白いのだろうと思ったでしょうが、私はその測定にのめり込みました。その時学んだ流体力学が、その後の私の活動の「土台」になりました。

 大学院修了後、海岸環境の研究室に移り、さらに、1990年頃に地球温暖化問題が世界の大問題になったことに触発されて、気候変動について研究するようになりました。毎年、タイなどのアジアの国々、ツバルやフィジーといった南太平洋の小さな島国に出かけて調査しました。結局、この気候変動問題が私の最大の研究テーマになったのですが、大学に入学した時には、全く想像できない研究分野に到達したことになります。しかし、私の研究のベースには、学生の時に暗い地下室で毎日パイプの流れを測りながら学んだ流体力学がありました。それを土台に、私は自信を持って、新しい分野に視野を広げて行くことができたと思っています。

 研究者にとどまらず、社会で働く人は誰でも、同じような経験を持つのだと思います。様々な分野を経験してやがてより大きなテーマで仕事をするようになります。人は、生活を通じて、いつもこの「深めることと広げること」を実践していくのです。この変化の大きな社会では、大学を卒業した時の知識だけで、十分ということはありません。社会に出てからも、新しい分野に取り組むために学ぶことが必要です。そのための土台を作ることが大学時代にやるべきことであり、その目標は、「広い視野と深い専門性」の修得にあると、私は考えています。

 茨城大学では、学生の皆さんの多様な関心に応える学修の仕組みを整えています。専門教育と基盤教育の幅広い授業や地域での演習や海外留学など多彩な科目があります。また、最近では、学生がアイデアを競う学生ビジネスプランコンテストや自治体の政策提言なども開催しています。これらの内容は、この入学式の後に行うコミットメント・セレモニーで紹介することにしています。

 さて、今年は時代が回転する年です。先日、次の元号が「令和」に決まりました。令和がどのような時代になるか、まだ分かりませんが、新しい時代の到来を予感させます。また、本学は、今年5月に創立70周年を迎えます。過去70年の伝統と実績の上に、茨城大学の新しい時代が始まります。この新しい時代を希望の時代にするために、思う存分活躍してほしいと思います。

 在学中に、皆さんの関心もどんどん広がり、変わっていくことと思います。その関心の広がりと変化は、皆さんをより大きな成長に導く力です。幅広い問題に関心を持って学ぶことで、自分が何をしたいかをしっかり見つけてほしいと思います。皆さんの中には、無限の可能性があります。それが、茨城大学で花開くように、心から期待をしています。

 本日は、多数の保護者の皆様にもご出席頂いています。最後になりますが、保護者の皆様にも一言お話をさせて頂きます。

 先ほど来お話ししているように、本学では、専門的な知識やスキルとともに、世界を俯瞰的に見る広い視野や課題解決能力、コミュニケーション力といった総合的な人間力を育成する教育を進めています。茨城大学に希望をもって入学した学生達と皆様の期待を実現すべく、学生が成長する教育を行い、社会に送り出すことをお約束いたします。

 お子様方にはどうぞ、どのような学生生活をしているのか聞いてください。何か心配なことがあれば遠慮無く、それぞれの学部、学科の担当教員にお話し頂ければと思います。

 それでは、以上をもって入学式における式辞と致します。今日は、本当におめでとうございました。

平成31年4月5日

茨城大学長
三村信男